魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

カエルアンコウ

2010年11月18日 23時23分00秒 | 魚紹介

今回初めて釣った魚のカエルアンコウAntennarius striatus  (Shaw)です。
その奇怪な姿形、さらには日本魚類学会による改名の先駆けとなった魚(旧名はイザリウオ)であったり、さらにダイヴァーに人気があるなど、話題に事欠きません。

前回のブログの写真使いまわし・・・(笑

●シノニム

カエルアンコウの仲間は世界で45種が知られていますが、その姿形は変異に富み、シノニム、すなわち同物異名もおおいのです。標準和名のシノニムだけでも・・・

サラサイザリウオ
シマイザリウオ
クロイザリウオ
カラスイザリウオ
ブチイザリウオ
オニイザリウオ
クロハナオコゼ

・・・ざっと数えて、暫定的にこんなに出てきましたが、これらは少なくとも21世紀までには使われなくなった和名です。サラサイザリウオって、今でいうソウシカエルアンコウのことかと思っていたのですが、これはどうやらカエルアンコウのシノニムなのだそうです。

●釣り竿・・・の正式な「名称」は?

カエルアンコウの仲間はこのような誘引突起と呼ばれるのが発達しています。人間にもこんなんあったらと思われる方もおるかもしれませんが(笑 これは異性を引っ掛けるのではなく、餌を誘うためのものです。これを皆さんは「エスカ」と読んだりしています。

日本産魚類を扱うバイブルである日本産魚類検索ではこの「竿」を「吻上棘」、「先端のルアー」を「吻上棘先端の皮弁」と表記しています。カエルアンコウモドキやムチカエルアンコウはこの「吻上棘先端の皮弁」を欠くのです。

カエルアンコウではこれが基部から7本程度まで分岐するのですが、以前紹介したボンボリカエルアンコウは羽毛状でまとまっています。

●体表・・・お肌はざらざら

カエルアンコウの体表はざらざらしています。これはアンコウ等とは異なる特徴です。それ以外のアンコウ目の魚では、ミドリフサアンコウなどもこのように体表がざらざらしてます。逆にハナオコゼなどはなめらかです。

これほどざらざらですと、寄生虫にとっても居心地がよいのでしょう。かなり多数の寄生虫がついてることがあります。

●食べる

いよいよ究極のコーナー。これを味噌汁に入れて食べたのです。皮をはいで内臓とってそのまま汁の中へ。食えるとこは少なかったですが、まあまあ美味しかったですよ。次はもっと大きいものを食べてみたいものです。

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九州へ

2010年11月16日 00時03分32秒 | 魚類関係の集まり

11日から14日まで、熊本方面に行ってきた。

ちょっと斜めを向いてるのが残念だがくま☆すた(Kumamoto sta)であります。

今回熊本を訪れたのは「九州オフ会」に参加するためでした。

コノシロKonosirus punctatus  (Temminck and Schlegel)の姿寿司。メンバーの方に頂きました。見た目はサバ寿司のような感じです。これがとても美味しいのです。

キジハタEpinephelus akaara (Temminck and Schlegel)です。私がこの魚を釣ったのは初めてです。この魚はその日のうちに味噌汁で食うのですが、これもまた美味しいのです。釣りは他にも何種か釣り、結構楽しめましたが、たくさんの仕掛けをロス・・・

カエルアンコウAntennarius striatus (Shaw)も釣れました。これは仕掛けを落とし込んだら釣れて(ひっかかって?)きました。鍋で食べました。小さくて食べにくかったのですが、味は決して悪くはなかったです。カエルアンコウについては後日またいろいろと書きます。

立ち寄った不知火(しらぬい)町は「デコポン」の誕生の地です。途中の段々畑では柑橘類の木もちらほらと・・・宇和島の風景がよみがえりました。

感想として。オフ会って本当にいいものですね。いろんな話をできますし、ネットでは伝わらない感情、気持ち、心を直接伝えられ、そしてそれがまたさまざまな意味で勉強にもなるのです。

