歴史的町並み保存の団体で働いていたことがあって、こういったことにも興味がある。先日の沖縄でも、とっくりと古今の家並みを見てきた。
マレーシアとインドネシアとシンガポールの町家(townhouse)は、現地を訪れてこの目で確かめたこともあり、多少知っているが、どれもいわゆるウナギの寝床というやつで、その点、京都や奈良の町家と軌を同じくしている。この本によるとベトナムもそうらしい。しかも書中図面を見ると坪庭まである(ホイアン、113頁。ただし必ずしも二階建てではないらしい)。なぜだろう。そもそも日本の町屋がそうなのもよく分からない。間口の広さに比例してかかる税金を嫌ってという説明を長らく聞いてきたが、それは俗説だともいうし、ますます分からない。違うのはフランスの影響を受けたのであろう、洋風でファサードの押し出しが強い、いわば最初から看板建築風なものが見られるところだが、これはシンガポールのコロニアルスタイルのタウンハウスではよくある形式だから、ことさら異とするには当たらないだろう。ベトナムはフランスの植民地だったのだから。
(岩波書店 2003年6月)
マレーシアとインドネシアとシンガポールの町家(townhouse)は、現地を訪れてこの目で確かめたこともあり、多少知っているが、どれもいわゆるウナギの寝床というやつで、その点、京都や奈良の町家と軌を同じくしている。この本によるとベトナムもそうらしい。しかも書中図面を見ると坪庭まである(ホイアン、113頁。ただし必ずしも二階建てではないらしい)。なぜだろう。そもそも日本の町屋がそうなのもよく分からない。間口の広さに比例してかかる税金を嫌ってという説明を長らく聞いてきたが、それは俗説だともいうし、ますます分からない。違うのはフランスの影響を受けたのであろう、洋風でファサードの押し出しが強い、いわば最初から看板建築風なものが見られるところだが、これはシンガポールのコロニアルスタイルのタウンハウスではよくある形式だから、ことさら異とするには当たらないだろう。ベトナムはフランスの植民地だったのだから。
(岩波書店 2003年6月)