フレデリック・ルヴィロワ『ベストセラーの世界史』太田出版, 2013.
ベストセラー書籍をめぐる歴史エッセイ。著者はフランス人で、話もフランスおよび英米が中心である。エピソード中心の記述であり、通史を期待すると裏切られるが、挙げられたエピソードはかなり面白くて小ネタ集として使える。
ネタのいくつかを開陳すると、アレクサンドル・デュマはゴーストライターを使って作品を量産していたとか、検閲は機能しない──裁判沙汰になると逆に世間の関心が高まる、発禁になれば外国で刷られる──とか、数億単位のベストセラー書籍のほとんどは宗教書か毛沢東語録のような押しつけられた本だとか、現代の米国人作家は全米図書賞よりもオプラ・ウィンフリーの番組で自著が紹介されることをのぞんでいる(その方が確実に売れるから)とか、である。
著者には「検閲、万歳!」と書いてしまう皮肉なセンスがあるのだが、それでもいやらしい感覚は少なく、読後感はすっきりしている。読みやすいとはいえ、文学者の名前がぽんぽん出てくるので、ある程度西洋文学史を知っていることが読者の条件になるだろう。
ベストセラー書籍をめぐる歴史エッセイ。著者はフランス人で、話もフランスおよび英米が中心である。エピソード中心の記述であり、通史を期待すると裏切られるが、挙げられたエピソードはかなり面白くて小ネタ集として使える。
ネタのいくつかを開陳すると、アレクサンドル・デュマはゴーストライターを使って作品を量産していたとか、検閲は機能しない──裁判沙汰になると逆に世間の関心が高まる、発禁になれば外国で刷られる──とか、数億単位のベストセラー書籍のほとんどは宗教書か毛沢東語録のような押しつけられた本だとか、現代の米国人作家は全米図書賞よりもオプラ・ウィンフリーの番組で自著が紹介されることをのぞんでいる(その方が確実に売れるから)とか、である。
著者には「検閲、万歳!」と書いてしまう皮肉なセンスがあるのだが、それでもいやらしい感覚は少なく、読後感はすっきりしている。読みやすいとはいえ、文学者の名前がぽんぽん出てくるので、ある程度西洋文学史を知っていることが読者の条件になるだろう。