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交雑種

2010年11月09日 23時17分27秒 | 魚介類飼育(淡水)

以前もご紹介しました交雑のナマズ。レッドテールキャットフィッシュPhractocephalus hemioliopterus (Bloch and Schneider)とレオパードキャットフィッシュPerrunichthys perruno Schultzの交雑なのでしょうか。しかし他にもインターネットで検索したらさまざまな候補が出現。悩みます。

この個体は、かなりスレンダーな体型です。しかしこの親になった2種のナマズ

レッドテールキャットフィッシュ

レオパードキャットフィッシュ

は、いずれもやや寸胴の体つきが特徴です。

一方新規候補であがってきたのがタイガーショベルノーズキャットフィッシュPseudoplatystoma spp.です。

この名前でよばれているのには数種が知られていますが、その中でPseudoplatystoma corruscans (Spix and Agassiz)と呼ばれているものは、小さな斑点が体側に無数に散らばります。またこの個体は体側に淡色帯があり、飼育中の交雑種とも一致します。

しかしこの種とは吻の長さなどは一致しませんでした。この種はレッドテールキャットフィッシュとの交雑個体が販売されていますが、そのような個体は長い吻を備えています。

尾鰭はやや赤みを帯びます。これはレッドテールキャットが有する特徴です。斑紋は、タイガーショベルノーズキャットフィッシュおよびレオパードキャットフィッシュの両方にでますが、見比べますと、レオパードキャットの方が近いような気もします。レッドテールキャットフィッシュとレオパードキャットフィッシュの交雑である可能性も高くなりましたが、この手の魚は成長すると斑紋ががらりと変わることもあるのでまだまだ観察しないといけません。

ちなみに水槽の中に餌用として入れたコイ科の小型種アカヒレは食わずに共存しています。餌は最近は配合飼料をよく食べています。

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濃尾平野のゼゼラ

2010年11月06日 21時45分47秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

濃尾平野の淡水魚紹介も、今回が最後。

底生のコイ科魚類のゼゼラBiwia zezera (Ishikawa)です。

ゼゼラは日本固有の淡水魚で濃尾平野以西の本州と九州にすみます。日本産のゼゼラ属は2種からなり、琵琶湖淀川水系にはよくにたヨドゼゼラがすみます。

この魚は底が砂になってるところには少なく、田の中の用水路や、その近辺を流れる小川などの泥底のところに多い感じです。そこにたいていメダカ・スジシマドジョウ小型種東海型などと共存しています。飼育はやや難しい感じでした。食が細く、餌を食べにくいような気もします。

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濃尾平野のトウヨシノボリ

2010年11月03日 22時25分30秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

濃尾平野産のハゼ科、ヨシノボリ属の魚です。

濃尾平野のヨシノボリ類もいろいろとややこしいのですが、これはトウヨシノボリRhinogobius sp. ORと思われます。

この周辺には少なくとも3種がいるようですが、この種は体がやや長めで、胸鰭軟条が18以上と多いことで区別できます。

昨年、その近くで採集した個体。最初カワヨシノボリとしていましたが、トウヨシノボリが近そうです。ヨシノボリは日本国内では少なくとも15種が知られていますが、分類学的な問題を抱えており、ゴクラクハゼとカワヨシノボリを除き学名さえ確定していないという状況です。さて。

トウヨシノボリ

Rhinogobius sp. OR

「ヨシノボリ属」をあらわすRhinogobiusのあと、「~の一種」とかいういみで使用されるsp.がつきます(sp.とはSpeciesのこと、すなわち「種」)。

最後のORとは、橙色型(Orange type)のことです。

つまり、「ヨシノボリ属の一種橙色型」を表します。ヨシノボリの仲間の学名も確定していただきたいとは思うのですが、シノニムなどもあり、近年の分類の混乱なども考えますとなかなか難しいかもしれません。

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