魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

キンギョの放流 また発生

2017年09月30日 20時52分04秒 | 環境問題

ご無沙汰していました。久しぶりのぶろぐ更新です。ここ半月ほどは公私ともに忙しく、あまりぶろぐを更新できていませんでした。しかしながら四国方面や、岡山県にも行くことができ、リフレッシュできました。以前から何度か分けてご紹介してきた滋賀県の魚も今回が最後。小さな河川、護岸されているものの、魚の種類も豊富で楽しむことができました。

同行者の方が採集されていたのが巨大なカネヒラ(コイ科タナゴ属)。秋産卵型として知られるカネヒラですが、7月半ばにして婚姻色がばりばりでした。カネヒラは日本産タナゴの中でも大型種で全長10㎝を超えます。

こちらも同行者の方が採集された「大物」ナマズさんです。滋賀県には日本在来のナマズとしては最大級(純淡水産としては最大種)のビワコオオナマズなども生息しています。今回の滋賀県で同行者の方はイワトコナマズも見ているそうです。いいなあ。

ウキゴリは私が採集したもの。関東にもいるハゼ科の魚なのですが、今回採集した滋賀県の個体は関東のとはちょっと違うような気がします。滋賀県では2013年にもこの魚を採集しています。一緒に採集に同行していただいたTwitterのフォロワーさんには感謝です!

・・・


しかしなぜ私は滋賀県、というか近畿地方まで足を運んだのだろう。
そうだった。


大阪府の近畿大学で行われた日本魚類学会のシンポジウム「第三の外来種問題‐人工改良品種の野外放流をめぐって‐」というのに参加するために途中で琵琶湖に立ち寄ったのでした。これがなぜ大阪府で行われたかというと、昨年に同・泉佐野市で「納涼カーニバル」と称されるイベントの中で、問題あるキンギョの放流が行われたことと無関係ではあるまい。

キンギョの放流を問題視した(当然であるが)魚類学会がわざわざお金をかけて(参加費無料!)大阪でこのようなシンポジウムを行い、第3の外来魚についての問題を解決しようという機運を高めたのですが、それをあざ笑うかのように、こんなイベントも行われたのでした。


NHKニュースより「園児がキンギョの稚魚を放流」(香川県)

河川の美しい景観づくりのために放流したとのことだが、キンギョを放流することがどうして河川の美しい景観をつくることに役立つのだろう。川の美しい景観をつくるためには、コンクリート護岸をのけて、自然に植生が復活するのをまつべきだろう。キンギョやニシキゴイは家や学校などの池で鑑賞するぶんには見ていて楽しく美しいのだが、河川や池に放流されたものを見ても楽しくも美しくもない。

キンギョは3年で30㎝も成長する。いったいどうやって30㎝も育つのだろうか。キンギョは動物なので光合成することはできず、水と光以外のエネルギーも必要なはずである。ではそのエネルギーはどうやって得ているのか考えると、それは在来の生物を捕食することにより、エネルギーを得ている。オオクチバス放流の最大の問題点は、池や湖などに放されると在来の生物を食い荒らしてしまうということだが、キンギョだってオオクチバスと同様にさまざまな生物を食い荒らしてしまうのだ。さらにいえばオオクチバスはほぼ動物食性であるが、キンギョは藻類も小動物も食い荒らしてしまうのだ。

このキンギョ放流の取り組みというのはなんと琴平町の教育委員会が行っているのだという。しかしこのような教育委員会のもとで育った子供たちは将来キンギョなどを飼うこともあるだろうが、飼育に飽きてしまったら、飼育していたキンギョやそのほかの魚を河川や池、沼などに放流ということをしてしまうのではないだろうか。年齢も5歳と非常に若く、このときの体験を将来「楽しい」と思ってやってしまったらどうなってしまうのか。

放流をやめるべきではなく、教育委員会の人はこれまで長年放流活動に参加した子供全員に「放流はいけない」という話をふくめて、謝罪すべきであっただろう。

 

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