忙しくてなかなかぶろぐ更新もできていませんでした。しかし今朝栃木県内陸部の某市で-5℃だって。まあ内陸県ですが。これは以前入手した魚ですが記事にはできていなかったのでご紹介。フグ目・フグ科のクマサカフグ。
クマサカフグの胸鰭下方は透明
クマサカフグはサバフグ属の種である。特徴としてはほかのサバフグ属よりも細長いような体つき、胸鰭上半分が黒く下方が透明であることなどがあげられる。従来は「腹部に黒点が入る」ことでも見分けられるとされてきたが、これは同定には使えないのかもしれない。というのも、この黒色斑は出ることも出ないこともあるからである。この写真の個体にも腹部の斑点がない。あるように見えるが、これは小棘である。この棘があることによりカナフグなどと区別可能。なおサバフグ属の紹介は2013年以来で10年ぶりくらいになる。ほかにこのぶろぐではカイユウセンニンフグとクロサバフグを紹介し、シロサバフグについても簡易的に紹介している。
定置網で同時に漁獲されたもう1個体
以前はクマサカフグはLagocephalus lagocephalus oceanicusという学名であったが、現在では亜種とせずLagocephalus lagocephalusとされた。タイプ産地はインドだそうであるが、個人的にはインドーパシフィックのものと大西洋、東太平洋のものは違うのかもしれないと思ったりしている。そういえばFishbaseでLagocephalus lagocephalusとされた、飼育魚の写真みたいなのを昔見たのだが、最近になって消えてしまった。どこへ行ってしまったのだろう?サバフグ属はインドー太平洋に種類が多く、紅海で見られるセンニンフグやシロサバフグなどはスエズ運河開通後に地中海にも進出しているが、大西洋産種は少なく、シロカナフグとクマサカフグの2種だけだという。ヨリトフグ属は結構見られるのに不思議である。ニッチに入れなかったのだろうか。
クマサカフグの毒性についてはよく知られていないものの、食用可能なフグの中には入っていないので食べられないものと考えるべきであろう。本種同様に外洋性のフグ科魚類であるセンニンフグは有毒であることが知られている。サバフグの仲間は水族館ではあまり見たことがないが、このクマサカフグも同様で東海大学海洋科学博物館で展示されたときには話題になっていた。センニンフグはぼちぼち水族館で飼育例があるようだが、長期飼育できているんだろうか?そういえばセンニンフグをこのぶろぐで紹介したことも一度もなかった。また今度ご紹介したいと思っている。食性はクマサカフグもセンニンフグも動物食性とされ、小型魚類やイカ、甲殻類などを捕食しているものと考えられている。やや沖合にいるらしく、沖合パヤオのジギングや、沖合に面した定置網などで漁獲されることが多いように思っている。今回の個体は高知県以布利で漁獲されたものをいただいたもので、同時に2個体網に入っており、同属のシロサバフグやクロサバフグも水揚げされていた。大敷のみなさん、ありがとうございます。