魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

オニノウチワ

2021年08月08日 08時13分43秒 | 魚紹介

こんばんは。いつの間にかトンキンオリンピックも閉会式。さすがに苦しい思いをしている方も多いのでどんな結果も喜べないのですが、みなさん、おつかれさん。

最近はネタがあまりなく、投稿ができていなかったのだが、宮崎県からひさしぶりに「いい魚」が届いたのでご紹介。エイの一種(サカタザメ目・ウチワザメ科)のオニノウチワという種類だ。

本種が含まれるサカタザメ目・ウチワザメ科はいずれも上位分類群の標準和名に「ザメ」とあるが、サメの仲間ではなく、エイの仲間である。もっとも、サメもエイも同じ板鰓亜綱なので、広義では「同じグループ」といえるのであるが。ウチワザメ科の魚をこの魚のぶろぐで紹介するのははじめてである。以前にウチワザメも見ているのであるが、ウチワザメは写真を撮影していなかったようで、手元にデータがない。

ウチワザメなどのタイプのエイは、アカエイなどとはまたかなり異なった系統のようである。アカエイなどのような大きな尾棘はないが、背中に鋭い棘が多数生えている。毒性はないようだが、それでも取り扱いには注意したほうがよいだろう。またアカエイと異なり、オニノウチワには尾鰭と、顕著な二つの背鰭がある。

ウチワザメとの違いは、肩帯部前方に1対の棘(矢印)があること(ウチワザメではない)、眼窩や肩帯部、項部に1対の棘が黄色く縁どられていない(これらの棘が黄色く縁どられる)ということで見分けられる。見分け方については、またいつかウチワザメを入手した時にご紹介したい。

ウチワザメ属は4種が知られており、このうち3種は2010年以降に新種記載されたものである。かつてウチワザメは学名がPlatyrhina sinensisとされていたが、この種は日本におらず(台湾海峡の中国側、南シナ海、ベトナムに分布)、日本のものは新種記載された。ウチワザメの今の学名はPlatyrhina tangiである。学名種小名は人名由来で中国?の魚類学者に由来する。オニノウチワのほうの学名はPlatyrhina hyugaensisで、種小名は「日向の」を意味し、タイプ標本が宮崎県で採集されたことによるが、ウチワザメのタイプ標本も日向灘で漁獲されたものである。ウチワザメ属にはこのほかPlatyrhina psomadakisiという種もインド洋から知られている。なおウチワザメ科としては2属が知られ、もう1属はPlatyrhinoidis triseriata、英語でソーンバックと呼ばれる種のみが知られている。その名の通り棘の列が背中に並んでいる。ほかの種がアジア沿岸にすむのに対し、この種類だけは北米西海岸(カリフォルニアからバハーカリフォルニア)に生息している。

本種は三重県~鹿児島県の浅海に生息し、たまに底曳網で漁獲されるようである。今回の個体は宮崎県のおふたがた。Wadaさんと、あららさんより。いつもありがとうございます。

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