以前購入した魚のご紹介。スズキ目・ハタ科・ユカタハタ属のアオノメハタ。ユカタハタ属のハタはいずれも暖かい海に見られ、多くは浅いサンゴ礁域に生息している。このアオノメハタもそんな種類で、サンゴ礁域の浅瀬に見られる普通種である。
特徴のひとつは背鰭棘条部である。本種はユカタハタ属のハタで、背鰭棘数はほかのユカタハタ属と同様9棘。しかし鰭膜先端部のオレンジ色が美しく、よく目立っている。さらに各鰭および体側に小さな青白い小斑が多数散らばっているのも特徴。体側には不明瞭な灰色の横帯があり、この個体にもうっすらみられるが、この横帯がないものもいる。鰓蓋付近には目立つ褐色斑がないことで近年日本から記録されたサミダレハタとも見分けられるようだ。
アオノメハタは主に浅い海に生息しているが、幼魚のうちは潮だまりでもその姿をみることができる。鹿児島県の喜界島はハタ科の天国であるが、干潮時潮が完全に引くような潮だまりでも本種の幼魚が何個体か見られた。2010年には水深1mほどの潮だまりで見られたが、餌に興味を示してチェイスはしてきたが、針にはかからなかった。今年2022年に行ったときもスズメダイの群れに混ざっていたが、弱ったスズメダイやスズメダイの幼魚などはアオノメハタの餌になってしまうかもしれない。小魚のほか甲殻類なども捕食しているが、アオノメハタもまたヒトに食べられるのである。しかしアオノメハタは大型の個体ではまれにシガテラ毒をもつとされているので注意が必要である。琉球列島ではごく普通に水揚げされるが、とくに八重山諸島では多いとされる。40cmほどになるが、水揚げされるのはもっと小ぶりのものが多いように思われる。
石垣島産のアオノメハタ
分布域は日本国内では和歌山県串本以南の太平洋岸、琉球列島、南大東島、尖閣諸島、小笠原諸島。海外では南アフリカ~ピトケアンまでのインドー太平洋および紅海に広く見られる。ハワイ諸島には分布していなかったが1950年代に移植されたものが定着している。
なお今回のトップ画像の個体は丸万 田中水産の田中積社長より。田中さんいつもありがとうございます!
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