オオモンハタ Epinephelus areolatus (Forsskål)
ハタといえば、大きくて、力持ちで、怪物のようなイメージがあるかもしれない。しかし、防波堤にもその「怪力の怪物」は潜んでいる。しかし、それらは幼魚であることが多い。マハタ、クエ、そしてこのオオモンハタが多い。では、オオモンハタとは、どんな魚なのか。これはあまり知られてはいない。
●特徴
オオモンハタの成魚は全長70cmにもなる大型種。幼魚のころは本州や四国、九州の防波堤の、足元直下の海にも結構いる。幼魚は赤い斑模様をもつ。関西で「あこう」九州長崎で「あこう」と呼ばれるキジハタEpinephelus akaara (Temminck and Schlegel)に似ているが、キジハタでは尾が丸くなるのに対し、本種の尾は截形をしている。尾鰭の後端がまっすぐなのである。よく似たものにホウセキハタEpinephelus chlorostigma (Valenciennes)というのがいるが、ホウセキハタでは尾鰭の後端が白くならないのに対し、本種は白い。
オオモンハタでは幼魚・成魚での顕著な差というのは見られないが、幼魚の斑紋は成魚のものに比べて大きいことが多い。
●生態
オオモンハタの成魚は岩礁に見られ、船釣りでも釣れる事がある。沖縄などのサンゴ礁にもよくいる。ハタ科魚類はいずれも肉食性で、本種も小魚や甲殻類などを主食としている。熱帯域にも、本州の温帯域にもよく適応しており、四国の海では一年を通してよく見られる。
●利用法と漁法
釣り人の間で「オオモンハタ専門の釣り」というのはあまりない。おそらく、マハタなど他のハタ類全般に防波堤から、船から狙うのであろう。また、本種はルアーでもよく釣れ、ソフトルアーにも果敢にアタックする。
商業としての漁では、定置網によく掛かる。秋ごろの入網が多いが、周年いる。また、愛媛県では養殖も行なわれており、「点ハタ」「点クエ」などと呼ばれるようである。
●飼育
飼育は容易。何でもよく食うが、オキアミの単食は禁物である。他の魚を一緒に入れると食われてしまう。