魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

キヘリモンガラ

2022年09月13日 07時48分17秒 | 魚紹介

今回も宮崎の「あらら」さんから頂いた魚。フグ目・モンガラカワハギ科・キヘリモンガラ属のキヘリモンガラ。

キヘリモンガラはモンガラカワハギ科の魚の中でも特に大型になる種で、全長50cm近くにもなる。幼魚は流れ藻などの浮遊物につき広範囲に出現する。北は北海道まで見られるが、琉球列島やインドー中央太平洋のサンゴ礁域が分布域の中心になる。キヘリモンガラ属は3種が知られ、インドー中央太平洋に2種、東太平洋にもう1種が知られている。写真のキヘリモンガラはブイについていたものを掬ったものである(高知県産)。2008年の初遭遇以降、何度か出会っているが今回遭遇したような大きめサイズ(といっても18cmほど)の個体に遭遇したのは今回が初めてである。

ゴマモンガラという種もキヘリモンガラによく似ているが、ゴマモンガラは口唇をのぞいて吻部が鱗に覆われるのに対し、キヘリモンガラは吻部が鱗に覆われている。この吻部の鱗の様子によって属も分けられるようで、キヘリモンガラはキヘリモンガラ属、ゴマモンガラはモンガラカワハギ属である。また、成魚は鰭の模様も異なり、ゴマモンガラは背鰭・臀鰭縁辺が黒く、キヘリモンガラではその名の通り黄色っぽい色をしている。しかし小さい幼魚は写真からだけではわかりにくいこともある。モンガラカワハギ科の魚は非常に強い歯をもち、咬まれると危ないこともあるので、針を外すときなど、釣った個体の口もとに手を近づけるときは十分注意しなければならない。

今回のキヘリモンガラは煮つけで食べた。モンガラカワハギ科は鮮度がよければ刺身でも美味しいのだが、冷凍したものは煮つけなどにするとよい。ただ皮下の部分は臭いのでそこだけは取り除くとよいだろう。また、キヘリモンガラは雑食性で、甲殻類や小魚から、カイメン、サンゴなど様々な付着生物を捕食する。そのため内臓は毒化するリスクがある。そのため内臓などは食べないほうがよいだろう。なお、煮つけの写真は諸事情により、また今度アップする。

モンガラカワハギ科の魚は日本から24種が知られているが、食用になる種は多くない。しかしながら下瀬環氏による「沖縄さかな図鑑」は、一般的に市場に水揚げされる魚以外は悲しい評価をされることが多いが(ベラ類など)、モンガラカワハギ科についてはゴマモンガラなどについて「まれに漁獲・水揚げされ食用となる」と評価されているし、アミモンガラについても「市場にはでないが、美味しく食べられる」と意外と評価が高い。私が食したモンガラカワハギ科はあまり多くはなく、現在のところ、オキハギ、モンガラカワハギ、イソモンガラ、キヘリモンガラ、メガネハギ、そしてアミモンガラのみ食している。本科魚類はシガテラ毒をもつことがたまにあるため、そのような点で敬遠ぎみかもしれない。

しかし「モンガラカワハギ」という名前が問題なのかもしれない。「モンガラカワハギ科のアミモンガラを食べる」と、家族に説明したら家族はあまりいい顔をしなかった。アミモンガラはやや地味な種であるのにも関わらず家族から敬遠された。一方「カワハギ科のソウシハギを食べる」と、家族に生鮮時のソウシハギ(カワハギ科中3番目に派手な種)の姿を説明したが、家族は受け入れて一緒に美味しく食べたのであった。うーん。

今回のキヘリモンガラも宮崎の「あらら」さんが、沖縄の海人の方から入手されたものをお願いしていただいたもの。ありがとうございました。

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