映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

お嬢さん(2016年)

2017-03-21 | 【お】



 以下、リンク先のあらすじコピペです。

 ====ここから。

 1939年、日本統治下の朝鮮半島。世間とは隔絶した辺鄙な土地に建ち、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに支配的な叔父(チョ・ジヌン)と暮らす華族令嬢・秀子(キム・ミニ)。

 ある日、秀子のもとへ新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキ(キム・テリ)がやって来る。実はスラム街で詐欺グループに育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う“伯爵”と呼ばれる詐欺師(ハ・ジョンウ)の手先だった。伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女を精神病院に入れて財産を奪うという計画を企てていたのだ。

 計画は順調に進むが、スッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、秀子も献身的なスッキに心を開き、二人は身も心も愛し合うようになってゆく……。

 ====コピペ終わり。

 原作は「このミス」で1位となった、サラ・ウォーターズの「荊の城」。舞台を19世紀半ばのイギリスから、日本統治下の韓国に移しての映画化。


 
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 『未来を花束にして』を見に行った際に予告編を見て、面白そう、、、と思った次第。おまけに、一緒に見に行った映画友が「このミス」上位本は必ず読む派の人で、原作オススメと言うので、これは見るしかないでしょ。


◆劇場で音の出る菓子を食うな!!

 いきなり余談で恐縮ですが、、、。

 劇場で映画を見るときの宿命だけど、隣に座る人を選べないのですよねぇ。今回は、そういう意味で大ハズレ。

 隣になったのは、多分、私と同世代か少し若い目のオッサンだったんだけど、この人が、本編が始まってから、いきなり、音が出る菓子を食べ出したんですよ。落花生のせんべい。しかもガシャガシャ音のする袋に入っているヤツ。匂いであのせんべいだとすぐ分かったし、一応、バリバリ平気で音を立てて食べるわけじゃないけど、ガサガサ、バリッ、ボリ、、、ボリ、、、ガサッ、ガサガサ、バリッ、ボリ、、、、ボリ、、、、、、ってこれ、延々続いたわけ。最初の5分か10分くらいかと思っていたら、2時間半の映画のほとんどず~っと! てめぇなぁ、、、と思って「音立てないでもらえますか?」と、よほど言おうかと思ったけれど、そう言う私の声が周囲の迷惑になるよなぁ、と思ったり(結構混んでいたので)。

 ああいう人って、何考えてんですかねぇ。本編が始まるまでに食べりゃいいじゃん。予告編でガサガサ・バリバリ音がしていてもいいけど、本編はダメでしょうよ。ったく、、、。10代の若者ならともかく、イイ歳したオッサンがやることか。

 とはいえ、もう、途中からは、そんなオッサンに気を取られるのはもったいないと思い直して、映画に集中しましたけれど。でも、あの落花生せんべいの匂いだけはイヤでも鼻に入ってくるのだよ、、、、トホホ。


◆エログロ炸裂。

 と、余計なことはさておき。

 面白そうと思って見に行ったとはいえ、大して期待もしていなかったのですが、これが良かったのか、結構楽しめました。

 まあ、一言で言っちゃうと、エログロ・ギャグ映画、って感じかなぁ。さすが、パク・チャヌク監督だけあって、中途半端なことはいたしません。かなりぶっ飛んでいます。でもそこがイイ。ここまで振り切れちゃっていると、爽快でさえあります。

 三部構成で、第一部は珠子=スッキの、第二部は秀子の、第三部は伯爵の、それぞれ目線でという具合。第二部、第三部へと進むにつれて、コトの真相が分かってくると、ええ~~っ、っていう展開もちりばめられつつ、でも片方では一定のお約束な展開もあり、その辺のバランスも絶妙。逆に言えば、ギョッとするほど意外な展開ではなかったとも言えます。でも十分観客の興味を最後まで引っ張ってくれるので、エンタメとしては上出来なのでは。

 特に、第二部の終盤に展開する、スッキと秀子の恋模様はちょっと切なくもあり、大胆な濡れ場シーンも交えて、飽きさせないです。全体にユーモアもあり、人間の愚かしさを容赦なく徹底的に愚かしく描いている辺りが、イイです。

 ネット上で、日本の着物の着方や髪型、住まいの館の様式がヘン、といったツッコミを入れているレビューを見かけましたけれど、監督は承知の上でやっていると私は思いましたね。だって、それは、本作全体を見れば分かることでしょう。細部でウソを描くと白けるとは常々思うことですが、こういうのは、ウソを描いているのではなく、演出の一つだと、私には思えたんですけれどねぇ。

 でなきゃ、秀子に日本人の女優を使っただろうし、あんなあり得ない朗読会のシーンとか、そもそもおかしいでしょ、って話じゃない?


◆秀子の、自由への脱出物語。
 
 とはいえ、あんまり奥行きのある映画ではなく、見終わって何か強烈に心に残るものがあるわけじゃありません。

 ただ、叔父も伯爵もロクでもないヤツで、女性礼賛的な印象は強いです。そのほかにも出てくる男たちは、ただのスケベ親父的な扱われ方で、言ってみれば女を性の道具としてしか見ていないような男性像。それに抗い、自力で人生を切り開く若い娘たち、みたいな対比ですかね。斜めに見れば、旧体制VS新体制、のメタファーというか。

 少なくとも、男性目線で、“男が喜ぶ女”を描いてはいないです。男性は、本作を見てどういう感想を持つのかなぁ、、、。多分、女性受けの方が良いと思いますね。

 第三部の展開は、ちょっとグロで、私としては苦手なシーンが多く、あまり直視できませんでした。、、、つまり、痛いシーンが多いってことです。痛い目に遭うのは、もちろんニセ伯爵さん。痛い目に遭わせるのは叔父さん。どちらも胡散臭すぎなんだけど、まあ、どこか憎めない人に描かれています。

 ラストは、とことん叔父に抑圧されて、男たちの好奇の目に晒され続けてきた秀子が、スッキと奔放に愛し合うシーンで終わります。秀子はようやく抑圧から解放されたのです。


◆その他もろもろ

 冒頭に書いた、原作が面白いと言っていた映画友曰く、原作は、もっと繊細な感じらしい。面白いからオススメ! と言われたので、原作も読んでみたくなりました。

 秀子は日本人の設定だし、日本人に憧れる叔父の館に仕えるスッキなので、彼女たちや伯爵が日本語を話すシーンも結構あります。ただまあ、正直、なんて言っているのか聞き取れない部分も多々ありまして、、、。大勢に影響ありませんけれどね。

 秀子役のキム・ミニは34歳とは思えない若々しさで、美人というわけじゃないけれど、独特の退廃的な雰囲気と色気で、役柄にぴったりです。スッキ役のキム・テリは、なんと新人だというからオドロキ!! あの大胆な濡れ場シーンもですが、演技経験がないとはとても思えぬ役者っぷりです。顔もあどけなくてカワイイし。秀子の奥歯を、スッキがヤスリで優しく削ってあげるシーンとか、なかなか画になっていて見所の一つです。

 自殺しちゃった叔母役のムン・ソリがチョイ出ですが良い味出しています。また、秀子の子ども時代の女の子が凄くカワイイ。この2人がエロ本を朗読するシーンがあるんですが、「ちん○」とかいうNGワードが、フツーに彼女たちの口から飛び出しますので、その意外性にまた笑ってしまいます。

 邦画でも、ここまで大胆かつ、振り切れちゃった映画が、もっとたくさん作られると面白いんですけれどねぇ、、、。







あっという間の2時間半。




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