3月の終わりにぶろぐを消されてしまったので、4~5月のできごとも書いていきます。
5月に非常に珍しい魚を入手した。カレイ目ダルマガレイ科のキシュウダルマガレイである。
本種はダルマガレイ科のスミレガレイ属に含まれる。ダルマガレイ属に比べると体がやや長めのグループである。この属は日本近海から3種が知られているが、最初は同じ属のスミレガレイではないかと思われた。しかしスミレガレイは側線鱗数が90~96枚と多く、本種と見分けられる。本種のほうがやや鱗が大きいためか数は少なく80~86枚である。
この個体は雌であり、両眼の間隔は広くないし、両眼の間にはくぼみがないように見える。しかし検索図鑑ではこの種に行き当たるのはくぼみがあるグループを選ばないと本種にいきつかないようになっている。そのため検索図鑑を使用すると誤同定しやすく、高い確率でイイジマダルマガレイ属やナガダルマガレイ属に行きついてしまうという問題点があるので、注意が必要である。いくつかの文献などでトサダルマガレイとか、ソコダルマガレイとされている種の中にはスミレガレイが相当いるように思う。地味な色彩ではあるが頭部や眼にはうっすらと黄色の斑点があり、意外ときれいなものである。口の歯もヒラメなどほど強くはないように見えるが、おそらくヒラメのようにイワシなどの魚を急上昇して襲撃するよりも底生の小魚や甲殻類など(死骸も含む)を捕食するのだと思われる。この個体は釣りによって漁獲されていて、底曳網で漁獲されるよりもきれいな体を保っていると思われたが、鱗はだいぶはがれてしまっていた。
ダルマガレイの仲間はヒラメ科のものとはことなり、あまり食用にされることは多くないが、沖縄ではモンダルマガレイなど一部の大型種は食用となっている。このキシュウダルマガレイもある程度大きく(235mmTL)、食べてみた。ヒラメは刺身が美味しいが、この種はそれほど大きくはならない。カレイ目全般で無難な食べ方である唐揚げで食べたが、非常に美味しいものであった。機会があればまた食べたいところではある。しかし、小型底曳網ではまとまって漁獲されることはあるようだが、市場にでることはほとんどない。そのためなかなか手に入れにくい魚といえるかもしれない。
今回のキシュウダルマガレイも長崎 印束商店 石田拓治さんより。ありがとうございました。
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