日本が二大政党にならない原因その1 共産党1


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日本が二大政党にならない原因その1 共産党1
 
米国は4年に一度は大統領選挙がある。今年大統領選があり、共和党側のトランプ大統領と民主党側のバイデン氏が立候補した。新型コロナ感染が拡大したために郵便投票も許可した。大統領選に敗北したトランプ側は郵便投票で票数を操作するための民主党による「全米レベルの陰謀」があったと主張し、選挙結果を認めていない。選挙結果を巡り裁判闘争を始めた。
 日本ではトランプ大統領とバイデン氏のどちらが勝つか、日本にとって誰が大統領になった方がいいか、バイデン氏が大統領になれば日本にどのような影響を与えるか、中国との関係はどのようになるかなど米国大統領選が大きな話題になった。
 ただ、誰一人として米国と日本の政治状況の違いを問題にしない。米国は民主党と共和党が政権を争う。4年前は民主党のヒラリー候補を破ってトランプ候補が大統領になった。8年間続いたオバマ大統領の民主党政権から共和党政権に代わった。そして、4年後の今年は民主党のバイデン氏が大統領になり民主党政権になる。
 2009年~2017年の民主党政権から2018年~202Ⅰ年は共和党政権になり、2021年から民主党政権になる。しかし、日本は自民党一強であり、自民党以外の政党が政権を握ることはない。菅現政権が政策に失敗し国民の信頼を失って菅氏が首相の座から去ったとしても次の首相は自民党議員が就任する。自民党以外の政党から首相に就任することはない。
 日本は自民党一強であるから自民党以外の政党が政権党になることはない。議会制民主主義は多党制である。一党独裁制ではない。ところが日本は米国とは違い自民党一強であるために一党独裁制のような状態である。議会制民主主義にとってあるべき状態ではない。議会制民主主義なのだから米国の民主党VS共和党のように自民党と互角に対峙できる政党があるべきである。しかし、日本にはない。過去に社会党と民主党が政権党になったことがあったが二つの政党は政権党になったのが原因で分裂してしまった。政権党になったために分裂するなんておかしなことである。
 
 立憲民主党の枝野代表は政権党を目指して分裂した野党の再結集を目指した。最初に民主党の時に一緒だった国民民主党と合流した。次に社会民主党を吸収した。合流を拒んた議員は元の政党に残ったが多くの議員は合流した。
枝野代表は国民民主党と社民党には合流を呼びかけたが、共産党には合流を呼びかけなかった。自民党政権に代わるには反自民党野党が合流したほうがより実現する可能性は高い。国民民主・社民党に加えて共産党とも合流すれば政権党になれる可能性は高くなる。政権奪取を目指すなら共産党とも合流を目指すべきである。しかし枝野代表は共産党との合流はしようとしなかつた。共産党には選挙協力を呼び掛けただけである。 
共産党は選挙協力にとどまらず野党連合に発展させようと提案した。共産党の提案を喜んで受け入れると思いきや、枝野代表は戸惑い、即答しなかった。枝野代表は共産党とは選挙協力だけにし、共産党とは合流も野党連合もやりたくないのだ。

 菅首相が日本学術会議の推薦者6人を任命しなかったことを最初に報道したのは共産党の赤旗である。赤旗の主張をそのまま受け入れて菅政権批判をしたのが立憲民主党である。安倍政権時代の桜の会問題も最初に取り上げたのが赤旗であった。
 立憲民主党は共産党の情報・主張をそのまま受け入れて安倍政権、菅政権を批判しているのだ。であれば共産党と手を組み、政権奪取を目指すのが自然の流れである。しかし、枝野代表は共産党と合流する気はないし、共産党と野党連合を組むことにも消極的である。
 国会議員は立憲民主党が154人、日本共産党が25人である。圧倒的に立憲が多いから合流を理由に共産党を吸収合併してもおかしくない。しかし、枝野代表は合流だけでなく連合も避けている。立憲は国民と合流し社民党も吸収したのにだ。
 なぜ枝野代表は共産党と合流しないのか。両党には決定的な違いがある。立憲民主党は政権党になることを目指しているが共産党は違う。政権党になることのみを目指してはいない。共産党は民主主義革命を目指している。

