岸俊男編 『日本の古代』 9 「都城の生態」

　読後、平安京の都大路に天皇専用の御道がなかったのは何故だろうと思った。モデルとなった北魏洛陽城にはあった。
　一門有三道，所謂九軌。　　（『洛陽伽藍記』「序」）

（中央公論社　1996年6月）

荒木見悟 「一 気学解釈への疑問 王廷相を中心として」

　同氏著『中国心学の鼓動と仏教』（中国書店　1995年9月）、同書3-49頁。

　気学とは、「宋代の張横渠〔載〕に始まり、明代における王廷相以下を通過し、清代の王船山〔夫之〕・戴東原〔震〕に至る、気尊重論者の思想」として、「従来の『理学』『心学』に対する独自の哲学として認識すべき」（3頁）と張岱年によって提唱されて以後、「中国においてはこれに同調する学者が多く、しかも気学者は唯物論の先駆をなすものとして、理学者・心学者よりも優位に立つものとして顕彰されつつあるようである」（同）ものである。

高銀美 「宋銭の流出と『倭船入界之禁』」

　『史学雑誌』123-6、2014年6月、58-75頁。

　日本からの商船にのみこの入国制限令が課せられるのは1250年代であるが、宋朝において、紙幣併用政策が実施される1160年代以降、年間銅銭鋳造量の1割以上を、日本船が貿易の結果持ち去っていた由。