今回初めて釣った魚のカエルアンコウAntennarius striatus (Shaw)です。
その奇怪な姿形、さらには日本魚類学会による改名の先駆けとなった魚(旧名はイザリウオ)であったり、さらにダイヴァーに人気があるなど、話題に事欠きません。
前回のブログの写真使いまわし・・・(笑
●シノニム
カエルアンコウの仲間は世界で45種が知られていますが、その姿形は変異に富み、シノニム、すなわち同物異名もおおいのです。標準和名のシノニムだけでも・・・
サラサイザリウオ
シマイザリウオ
クロイザリウオ
カラスイザリウオ
ブチイザリウオ
オニイザリウオ
クロハナオコゼ
・・・ざっと数えて、暫定的にこんなに出てきましたが、これらは少なくとも21世紀までには使われなくなった和名です。サラサイザリウオって、今でいうソウシカエルアンコウのことかと思っていたのですが、これはどうやらカエルアンコウのシノニムなのだそうです。
●釣り竿・・・の正式な「名称」は?
カエルアンコウの仲間はこのような誘引突起と呼ばれるのが発達しています。人間にもこんなんあったらと思われる方もおるかもしれませんが(笑 これは異性を引っ掛けるのではなく、餌を誘うためのものです。これを皆さんは「エスカ」と読んだりしています。
日本産魚類を扱うバイブルである日本産魚類検索ではこの「竿」を「吻上棘」、「先端のルアー」を「吻上棘先端の皮弁」と表記しています。カエルアンコウモドキやムチカエルアンコウはこの「吻上棘先端の皮弁」を欠くのです。
カエルアンコウではこれが基部から7本程度まで分岐するのですが、以前紹介したボンボリカエルアンコウは羽毛状でまとまっています。
●体表・・・お肌はざらざら
カエルアンコウの体表はざらざらしています。これはアンコウ等とは異なる特徴です。それ以外のアンコウ目の魚では、ミドリフサアンコウなどもこのように体表がざらざらしてます。逆にハナオコゼなどはなめらかです。
これほどざらざらですと、寄生虫にとっても居心地がよいのでしょう。かなり多数の寄生虫がついてることがあります。
●食べる
いよいよ究極のコーナー。これを味噌汁に入れて食べたのです。皮をはいで内臓とってそのまま汁の中へ。食えるとこは少なかったですが、まあまあ美味しかったですよ。次はもっと大きいものを食べてみたいものです。
カエルアンコウは確かに人を引き付けますよね。ダイヴァーにも人気がある魚です。
でもその恰好から手をつけようとする方はあまりおられないようです(笑
この個体は天草のいかだでつりをしていたら引っかかってきましたが、基本的には関東以南の太平洋岸、日本海西部に広くいるようです。防波堤のところでたまに泳いでいたり、じっとしていたりするのも見かけます。潮溜まりでは少ないかな?