 2017年度の各党本部の収入内訳表である。


 なんと共産党が第二位である。
公明党以外の政党の収入の多くは政党交付金であるが共産党は政党交付金を受けるのを拒否したからゼロである。共産党最大の収入源は機関紙赤旗・書籍販売による179憶円の収入である。党員が赤旗や書籍を買う。赤旗は党の宣伝誌である。共産党は党の宣伝誌が莫大な収入になるのである。党の宣伝が莫大な収入になるのは共産党だけである。赤旗・書籍から49憶円の利益もある。

国会の政党別議員数である。
自由民主党 395
立憲民主党 154
公明党 57
日本維新の会 26
日本共産党 25
国民民主党 16
NHKから国民を守る党 2
れいわ新選組 2
社会民主党 1
共産党は維新の会より下の5位である。
 事業収入が断トツであり政党本部収入が第二位であるにも関わらず国会議員はたった25人である。政党の収入から見れば共産党を中心に野党が結集すれば自民党と対峙でき、二大政党を築くことができそうであるが、立憲民主党の枝野代表は選挙協力を提案し共産党も了承した。しかし、共産党と合流する気はないし、共産党が提案している野党連合も避けている。おかしな関係が立憲民主党と共産党である。
 
 共産党が赤旗を発行し政党収入が二位であるにも関わらず国会議員数は5位のわずか25議席であるのは共産党が他の政党とは体質が違うからである。他の政党は国会で過半数を確保して政権党になることを目的にしている。共産党は違う。政権党になることだけを目的にしていない。共産党は民主主義革命を目指した政党である。
 
2020年、第28回党大会で改定日本共産党綱領を発表した。共産党が現在の日本社会の特質について述べている部分を要約する。

 現在の日本は独立国としての地位を失っている。日本はアメリカへの事実上の従属国である。一九五一年に締結されたサンフランシスコ平和条約と日米安保条約によって日本は米国の単独支配となりアメリカの世界戦略の半永久的な前線基地となった。
日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。日本の現状は対米従属の状態にある。アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである。
日本独占資本主義は早い時期にすべてのヨーロッパ諸国を抜き、アメリカに次ぐ地位に到達するまでになった。中心は少数の大企業であり、大きな富をその手に集中して、巨大化と多国籍企業化の道を進むとともに、日本政府をその強い影響のもとに置き、国家機構の全体を自分たちの階級的利益の実現のために最大限に活用してきた。国内的には、大企業・財界が、アメリカの対日支配と結びついて、日本と国民を支配する中心勢力の地位を占めている。
         共産党綱領より
共産党にとって日本はアメリカ独占資本に従属する独占資本主義である。日本の議会制は独占資本主義体制に組み込まれたものであり、政権党になっても独占資本主義から解放することはできない。日本をアメリカ従属、独占資本体制から解放するには民主主義革命と民主連合政府の樹立であると共産党はいう。
 日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことが共産党の民主主義革命である。民主主義革命を達成することは、独立・民主・平和の日本に道を開くものであると共産党綱領は述べている。

