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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「<訃報>文豪・魯迅の息子、周海嬰氏が北京で永眠―中国」 を見て

2011年04月07日 | 
▲「レコードチャイナ」2011-04-07 12:59:57、翻訳・編集/愛玉。
  〈http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=50469

 2011年4月7日午前5時36分(日本時間同6時36分)、中国の文豪・魯迅の息子である周海嬰(ジョウ・ハイイン)氏が、入院先の北京の病院で永眠した。享年81歳。香港の衛星TV局・フェニックステレビが伝えた。


 不肖の息子死す。この人は、「魯迅酒」などという名前の酒を売り出そうとしたり、世間の反日感情に便乗して「魯迅は須藤(五百三)医師に殺された」などと根拠もなしに妄りなことを喋々するといったふうな人物だった。

「岩手・大槌町でシー・シェパードメンバーが撮影した津波来襲前の映像 〔,,,〕」 を見て

2011年03月17日 | 
▲「Cool Cool Japan !!!」2011/03/16 20:00、「岩手・大槌町でシー・シェパードメンバーが撮影した津波来襲前の映像 避難誘導した大槌町の方々たち」。
 〈http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/2198718/

 ポール・ワトソン、今回の東日本巨大地震を天罰だと言っている由。イルカ猟に関係ない人々の犠牲や被害も天罰なのか?

「評論家の谷沢永一さん死去 『紙つぶて』『人間通』」 を見て

2011年03月09日 | 
▲「asahi.com」2011年3月9日11時21分。
 〈http://www.asahi.com/obituaries/update/0309/OSK201103090032.html

 書籍の成立や装丁などを研究する書誌学を専門とした。隠れた好著を紹介する一方、無内容な「名著」を厳しく批判。社会事象に関しても保守派の立場から歯にきぬ着せぬ評論を展開した。62年に日本近代文学を論じた「大正期の文芸評論」を刊行。「完本 紙つぶて」で80年、サントリー学芸賞、「文豪たちの大喧嘩(げんか)」で2003年度の読売文学賞を受賞した。「紙つぶて 自作自注最終版」で06年に毎日書評賞を受けた。独自の人生論をまとめた「人間通」(95年)がベストセラーになったほか、テレビのコメンテーターとしても親しまれた。

 社会・政治評論家としての言論には賛成できないところもあったし、首をかしげる主張(論拠が明らかにされていないという意味で)も、なかにはあった。しかし本来の畑である書誌学者・近代日本文学研究者、そしてその発展形としての文芸評論家としてのこの人は、実事求是・博引旁証の碩学として、つねに畏敬してきた。ご冥福をお祈りします。

翻訳者としての福澤諭吉・中江兆民・加藤弘之の技量瞥見

2011年01月30日 | 
 加藤周一/丸山真男校注 『日本近代思想体系』 15 「翻訳の思想」(岩波書店 1991年9月)を材料に、福澤「アメリカ独立宣言」(慶応2・1866年。丸山真男注)、中江「非開化論」(明治16・1883年。宮村治雄注)加藤「国法汎論」(明治5・1872年。村上淳一注)を読む。
 中江「非開化論」は原典フランス語、加藤「国法汎論」は同ドイツ語のため、この二者の翻訳の正確さおよび水準の判断・評価にあたっては注者の注釈・説明に依拠した。
 三者について、私の判断と評価。

 福澤「アメリカ独立宣言」・・・・・・極めて正確。そのため余計な補筆もない。日本語としてもとても平易で明晰な訳文。
 中江「非開化論」・・・・・・自分の思想(理想)にひきつけた意訳が見られる。その結果としての原典を離れた補筆もしばしばある。それから自分一個にしか通用しない独自の語彙(僻典からの漢語)が多くて読みにくい。
 加藤「国法汎論」・・・・・・不的確な訳もしくは誤訳のため、つじつまがあわなくなると補筆が入る。加藤は、語学力以前に翻訳対象の分野に関する知識が不足していたと思われる。三者の中で一番水準が低い。

