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堅くて重いピアノに、空間系の効果音を添える音楽

2011-11-02 11:35:54 | 音盤ノート
Stefano Battaglia / Michele Rabbia "Pastorale" ECM, 2010.

  ジャズ。でも、即興はあるものの、かなりクラシック寄りである。ステファノ・バターリアは、1965年にイタリア・ミラノで生またジャズピアニストで、1987年から録音がある。もう一人のミシェル・ラビアは、同じく1965年のトリノ生まれの打楽器奏者で、Enrico RavaやPaolo Fresu他、イタリアのジャズミュージシャンと多くの共演歴があるらしい。この二人の共演盤は、すでに"Stravagario"(WJ, 2001), "Stravagario 2"(WJ, 2003)の二枚があり、これが三作目となる。

  演奏は、バターリアのピアノに、ラビアが効果音的に打楽器やエレクトロニクスを加えるというもの。ラビアの役割は、1970年ごろのマイルス・デイビスのバンドにおけるAirto Moreilaと同じで、アクセントや色づけ重視であり、リズムは刻まない。バターリアは、「遊び心を見せない」ソロにおけるキース・ジャレットのようで、重くて暗い叙情をのぞかせながら、ひたすら峻厳な演奏を続ける。軽みの無い演奏であることは確かだが、聴いて疲れるかというとそうでもない。バターリアの、実験的な展開の中にタイミングよく琴線にふれる和音を繰り出すセンスは抜群で、耳馴染みする面がある。

  打楽器とピアノのデュオで巧くいった録音を知らないが、この作品は例外である。
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