荒井幸康/渋谷謙次郎/地田徹朗/吉村貴之翻訳。塩川伸明解説。
副題「ソ連の民族とナショナリズム、1923年~1939年」。
ソ連は、途中多少揺れはしたものの、結局最後まで国民国家を作るつもりはなかったという指摘。“ソ連人”は多分にレトリックに過ぎなかったということである。だから“帝国”であって、当たり前といえば当たり前なのだが。(世界一の帝国である米国でさえ、もうとうに諦めている。)だが同時に、残る帝国の中国がどうしてあそこまで中華民族の創出(=漢民族への同化)に執着するのかという疑問が、いまさらながらに湧く。これは政治や経済の問題ではなく歴史・文化の範疇、すなわち歴史学者や文化人類学者ほかの人文科学者が探究すべきテーマではなかろうか。
ところで中央アジア関係の章でセルゲイ・マローフについて何か出てくるかと思ったが、なし。
(明石書店 2011年5月)
副題「ソ連の民族とナショナリズム、1923年~1939年」。
ソ連は、途中多少揺れはしたものの、結局最後まで国民国家を作るつもりはなかったという指摘。“ソ連人”は多分にレトリックに過ぎなかったということである。だから“帝国”であって、当たり前といえば当たり前なのだが。(世界一の帝国である米国でさえ、もうとうに諦めている。)だが同時に、残る帝国の中国がどうしてあそこまで中華民族の創出(=漢民族への同化)に執着するのかという疑問が、いまさらながらに湧く。これは政治や経済の問題ではなく歴史・文化の範疇、すなわち歴史学者や文化人類学者ほかの人文科学者が探究すべきテーマではなかろうか。
ところで中央アジア関係の章でセルゲイ・マローフについて何か出てくるかと思ったが、なし。
(明石書店 2011年5月)