映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年)

2020-09-21 | 【ふ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71332/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 成績優秀な優等生で親友同士のエイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)。ところが、高校の卒業前夜、遊んでばかりいたはずの同級生がハイレベルな進路を歩むことを知り、2人は自信喪失してしまう。

 失った時間を取り戻そうと、卒業パーティーに乗り込むことを決意するエイミーとモリー。だがそんな彼女たちに待ち受けていたのは、怒涛の一夜だった……。

=====ここまで。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 予告編を何度か見たときは、「あー、アメリカのハイスクールもんね、はいはい……」って感じで、ゼンゼン見たいと思っていなかったんだが、精神科医の斎藤環氏がTwitterで絶賛しているのを見て、そこまで言われると見たくなるなぁ、、、と思いつつ、斎藤先生の絶賛する映画は私的にはそれほど、、、ってのがパターンなので、これもそうかも知れないから、やっぱ見に行くのやめとこっかなぁ~、などとウダウダ迷いつつ、結局見に行った次第です。


◆イジメとスクールカーストが全く出て来ない。

 見た後知ったんだが、本作はプロの批評家が軒並み高評価をしているみたい。斎藤先生と評価ポイントは大体同じ。まあ、そこを好意的に捉えられるか否かは、好みでしょうな。好意的に捉えられないことを批判しているネットの反応などをいくつか見たけど、それはちょっと違うだろ、と思う。

 つまり、本作は、アメリカのハイスクールもの(『25年目のキス』とか『ウォールフラワー』とか)のお約束であるクルマ、プロム(本作ではパーティだけど)、セックスは出てくるが、必須要素であるスクールカーストとそれに伴うイジメが一切出て来ないんである。

 で、好意的に捉えられない派の言い分としては「こんな良いヤツばっかの学校があるか!」ってこと。逆に、好意的に捉える派は、「イジメやらスクールカーストなんかでリアリティや共感を求めるのは安易だ! 大体、そんなん手垢つきまくりで、もう古い!!」って感じかな。

 どちらの言い分も分からなくはない。私自身、本作について面白いと思ったけれども、正直なところ、そこまでグッとくるものはなかった。斎藤先生が絶賛するほどには、私には刺さらなかった。

 イジメやスクールカーストを描いていなくてもリアリティのある面白い映画だから「志が高い」(by斎藤先生)とまでは思えない。イジメやスクールカーストで深刻に悩んでいる高校生たちは大勢いるだろうから、古かろうか手垢つきまくりだろうが、それを描くこと自体が問題だとは思わない。

 また、本作の舞台となる高校は、多分、学力的にかなりハイレベルの学校と思われ、ということはつまり、それなりの家庭の子たちが通う学校なわけだ。これは、アメリカに限らず万国共通、日本でもそうだと思うが、そこそこのレベルの進学校では、あまりスクールカーストやそれにまつわるイジメってのは見られないだろうと思う。残念ながら、子の学力と家庭の経済力には相関関係があることは実証されている。私が高校生だった30年以上前でも、今ほど分断が露呈していなかった社会だったが、そういう傾向はあったのだから。勉強が出来ても性格の悪い人間はゴマンといるが、スクールカーストで見栄を張り合ったり、組織だってイジメたりする必要がそもそもないのだ。イヤな言い方をすれば、ある程度のカースト上位の子たちの集まりだ、ということ(もちろん、それでもそういう学校に陰湿なイジメが全くないとは思わないが)。

 だから、良いヤツばっかであり得ん!というのも、本作の場合はちょっとズレている気はする。そもそもそういう環境なんだよ、ってことなわけで。


◆青春するぞ!

 本作のモリーも、お勉強は出来るが性格は悪いという、進学校にいる典型的な秀才ちゃん。嫌われてはいるが、いじめられてはいない。これは、モリーが勉強一筋で、周囲を見下してはいても、実害を与えるようなことはしていなかったってことだろう。そう、勉強一筋さんは、イヤなヤツでも周りに迷惑を掛けるわけじゃないので、別にターゲットにはならない。

 しかし、モリーは、自分が見下していたヤツらが、軒並み名門大学に進学すると分かって、愕然となる、というところから本作のストーリーは展開する。確かに、これは衝撃だよなぁ。私は、大学に入ってからだったが、自分より遙かにお勉強も出来たであろう方々が、自分より遙かにいろんなことに詳しくて視野も広いということに、プチ・カルチャーショックを受けたもんねぇ。私は、モリーと違って、勉強すらしていなかったが、それでも「私は18年間何をしていたんだろう、、、がーん!!!」となったものだ。

