書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

康有為は『大同書』を何語で書いたか

2014年02月18日 | 思考の断片
 漢文(文言文)ではない。なぜならこの著には語彙に当時の(近代の)それが混じる(参考)。時事を論じる以上それは避けられなかったにせよ、このことだけを問題にすれば文言文ではなく書面語ということになる。だが基本的な語彙表現と文法は(つまりベースとなっている文体は)、浅文言ながら却て深文言に近い。ではこれは何語というべきか。

陳垣 「中國佛教史籍概論」

2014年02月18日 | 東洋史
 『陳援庵先生全集』第九冊(台北 新文豊出版公司、1993年)所収のテキストをざっと眺めた。体裁は簡素、文体は明晰、必要なことだけを書き、内容・語句ともに無駄というものがない。清代学者の筆記や札記を見るようだ。これで、この著の日本語訳と注釈を読むのが楽しみになった。

小津安二郎監督 『東京物語』(1953年)

2014年02月18日 | 映画
 カットが長い。撮影位置が低い上に固定されているから余計に長く感じる。当時はそれほど長いとは思われなかったのだろうか。香川京子さん演じる京子の清潔な美しさと、杉村春子さんの志げが見せる小商売の世界に染まった品のなさとに共に、平成にはない昭和の日本を感じる。