パリ五輪のテニス男子シングルスでジョコビッチがアルカラスを破り金メダルを獲得しました。ジョコビッチにとっては悲願の金メダルです。これでジョコビッチは「生涯ゴールデンスラム」という偉業を達成しました。マスターズ1000もツアーファイナルも含めて全制覇しているジョコビッチは、考え得る全てのビッグタイトルをこれで獲得したことになります。まさに史上最強の名に相応しいタイトルコレクターぶりです。
しかもジョコビッチの凄さはこれを37歳という通常では考えられない年齢で達成していることです。どれほどの鍛錬と節制をおこなって体力を維持しているのかと考えると空恐ろしいほどです。しかもいま膝に爆弾を抱えてプレーしていながら、今年の全仏とウィングルドンを制した伸び盛りのアルカラスを倒してしまうのですから、今後どれほどアルカラスが強くなろうともジョコビッチの「史上最強」の座は揺るがない気がします。ジョコビッチの今後の不安はモチベーションの維持だけで、これからは何を目標に彼は戦い続けていくのでしょうか。
さて、そんなジョコビッチに長年散々苦しめられてきた日本のエース錦織圭は、ジョコビッチよりも3歳年下ながらこの数年体調不良に苦しめられ続けています。ランキングも大きく落とし、ツアーにも出たり出なかったりで安定した成績を残すことができていません。ただ現在出場しているモントリオールでは1回戦でアメリカ期待の19歳アレックス・ミケルセン(世界55位)に逆転勝利。続く2回戦では第8シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/同11位)に6-4、6-4のストレート勝ちを収め、同大会8年ぶり4度目の16強入りを果たしました。まるで全盛期に戻ったかのような快進撃です。
昔から錦織は北米ツアーのシーズンがもっとも得意とするところですから、いい具合に調整ができたのでしょう。かつての切れを取り戻しかけているのも間違いないでしょうが、不安はなにより体調です。厳しい試合をするほどに削られていき、またどこか怪我をするのではないかと心配になります。あの小さな体で戦い続けるのは相当な負荷を体に強いているのは間違いありません。モントリオールのようなマスターズ1000の大会では上位選手との対戦が続きますから、あまり無理して怪我の再発だけはしないで欲しいです。
と思っていたら、錦織自身が9月の全米オープンは出ないと記者会見で発言しました。チャレンジャー大会に出場してポイントを稼ぎながら実戦感覚を磨いていき、秋のアジアツアーに参戦する計画だということです。日本のファンとしてはジャパンオープンにまた来てくれるのは嬉しいニュースです。錦織が得意な全米で見られないのは残念ですが、復活のためのステップだと考えるなら良い選択かと思います。