映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

顔のない眼(1959年)

2019-08-18 | 【か】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv12922/

 

 自分の過失が原因の交通事故で、娘クリスティーヌ(エディット・スコブ)の顔面に大やけどを負わせてしまった高名な外科医の男ジェネシェ(ピエール・ブラッスール)。責任を感じるジェネシェは、過去に顔面皮膚移植を施して美しい顔を取り戻すことに成功した助手のルイーズ(アリダ・ヴァリ)に手伝わせ、クリスティーヌと同じ年格好の女性を拉致してその顔面から皮膚を剥ぎ、クリスティーヌに移植する手術を繰り返すが、毎回失敗に終わっていたのだった。

 そして、クリスティーヌは移植が失敗に終わる度に「こんな顔になるなら、目も見えなくなれば良かったのに。死にたい」と絶望する。

 ある晩、またルイーズが拉致してきた女性エドナから、ジェネシェは再び顔面の皮膚を剥ぎ、クリスティーヌに移植する。突然、顔を失ったエドナは絶望し、ジェネシェの病院の上層階から飛び降り自殺してしまう。そして、今回の移植も、数日後にはまた失敗の結果が明らかになるのだった。いよいよ絶望を深くするクリスティーヌ。

 しかし、懲りずにルイーズはまた若い女性を拉致してくるが、運良く、皮膚を剥がされる前にクリスティーヌ自身の手によって解放される。それを見たルイーズはクリスティーヌを止めるのだが、、、。

 

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 ゴーモン特集で一番見たかったのは本作でした。TSUTAYAでDVDも借りられるみたいだけど、せっかくスクリーンで見られるのだからと、酷暑の中、見に行ってきました、、、。

 

◆思っていたよりグロい。

 クリスティーヌが普段着けているマスクが何とも不気味なんだけど、ネットで感想をいくつか拾い読みしたら、やっぱり同じある人の名前が浮かんだ人が多かった様子。もちろん私も。……その名は“スケキヨ”。まあ、スケキヨの方がより不気味だったような気もするが。

 一度だけ、クリスティーヌがマスクを取るシーンがある。映さないかと思って見ていたら映していて、もう楳図かずおのマンガそのまんま。心の準備が出来ていなかったので、思わず、うわっ、、、とのけぞってしまった。ま、映るのは一瞬だけど。しかも、ちょっと紗がかかっている感じで、そこまでグロじゃない。

 想像以上にグロかったのは、手術シーン。拉致してきたエドナからジェネシェが皮を剥ぐところを、かなりしっかり延々と描写するのだ。助手のアリダ・ヴァリ演ずるルイーズと2人がかりで、剥ぐところの輪郭をクレヨンで描いて、メスで切って、鉗子でもって剥いでいくという、、、かなりウゲゲなシーン。思いっきり皮が不自然な感じではあるけど、相当リアルで、CGの精密な映像を見慣れた眼にもグロく映ったので、公開当時に見た人たちはさぞやビビッたことだろう。

 ジェネシェが汗だくになりながら、そして、ルイーズがその汗を拭きながら、皮を鉗子とメスで剥いでいく。そして、その皮をクリスティーヌに移植する。移植直後、美しい顔を取り戻したクリスティーヌの素顔も映る。お人形さんみたいに可愛らしい素顔だが、ジェネシェはルイーズに「あれは失敗だ、、、」と言い、事実、その後、次第にクリスティーヌの顔は少しずつ皮膚が壊死して黒ずんでいき、最後には顔面が崩れる。その過程も描写される。

 何というか、この一連の「手術→美しい顔を取り戻す→少しずつ顔面崩壊」の過程を見せる辺りが科学番組みたいで、一瞬、自分が「何を見ているんだっけ?」みたいな感覚になった。それくらい、リアルな感じだったから。

 しかし、何度もそんなことを繰り返していられるわけもなく、女性の行方不明事件で警察が動き出すし、クリスティーヌ自身が事故前に婚約していた男性に恋しさが募って電話をかけてしまうし、、、。何より悲痛なのは、クリスティーヌ自身、父親が、今となってはクリスティーヌのためではなく、人体実験を繰り返すマッドサイエンティストと化してしまっていることに気付くのだ。

 まあ、終盤の成り行きは実際に見た方が良いと思うのでここでは書かないけれども、この話においてはこの結末しかあり得ないだろう。ラストシーンがとても幻想的で美しい。マスクを着けてネグリジェのまま森へとさまよい歩いていくクリスティーヌの後ろ姿は、もの哀しいけれども、神々しくもあった。

 

◆以下、余談。

 マッドサイエンティストといえば、Eテレで「フランケシュタインの誘惑E+」という番組がオンエアされているが、これがマッドサイエンティスト特集みたいな番組。

 以前「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」というタイトルでBSでオンエアしていたが、それを再編集したもの。BS時代から欠かさず見ていたけど、マッドサイエンティストと天才科学者は表裏一体なのだとつくづく思う。マッドと周囲の目に映るくらいに究めなければ、成し得ない研究は当然あるはずだ。

 名誉欲が探究心を上回ったとき、恐らく、マッドサイエンティストに豹変するのだろう。最初から名誉欲が探究心を上回っていた人も大勢いるようだが、、、。本作は映画だが、本物のマッドサイエンティストの物語は、もっとグロくて悲惨で哀しいものだ。

 そういう意味では、本作は、やはりマッドサイエンティストの物語というよりも、『顔のない眼』というタイトルが表わすとおり、顔を失うことの悲痛さを描いた物語として見るべきなのだろう。

   

 

 

 

 

 

タイトルが秀逸。

 

 

 

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