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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

ウィキペディア「中国語」から

2014年12月26日 | 思考の断片
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%AA%9E#.E6.AD.B4.E5.8F.B2

 諸方言は中国祖語をもとに、タイ諸語などの南方諸語やモンゴル語、満洲語など北のアルタイ諸語の発音、語彙、文法など特徴を取り込みながら分化したと考えられている。その特徴として、声調を持ち、孤立語で、@BlogJoseph 承前)単音節言語であることが挙げられる〔略〕が、現代北方語(普通話を含む)は元代以降、かなりの程度アルタイ化したため必ずしも孤立語的、単音節的ではない。 (「方言」条)

 この立場の代表的なものの一つが、主として字音の変遷からするものではあるが、藤堂明保『中国語音韻論』(光世館 1980年5月)である。例えばこんにち広東語において修飾語が被修飾語の後に来る現象を、唐・宋代以降、北方から漢人の入植が進んだ広東省地方において、漢語が同地方の原住民である壮族の言語の影響を受けた結果としている(同書151頁)。
 しかし橋本萬太郎氏になると見方が逆転し、いま挙げた広東語などは、もとは漢語の方言などではなく、壮族が漢語を習得する過程で自身の言語特有の発音や語彙表現を漢語に覆い被せたものということになる(橋本萬太郎編『民族の世界史』5「漢民族と中国社会」山川出版社 1983年12月、「第Ⅱ章 ことばと民族」、とくに144頁)。
 岡田英弘氏に至るとこの論点はさらに徹底し、漢語は「実は多くの言語の集合体であって、その上に(話者の言語とその発音によってどのようにも読める表意文字であるところの)漢字の使用が蔽いかぶさっているにすぎ」ず、さらにそのもとを辿ればピジン言語で、異なる言語話者間における「文字通信専用の」、完全な人工言語であるとする(同書「第Ⅰ章 東アジア大陸における民族」77-78頁)。これがいわゆる「雅言」であり、「(もとはタイ系であったと思われる)夏人の言語をベースにして、多くの言語、狄や戎のアルタイ系、チベット・ビルマ系の言語が影響して成立した古代都市の共通語、マーケット・ランゲージの特徴を残したものと考えられる」(78頁)。つまり漢語祖語などというものは存在しないという主張である。
 漢語音韻学では漢字の字音を上古音(中古音以前、『詩経』が中心)・中古音(南北朝時代後期~宋初まで)・近世音(宋~清代)・現代音と時代分けする。
 これらの劃期は、現代音を除きすべて、北方からの大規模な民族移動の時期と重なっている。
 この一致について、前出藤堂著ではとくに言及はない。氏の行き方はもっぱら漢語の音韻の時系列的また空間的な変遷を跡づけるものである。これに関して言葉をうらがえして言えば、「なぜ、そしてそう変化したのか」についての説明はあまりされないということでもある。一方の橋本・岡田説は、この「なぜ」「どう」に関する説明を積極的に行おうとするところに藤堂説と対照的であるといえよう。

 第一、周そのものが、西北からの侵入者であり (『民族の世界史』5「漢民族と中国社会」、橋本萬太郎/鈴木秀夫「序章 漢字文化圏の形成」同書32頁)

 この結果、夏人と同じく南方系であったらしく、従って修飾語が被修飾語の後に来ていた殷人の書記言語(甲骨文)は、周代になるとその位置が逆転(アルタイ化)する。「帝嚳」が「武王」となったように。

 帝嚳を、”帝であるところの嚳”である、と同格構造にみなしたがるのは、漢民族の言語の構造が「漢」代の言語の構文の原理によってすべて一貫していて、それ以外の民族の言語要素はいっさいみとめられないとするところの、『漢民族一枚岩史観』の偏見によるものであることは、もはや、多言を要さないであろう。 (橋本萬太郎「第Ⅱ章 ことばと民族」同書116-117頁)

波平恒男 『近代東アジア史のなかの琉球併合 中華世界秩序から植民地帝国日本へ』

2014年12月26日 | 日本史
 出版社による紹介

 1872(明治五)年の、琉球王を「陞(のぼ)して藩王と為す」という詔とそれにともなう措置は、律令制下の令制国の王に報ずるということではなく、それまで薩摩の「附庸国」であった琉球を、日本(帝)国の直接の藩属国に格上げするという意味であり、だから「陞(のぼ)して」という語句が使われているのであるという解釈。つまりまさに「冊封」だった。そしてその目的は「日清両属の解消に直結するものではなく」、「分明二(日清)両属ト見做ス」(左院による答議の一節)ためであった。第2章「琉球藩王冊封とその歴史的意味」、参照。

(岩波書店 2014年6月)