 モリーのすごいところは、そこで、「じゃあ、今から取り返すぞ! 青春するぞ!!」となれるところ。私は、プチ・カルチャーショックを受けたまま、何もせず漫然と過ごしていた(怠惰ってことなんだが)けれど、彼女のあの切り替えの速さはスゴいというか、面白い。

 監督のオリヴィア・ワイルドは、本作について、女子高生2人の冒険譚だと言っている。確かに、冒険だろう、これまで見向きもしなかった世界に飛び込んでいくのだから。

 冒険譚は確かに面白いが、私が良いなー、と素直に感動したのは、モリーとエイミーの関係だ。終盤、この2人にとって恐らく初めてであろう大喧嘩をするんだが、ここで、2人の関係がいろいろ微妙な要素を含んでいたことが明らかになる。仕切りたがりでお節介なモリー、マイペースでおおらかなエイミー、に見えたけど実際は……、という2人の積年の思いをぶつけ合うところはジーンとなる。

 大喧嘩の後、翌日の卒業式のラストシーンまでの展開は、これぞザ・青春映画という感じで、この辺りで感動できるか否かで本作に対する印象が変わってくるだろう。

 結局、モリーもエイミーも、この冒険で苦い思いをすることになるのだが、この辺は割とよくある話かな。そうして、それぞれに決めた道へと進んでいきます、、、というラスト。鑑賞後感は非常に爽やかです。

 監督は、「高校時代は人生において特別な最も重要な時期」みたいなことも言っている。これは、ちょっと首肯しかねるが、まぁアメリカ映画見ているとそうだろうなぁ、とは思う。5年後、10年後のモリーとエイミーがどうなっているか、見てみたい。


◆その他もろもろ

 本作の高評価の要素としてさらに指摘されているのが、下ネタ満載なのにPCにまったく引っ掛からない、というところ。コンドームに水を入れて水風船みたいにして飛ばし合いしたり、ポルノ映像を大音量で見たり、、、と、色々あるのだが、確かにお下劣にはなっていないどころか、面白く笑えるようになっている。

 また、エイミーは同性愛者で、両親にもカミングアウトしているし、当然モリーも承知の上だ。ごく当たり前のこととして周囲がそれを受け止めているという点でも、本作は評価が高い。監督は、ステレオタイプな悪役を置かないことに配意したと言っているが、まあ、確かに分かりやすい嫌なキャラ、ってのは出て来ないし、いわゆる“多様性”が具現化された世界を描いているところも今の時流を捉えたものだろう。

 モリーを演じたビーニー・フェルドスタインが、圧倒的な印象の見た目で、このキャスティングで本作は半分成功しているみたいなもんでしょ。あの『レディ・バード』にも重要な役どころで出演しているのだとか。『レディ・バード』、、、ちょっと敬遠しているんだけど、見てみようかな。ちなみに、某新聞の評では、オリヴィア・ワイルド監督は、グレタ・ガーウィグに続く、女優出身の将来が楽しみな映画監督だと書いてあった。

 エイミーのケイトリン・デヴァーがスゴく可愛かった。密かに思いを寄せている女の子に、これまた密かに失恋してしまうところのシーンは素晴らしい。プールの中で、、、っていうシチュエーションが抜群だと感じた。

 一番可笑しかったのは、ピザ屋の親切なおじさんが、実は殺人鬼で指名手配犯だった、、、ってところ。あの似顔絵が出て来たシーンで噴き出した。脚本もよく出来ているな~、と感心してしまった。

 ストーリー的にも、ちゃんと伏線回収されており、笑えるオチもある。安易な予定調和に陥ることなくラストまで突っ走るのは、そう簡単にできることではないと思う。だから確かに良い映画なんだと思うが、良い映画でも大してグッと来ない割に、世間の評価が高くて、ちょっと気持ち的に引いてしまっている。ほとぼりが冷めて、DVD化された頃に、もう一度見てみようかな。

 

 

 

 

 

 

パンダのぬいぐるみが、、、、

 

 

 


 ★★ランキング参加中★★


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ぶあいそうな手紙(2019年) | トップ | ある画家の数奇な運命(2018年) »

コメントを投稿

【ふ】」カテゴリの最新記事