小島氏の「解説」で、『本朝文粋』の名は『唐文粋』に学んだもので、「文粋とは文章の英粋を纂したもの」であるという字解がなされた後、「但し唐文粋は唐代散文のうち、古雅を主とし、非定型の古詩を収めるなど、いわゆる美文にわたらざるものを一般に採用する」のに対し、「本朝文粋が編纂の体裁や部門に関して『文選』を学び、また平安人の美文麗句を収めるのは、『文粋』という名のみを学んで、実を失ったもの」(同書29頁)だと、非常に手厳しい評が付されている。
(岩波書店 1964年6月)
(岩波書店 1964年6月)