先々週の週末は、天気があまり良くなかったこともあって自宅にいる時間が長く、この本は夕方から読み出して深夜に読了しました。警察ものは割と好きなこともあって一気読み。小説を半日で読了したのは久々です。
**************************** 文庫本の裏表紙より ****************************
札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令が出てしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちと共に、極秘裏に捜査を始めたのだったが・・・・・・。北海道道警を舞台に描く警察小説の金字塔、「うたう警官」の文庫化。
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所轄の事件に本部が出てくるという小説や映画ではよくあるパターンですが、佐伯をリーダーとした私的な秘密タスクチームのアイデアは面白かったです。ジャズバーの2階で全ての情報を集約、小島百合の手も借りて分析し、的確な指示を出す佐伯。決して頭脳派刑事といった感じではないのですが、見事なリーダシップを発揮します。
事件解決に大きな働きをするベテラン刑事・諸橋と女性警官・小島百合も良い味を出していました。特に女の勘を働かせ、プライドや嫉妬心も利用しながら女性警官たちから様々な情報を拾い集める小島百合はグッドジョブ。射殺命令をおかしく感じ、佐伯たちの動きを聞きつけて密かに協力を申し出る警察官たちも良かったです。
タイムリミットは明朝までという設定が作品に緊迫感を与えていましたが、こんな短時間に殺人事件の真犯人を捜し出し、津久井を安全に道議会百条委員会(道警本部の不正経理問題追求)の証人として送り込むことが果たしてあり得るものなのか・・・。ちょっと疑問に思いました。
また、現代風とはいえ携帯電話による会話が多すぎる気もしました。携帯電話を使った小さな罠(トラップ 味方の中にいる通報者は誰か?)などは面白かったのですが、どうせなら携帯をもっと利用して読者を完全にだますようなあっと驚く仕掛けが欲しかったです。
自販機前での佐伯・植村・町田・岩井+新宮の会話。
「バンドのことを思い出したの」(小島百合)
佐伯を中心としたこの”バンド(チーム)”はこれまでにも同じようなことがあった?そのあたりの背景がよく分からなかったのは不満が残ります。ジャズの使い方もやや中途半端か。また、かつて佐伯と津久井が起用されたおとり捜査の凄まじさ。精神や体調に異変を起こしたとの記述はあるのですが、もうひとつ深みに欠けるきらいがありました。
などなど、色々と注文をつけたい点はありますが、一気読みさせるだけの面白さはあったと思います。それにしてもキャリアの人物にはこんなつまらない人物が多いものなのでしょうか?「震度0」とか「犯人に告ぐ」とかでもありましたしね。
**************************** Amazonより「うたう警官」****************************
うたう=証言する、密告する。警官殺しの容疑をかけられた刑事に射殺命令が下された。有志たちによって、彼の潔白を証明するための極秘の捜査が始まるのだが…。追うも警官、逃れるも警官。北海道警察を舞台に描く警察小説。
◎参考ブログ
そらさんの”日だまりで読書” (2008-11-3追加)
ひろさんの記事,何気なくひろさんのURLを押したら出てきた\(^o^)/
>佐伯をリーダーとした私的な秘密タスクチームのアイデアは面白かったです
うん,確かに。アイディアとしてはいい感じでしたよね~。
この記事のURLを使いましたから~。
アイデアや素材は良かったのですが、全体的に書き込みが浅いかなといった感じでした。惜しいなあ。。。