書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

田中周 「民族名称『ウイグル』の出現と採用 ――『回』から『維吾爾』へ」

2014年02月15日 | 東洋史
 鈴木隆/田中周編『転換期中国の政治と社会構造』、第6章。本書181-207頁。
 全体的に軽いタッチという印象。まんべんなく言及したために、どの論点もやや詳しさが足りなくなったということかもしれない。
 最後の参考文献欄で、ムハンマド・エミン・ボグラ著『東トルキスタン史』を「東トルコ語」の資料として挙げてある。

(国際書院 2013年10月)

『シリーズ20世紀中国史』 2 「近代性の構造」

2014年02月15日 | 東洋史
 「歴史学者と国土意識」(吉開将人)は面白かったが、ほかはよくわからない。このシリーズ全体についてもそうだが、巻全体、あるいはかなりの数の論文の問題意識や論旨がよく理解できないか、できてもその重要性がいまひとつ解らない。
 述べられている事実は解る。
 むかし『中国史学入門』や『アジア歴史研究入門』は難しいが務めればわかるのに、『中国史研究入門』や旧版『岩波講座世界歴史』の中国史部分の大方が、何度読んでもよくわからなかったのを思い出す。歴史観や方法論の差といったふうな次元ではなく、学問とは何か、研究するとは何かについての考え方が異なっているのだろうと、今にして思う。考えてみれば研究者の数だけ“学問”はあり、“研究”はあるわけで、それが当たり前の常態なのだろう。

(東京大学出版会 2009年8月)