李剛/何景方著 野崎晃市訳 『川島芳子生死の謎 長春での生存説調査記録』

2010年11月25日 | 
 2009年の2チャンネルでこの著者たちを詐欺師呼ばわりし、訳者をその片棒を担ぐ者としてくそみそに貶したうえ、出版は決してさせない、その手もちゃんと打った、この件はすべて終わったと豪語していたスレッドがあったが、結局出鱈目だったわけだ。「中央日報」のコメント欄もそうだが、匿名でいい掲示板はどこもかしこもゴミ溜めである。その集積である2チャンネルはさしずめ肥溜めだ。きのう3時間かけて最初から最期まで読んだ私は馬鹿だった。「真に受ける奴が悪い」と、書いた奴ら(ほとんど一人の自作自演か?)は、せせら笑っているだろうが。
 で、肝心のこの訳書だが、訳が悪すぎる。直訳+2本の毛ぐらいである。編集はちゃんとしたのか。さらに、この版元の通弊なのか、フォントがちゃちで、印字も悪い。まるでワープロ原稿である。内容? 内容は、言うに足らない

(ブイツーソリューション 2010年6月)

訃報ふたつ

2010年09月30日 | 
▲「時事ドットコム」2010/09/30-20:41、「米俳優トニー・カーティス氏死去=代表作に『お熱いのがお好き』」
 〈http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010093000890

 このひとハンガリー系だったのか。いままで知らなかった。
 この人を最初に見たのはテレビで放映された『隊長ブーリバ』(1962年)、子供心にすごい美男子だと思った。今のイケメンなど比ではない。最後に見たのはテレビシリーズの『ベガス』(1978年―1981年)。シブ中というか、元祖ちょいワルオヤジだった。
 ご冥福をお祈りします。

▲「時事ドットコム」2010/09/30-14:21、「池内淳子さん死去=ドラマ、映画、舞台で活躍」
 〈http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010093000450&j1

 この人といえば、私には、昭和48(1973)年度NHK大河ドラマ『国盗り物語』のお万阿。享年76才ということは、この人40才そこそこであの役(20代はじめから70代まで)を演じたのか。すごい貫禄だった。
 ご冥福をお祈りします。

 このところ、心に残る人びとの訃報がしきりのような。

矢吹光 『長渕剛 vs. 桑田佳祐』

2010年08月13日 | 
 おもしろおかしく煽るだけ、業界雀の瓦版。かといって、最後はなんだかんだいって落として締める、典型的なマッチポンプ。 
 アンチメジャーを気取って、マイナーな(と自分が判断した)長渕さんを持ち上げる一方、メジャーな桑田さんをけなす。しかしけなしたあとはちょっと色をつけてバランスを取る、その下種な姑息さが我慢できない。
 そもそもマイナーとお前が判断した長渕さんを、持ち上げているつもりが実際は彼氏にとんでもない非礼を働いていることがわからんのか。この仮名・経歴非公開のボケが。

(三一書房 1995年3月)

苦味(ビター)を少々――田辺聖子さんの同名の著作からお題を拝借しての anecdote ひとつ――

2010年07月26日 | 
 同業者の翻訳者からあきれ果てた話を聞いた。翻訳(日本語訳)の仕事を頼まれたのだが、一から訳するのではなくて、もとの訳稿がもうあって、すでに翻訳されたもののチェックだから料金はいつもの半額しか出せないという。この世界ではまあよくあるといえばよくあることなので、諾といってメールで送られてきたファイルを見てみれば、一目であきらかに機械翻訳の訳文であった。意味は通らず、文法的にもめちゃくちゃ、ただ外国語の単語を逐次日本語のそれに置き換えただけのような代物だったそうな。もちろん使い物になどならない。同業者は、「つまりこの『もとの訳稿』というのは、翻訳費用を半分に節約するために、『すでに翻訳されたもののチェックだから』と形をととのえるためのアリバイにすぎなかったのだ。なんという卑劣なことをする」と怒り心頭に発していた。
 それを聞いた私はこういって慰めた。「もっと凄い話があるぞ。その『もとの原稿』をほんとうに商品として出して、一丁前の代金を受け取った奴がいる。プロじゃなくて、大学の先生だがね。俺がその翻訳のひどさと仕事に対する姿勢のいい加減さを指摘すると、先生怒り出した。『僕はT大出身で、国立大学の教授だぞ』とね。いや本当の話」
 私とその同業者は、笑い出した。
「それでよく相手が受け取ったなあ」
「もともとそれぐらいで良かったんだろうよ」
「ははは」
「ははは」