ここしばらく更新をサボって失礼しました。元気でやっています。
それにしてもサミットなどいろいろありました。埼玉県某市でサミットに合わせてまちぐるみで夜の消灯のイベントをやっているのをテレビで見ましたが、必要な防犯灯も消して懐中電灯を持った市職員とボランティアが暗がりを照らしているのには、「???」。ネタにして書いたろうと思ったけど、なんとなく書かずにいるうちに、旬を逃してしまいました。それにしても午後8時にいっせいに消灯したりせずに、最初からつけなければいいのに。国会議事堂も名古屋城もライトアップいらないから。
さて、調べものをしていて久しぶりに東郷町のホームページを見たら、「町長の部屋」の「ひとこと集」が更新されていました。
「財政」をタテに言い訳
そこに「まちの財政と子どものための施策」という文章がアップされています。書かれたのは6月30日らしいですが、アップされたのは7月9日のようです。
冒頭で、東郷町の財政の説明のつもりか、次のようなことが書かれています。引用しますと
東郷町の20年度予算は、町民一人当たり年間25万円(実際は24万8千円)だということは、4月6日付けで掲載しました。
現在、愛知県には26町村ありますが、本町は22番目です。また、一般家庭の普通預金に当たる財政調整基金は、5億5千7百万円でこれは24番目です。この財政の範囲内で、他の市町と同じことはできるわけがありません。更に、少子高齢化時代を迎え、子育て支援や健康づくりなど新しい福祉サービスが大変多く求められ、財政を一層苦しくしています。
さっそく他市町並の仕事ができないと言い訳ですか。
1人当たりでこれだけの予算しか組めない、だから仕事ができなくても仕方ないんだ、と言いたいようでありますが、税金を払っている住民から見れば、こんな失礼な言い草はありません。こんなことを書けば、
「じゃあ何か、ワシらが払うカネが少ないから、県内22番目ということか」
と言われてしまいそうで、私ならとても怖くてこんなこと書けません。
「町民一人当たりの予算」なんてものにどんな意味があるのか考えてみましょうか。税収が一定だとすると、例えば公共事業を増やせば、起債(借金する)や補助で財政規模が大きくなります。今は財政規模を一気に大きくするような過大な新規事業がない、ということで良いんじゃないですか。
中川議員から聞いた話ですが、中川議員が議員になったころのある町幹部は、同じ数字を「町民にどれだけ返しているか」という指標として捉えていたそうです。つまり、「町民一人当たりの予算」が少なければ「仕事が不十分だ。もっと増やさなければ」と考えていたようであります。「仕事ができないという現状を説明するための数字」ではなく、「仕事が不十分だから『もっと仕事をしなければならない』と説明するための数字」だという考えです。
私は、この数字を何が何でも大きくしなければならないとは思いません。しかし、この数字が、仕事を十分していないことを表しているのか、それとも身の丈にあった仕事をしていることを表しているのか、は十分な検証が必要ですが、少なくとも財政の苦しさを表す数字ではないことは、確信を持って言えます。
平成18年度決算で町税収入が歳入の55.5%を占め(自主財源比率65.2%)、財政力指数が1.03の町のトップが「苦しい」と言ったら恥ずかしいことだとは思いませんか?(これらの数値は東郷町ホームページの統計のコーナーに載っています)
住民の怒りを知っていてやらないようです
さらに引用。
また、「できないのなら、隣町に引っ越したい」とのご意見もあります。
こういう怒りの声を町長も聞いておられるようです。町民の自然な気持ちが現れたご意見だと思うのですが。町長は、意見を言ってきた町民には、この文章の箇条書きに書いてあることを説明されるだろうと思います。ご納得いただけたのかどうか、興味深い所であります。
じゃあ、町長が書いた箇条書きに反論してみましょうか。
「1.無料化で受診回数が増えることによる施策の「波及増」で医療費が拡大する。この増加する医療費を誰が負担するのか。」について
県内で、他の自治体より先行して実施した自治体の状況ですが、「波及増」を見込んで予算を立てたが、波及増はほとんど無かったそうです。これは、これらの自治体の平成19年度決算が出た時点で明らかになってくるでしょう。
「2.安易な受診で医者が対応できなくなり、医者不足に拍車をかける。いま、全国的に小児科医が不足しています。」について
6月議会での私たちの条例提案に対し、同じような意見を言ってきた議員がいましたが、全国的な問題を東郷町でできないことの言い訳にしてどういうつもりでしょうか。
医師不足は、今年が始まったばかりの頃は、厚生労働大臣は「医者を増やしたら医者のホームレスが増える」なんてことを言っていましたが、最近になって医学部定数を削減する閣議決定を変更する、というところまで、政府を挙げて解決する方向に変わってきています。小児科医の不足は、福祉医療が原因ではなく、医師不足という根本的な問題を解消して解決すべき問題です。
また、安易な受診は子どもの受診に限ったことではありません。酔っ払いが救急車をタクシー代わりに呼ぶ、ってことは何年も前から問題になっていましたしね。モラルの問題を持ち出して、やらない理由に挙げないで欲しいものです。
「3.子どもの対極にある高齢者は、医療費負担にあえいでいる。この高齢者施策をどうするか。
⇒高齢者には、医療費の受益者負担を求める医療制度改革が進められており、子どもの医療費無料化は受益者負担の考えと矛盾があります。」について
かつて革新自治体で老人医療費無料化が広がり、それを見た政府があわてて国の制度にしました。東郷町で率先してやれば良いのではありませんか。
また、町長の言うところの「受益者負担を求める医療制度改革」が大きな怒りを呼び、参議院では「後期高齢者医療制度廃止法案」が可決されました。受益者負担の原則を持ち出す地方政治家が増えていますが、これは当然の原則として受け入れられているわけではありません。
税負担の話を抜きにして、「受益と負担」を論じるのはナンセンスです。
「4.施策は、継続していかなければならないが、財源はどうするのか。
⇒通院無料化を中学生まで実施すると、財政負担は毎年約8千万円と試算されています。いまの本町の財政では負担できません。隣の町とすべて同じことはできません。それぞれ収入が違い、また施策の重要性、緊急度も違うのです。」について
頑張れば8000万円は出せる、というのが日本共産党の考えでして、だからこそ6月議会で議員提案までしました。これができないと町長が考えるのは仕方の無い事です。町長のやる気の問題ですから。
しかし、8000万円出せない、と言い切って良いのでしょうか。川瀬氏が町長である限り、町長がいくら検討しようとも、県の補助が拡大しない限り、町長の側からこの制度の拡大の提案はしようがありませんね。
それにしても、これだけの注目施策を「施策の重要性、緊急度」で片付けるとはねぇ。
東郷町で希望を捨てるのはまだ早い
子ども医療費無料化について町長が2回(1回目は5月6日付)も文章を書いたのはあせっている証拠です。また、この制度に消極的だった議員から、国と県にこの制度への助成を求める意見書が提起されたのは、議会も追い詰められている証拠です。子ども医療費無料化に真剣に取り組まない東郷町政を変えるために、私たちも頑張ります。皆さんも引き続き、署名などへのご協力をお願いします。