映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

神様はバリにいる(2014年)

2016-08-08 | 【か】



 婚活ビジネスで起業したものの失敗し、800万円の借金を抱えた照川祥子(尾野真千子)は、自殺して自分の保険金でその借金の穴埋めをするしかないと思い詰め、はるばるバリまでやってきて死に場所を探し、断崖絶壁の上を選んだ。しかし、そこへスクーターで駆け付けたリュウ(玉木宏)に、そこで自殺されると地価が下がるからやめてくれと言われ、、、。

 リュウに連れられて行ったところは、高級リゾートホテルと思しき建物。そこには、眉毛のない見るからに怪しそうなヤクザ者の男・アニキ(堤真一)がいた。が、実はこのアニキ、バリで30以上もの会社を運営する大富豪だったのである!! アニキと出会った祥子は果たして、、、。


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 昔愛していた男(堤真一)と、今まあままお気に入りの男(玉木宏)が共演している映画、というだけの理由で鑑賞しました。実話というか、アニキに実在のモデルがいる、ということは知っていたのですが、、、まぁ、正直言って面白くはなかったです。


◆シナリオが、、、(唖然)。

 あまり、内容について云々する気になれない作品です。要は、祥子は事業の失敗を周囲のせいにして世間を恨んでいた凝り固まった女だったのが、アニキに出会って生まれ変わった、、、という、アラサー(かアラフォーか知らんが)女の再生物語です。もう、掃いて捨てるほどあるパターンのドラマ。

 しかもその構成は、シナリオコンクールとかで入選しそうな典型的“変化物語”。ネガティブな主人公→刺激人物に出会い→影響を受けて→それまでの自分の考えが間違いだと気付き→ポジティブな主人公に変化、っていう、教科書的な展開。これのどこが面白いのさ。スクールの模範シナリオレベルでやってちょーだい、って感じ。

 よく“主人公を走らせろ”とシナリオスクールでは教えるんだよね。なので、私は、日本のドラマや映画で主人公が走っているシーンを見ると白けるんです。ひねくれているのは自覚していますけど、大抵、日本のドラマや映画では重要なシーンで走ってるんですよ、主人公が。でも、本作は、重要でもないシーンでムダに一杯走っていましたね。

 祥子のキャラが薄っぺらいので、ヒジョーに面白味に欠けます。親の敷いたレールを歩いてきた優等生で世間知らずが起業して事業に失敗、マニュアル通りに頑張ったのに! 頑張ったのに報われないのは社会が悪い! とかって、、、、。いや、それ自体はいいけど、その描写が、祥子の回想シーンに祥子のセリフを被せて全部説明しちゃっているという、、、。それじゃあヒロインの意味ないじゃん。

 あ、本作の真の主人公はもちろん、アニキですけれども。そのアニキについても、全部リュウがセリフと回想シーンで説明しています。リュウ自身のこともそう。つまり、主要人物紹介は全部、回想シーン&説明セリフ。もう、これだけで、この映画は金払って見る価値がない、と言っても良いと思いますね。……DVDレンタル料を払って見たんですけどね。

 後半、幼稚園建設計画が頓挫しかけるのですが、それが無事計画にこぎ着けるまでのやりとりもイージーで、祥子がアニキに怒鳴り散らしながら説教するところなどはもう、いささか幼稚過ぎなシーンで、正視していられませんでした。百戦錬磨の堤さんもよくこの演出で応じたよなぁ、、、とか思いながら。


◆手垢のついたアニキ語録は有難味ゼロ

 本作のその他の見どころは、アニキの語録だと思うんですが、これもまあ、私にはあまり面白いとは思えなかった。「苦しい時こそ笑え」「常識を疑え」「信頼はカネでは買えん」などなど、どれも既視感アリのものばかり。なんか、売れないコンサルタントの書いた指南本とかに出ていそうな、、、。

 まあつまり、結局、成功の秘訣っていうのはそれくらい根本は単純なこと、ってことなのかも知れません。もちろん、ここでいう秘訣とはビジネス上のハウツーではなく、心の持ち方ということですが。

 それを、1コ1コ、祥子がメモしているのが、何だか、もう、、、イラッとするというか。あんた、そんなことメモしなきゃいけない程度にしか起業の心得を学んでいなかったのかよ、そら潰れるわ、会社、、、みたいな。だんだん見ていて辛くなってきます。

 そのアニキの地元の人へのボランティア精神も、素晴らしいことだとは思うけれども、どうもちょっと独善的な感じがするし。、、、まあでも、これは実際のモデルになった丸尾孝俊さんという方がやっていることなんでしょうね。

 
◆堤真一&玉木宏、その他もろもろ

 堤真一は関西(兵庫)出身だけあって、関西弁は板についており、破天荒なアニキのキャラもなかなか合っていた。「ANIKI」とでっかく書かれたTシャツをいつも着て金のネックレスに、眉毛は金髪(?)で、頭髪も金髪みたいな茶髪、、、もうマンガみたいなキャラになった堤さん。まあ、彼はコメディも当然上手いので、マンガキャラでも全然イイんですけど、なんか老けたなぁ、さすがに。もう50過ぎだもんね、、、そらオヤジになるよなぁ~。20代の彼はあんなに精悍で、お肌もツヤツヤだったのに、、、。なーーんて。もちろん、今も十分イイ男ですが。

 一方の玉木宏は、お椀を被せたみたいなその髪型は何だよ? と言いたくなるけど、まあ顔がイイからいっか。ちょっと存在感薄かったですね。アニキと祥子が濃すぎるんで、どうしてもリュウは薄味になりますね。なんか、アニキの過去を説明するだけのご都合キャラになっていたのが可哀想です。

 尾野さんは、良い女優さんだと思うんですが、本作ではちょっとウザキャラで、それがいつも喚いたり怒鳴ったりしているので、余計に見ていてイラッとさせられるものがありました。そんな風に演じなくても良い役だと思うのですけれど、祥子さんて。

 つまり、監督の手腕に問題あり、、、ってことで納得することにしました。この監督さんの作品を見たのは初めてでしたが、残念ながら他のを見てみたいという気にはなれません。


 



バリの美しさ(だけ)が印象的。




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