今日のフィリピン魚はフグ科のサザナミフグArothron hispidus (Linnaeus)です。
サザナミフグはインド・太平洋域の暖海域に生息する普通種です。大型になるフグで、50cm近くになることもあるそうです。体は茶褐色から灰色の地色で、体には大きな白色斑があり、それは尾鰭にも入ったりします。腹部に波状の線が入っています。体表は小さな棘に覆われています。
本種を含むモヨウフグ属の魚類も毒をもつことが知られています。皮膚・精巣・肝臓・卵巣はいずれも毒があり、筋肉にも毒があるという報告があります。また、皮膚から毒を出すという報告もあり、ほかの魚と飼育するのは注意が必要となります。多くの県では食用を禁じられている種です。
また、もう一つ注意が必要なのは、大きくて強い4枚の歯です。
フグ科魚類の歯は4枚。フグ科の属の学名Tetraodon や、それに基くフグ科Tetraodontidaeの学名は、この4枚の歯をもつところに由来します。フグ毒のテトロドトキシンも、ここからきています。この小さいうちは噛まれても痛いだけで済みますが大きい個体は指を食いちぎることさえできるといわれており、注意しなければなりません。養殖のトラフグなどでは、わざわざ歯をペンチなどで抜く場合があるほどです。さもないと、他の個体に噛まれ体や鰭をボロボロにされてしまう場合があるのです。
●生態
サンゴ礁の海に多い種類ですが、稚魚・幼魚は黒潮に乗って本州沿岸にも姿を見せます。流れ藻などについている場合も多いです。また、幼魚のうちはサンゴ礁に近い河川の汽水域、マングローブにも生息しています。汽水域にはこのほかスジモヨウフグや、ワモンフグなどの幼魚も見られます。
写真は2009年8月に高知県の小規模河川汽水域で見かけたサザナミフグの幼魚です。この河川は他にクサフグなども見かけましたがモヨウフグ属のフグは本種のみがみられました。この年の7月には近隣の数か所で、もっと小さなサザナミフグを多数見ています。
フィリピンにはモヨウフグ属の魚は9種生息しており、そのすべてが日本にも分布しています。世界からは15種が知られており、インド・太平洋域、東部太平洋、南アフリカ沿岸に分布します。
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