書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

佐藤優 『自壊する帝国』

2006年07月24日 | 西洋史
 文中、主人公=著者と登場人物群(とりわけサーシャ・カザコフ)との間で交わされる会話は、石上玄一郎『彷徨えるユダヤ人』(人文書院 1974年1月)のそれよりもさらに神学的である。宗教的という形容語でもいいが、その場合、“『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』のように”という前置きと共に。

(新潮社 2006年5月)

筆坂秀世 『日本共産党』

2006年07月24日 | 政治
 元日本共産党常任幹部会委員・政策委員長、元参議院議員である筆者の日本共産党に対する評価は、「思考停止」「無責任」「自画自賛」「とても政権担当能力など持ちえていない」。つまり彼らは上から下まで、腹に一物で馬鹿のふりをしているのではなく、本当に馬鹿だというのである。
 なるほど、本当に馬鹿だから、例えば「プロレタリアート独裁」の「独裁」を「執権」と言い換えれば、「鎌倉に幕府でも開くつもりか」などとのちのちまで嘲られることになるという、こんな火を見るより瞭かな結果も予測できなかったのであろう。

(新潮社 2006年5月5刷)