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フレンチボサ・デュオのこれまでと異なる路線での編集盤

2016-12-16 20:42:20 | 音盤ノート
Tom & Joyce Hoze "Reworks" Yellow Productions, 2003.

  クラブ・ジャズ。フランス人デュオTom & Joyceが改名しての編集盤。売りであったボサノバ要素をほとんど見せず、1970年代のジャズ・ファンク~フュージョン系の音が展開されている。Donald Byrdとか大野雄二とかあの辺りを思い浮かべてもらえればよい。

  内容は実質的に片割れのThomas Naimによるリミックスおよびカバー集であり、Joyceの声は全12曲中5曲で聴けるにすぎない。オリジナル曲もあるが、英国人ソウル歌手のJulie Dexterに歌わせていたりする。1stアルバムが日本でうけたからだろう、日本人ミュージシャンが四組み採りあげられている──Silent Poets, Mondo Grosso, Fried Pride, 唐沢美帆。ベストトラックはRae & Christianの"Vai Viver A Vida"のリミックスで、オリジナルからブラジル人ジャズ歌手のTania Mariaのスキャットを引いてきて、後ろの伴奏をジャズファンクに変えている。1970年代の刑事ドラマのテーマ曲のようで、なかなかスリリングである。

  三枚ある彼らのアルバムの中で、この編集盤がもっとも良くできていると思える。それならばボサノバにこだわらず、この路線を追及していたら彼らはもっと成功しただろうか。うーむ、そうするとあまり個性を出せずにUKソウル勢の中に埋没したかもしれない。またユニット名のインパクトも無くなっただろう。なかなか位置取りは難しい。
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