書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

村元健一 『漢魏晋南北朝時代の都城と陵墓の研究』

2017年05月08日 | 東洋史
 出版社による紹介。

 再読。
 「第二篇 魏晋南北朝期の都城と陵墓 第一章 曹魏西晋の皇帝陵」で、西高穴二号墓について取り上げられている(第一節)。これを曹操の墓とする根拠は、曹操墓が副葬品・規模において「博葬」であったという記述に合致することと、ただし「葬送儀礼の際にもっとも目立つ墓道の規模のみは後漢の諸侯王墓陵に比して著しく巨大化していること」(268頁)である。その他の根拠についても288頁の注4で触れられている。ただ、その注4にも挙げられる件の石碑の“魏武王”および“常所用”の字句については、「筆者も解釈しがたい」とし、しかしながら「公表されている資料から見る限り、これを高陵〔曹操本人の墓〕以外のものと考えることは困難であると考える」(265-266頁)と結論する。
 何を言っているのかわからないし、これで通るのがいっそうわからないが、要はそういう世界なのである。この理屈がわかったら自分にはかえってよくないだろうと、いまは思っている。

(汲古書院 2016年8月)