 米国も日本も資本の独占を許さない。それが独占禁止法である。戦前の日本は独占禁止法がなかったから財閥が経済界を支配し、政府と密接になりアジアへ進出していった。しかし、戦後は独占禁止法によって財閥は解体し、企業が政府を支配することは不可能になった。日本の経済が発展したのは独占資本主義だったからではない。独占資本主義を禁止して財閥を解体し、自由競争にしたからである。トヨタやホンダなどは小さな会社であった。技術開発によって優れた車を製造したから、製品の売り上げを伸ばし大企業へと成長していった。戦争で破壊しつくされた状態から奇跡的な経済復興ができたのは自由競争によって優秀なベンチャー企業が成長したからである。
 共産党は経済が世界二位まで成長しても大きな富をその手に集中したのは少数の大企業であるというが事実はそうではない。富は労働者にも分配された。労働者の給料は上がり、新規雇用が増えた。労働者の生活は豊かになった。
 50年くらい前の雑誌に、本田技研工業(通称:ホンダ)の創業者の本田宗一郎に、記者が「なぜホンダは大きく成長したか」という質問に本田氏は「上が居なくなったから」と答えたという記事があった。
 戦前、タワシを発明し生産をしていた会社に政府の官僚がやってきてタワシの特許権を財閥の会社に譲るように圧力をかけてきたという。タワシの発明者は圧力に屈することなく、特許権を譲らなかったという。
 戦前は小さな会社が発明、技術開発したら特許権を財閥に売るように国が圧力をかけていた。しかし、戦後は独占禁止法ができ、政府は自由競争を推進するようになった。本田氏の「上が居なくなったから」というのはそのことを指している。日本も米国も独占資本主義を禁じている国である。
 日本経済が急成長したのは自動車や電気機器などを米国が大量輸入したからである。そのために米国の企業が倒産し、多くの失業者を出した。日本車を輸入するなと米国の労働者が日本車打ちこわし運動をした。日米貿易では日本が黒字であった。日本が対米従属の独占資本主義国家ではなく、独立した自由市場の国家であったから貿易黒字になったである。共産党は日本を独占資本主義だと決めつけ、民主主義革命で国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開くというが民主主義日本に民主主義革命は不要である。
 日本は民主主義国家であって民主国家ではない。またまだ民主化していかなければならない。そのために国会で民主化のために討議して法案をつくっている。共産党は議会制による民主化ではなく民主主義革命を目指している。革命となると議会の過半数を確保して政権党になるだけでは実現できるものではない。共産党は民主主義革命を実現するために統一戦線という戦略を実施している。

 労働者、勤労市民、農漁民、中小企業家、知識人、女性、青年、学生など、独立、民主主義、平和、生活向上を求めるすべての人びとの結集を目指したのが統一戦線である。
 日本共産党と統一戦線の勢力が、国民多数の支持を得て、国会で安定した過半数を占めるならば、統一戦線の政府・民主連合政府をつくることができるというのである。そう共産党の綱領に書いてある。
 
 他の政党は政権党を目指して選挙運動に集中している。共産党は選挙だけでなく統一戦線の勢力拡大にも集中している。
 共産党の統一戦線戦術が成功したのが日本学術会議である。日本弁護士連合会、学者世界にも統一戦線戦略は浸透している、教員の全日本教職員組合、公務員の自治労連、安保廃止を求める市民連合も統一戦線の一つである。統一戦線は色々な場所でつくられている。しかし、国会と同じように社会全体から見れば少数である。
 
 国会で過半数を確保し、統一戦線の勢力が国民多数の支持を得た時に民主主義革命を実行し、民主連合政府を設立するのが共産党の目的である。民主連合政府が設立された時には独占資本主義側の自民党は存在しない。排除されている。
 立憲民主党枝野代表が共産党と選挙協力はするが共産党と共闘しないのは議会制民主主義の破壊につながる民主連合政府樹立を共産党が目指しているからである。日米を独占資本主義国家だと決めつけているから民主主義革命論が成り立つのである。枝野代表は日米は議会制民主主義国家だと認識している。だから枝野代表には民主主義革命論はない。民主主義革命論は共産党だけが持っている。
日米は議会制民主主義国家だと認識している枝野代表だから辺野古移設問題は米国政府と話し合って解決すると主張している。共産党は違う。日米安保を破棄し、問答無用で辺野古だけでなく全ての米軍基地を撤去させるのが共産党のやり方である。
 米軍への対応が枝野代表と共産党が違うことが沖縄立憲民主党設立の席で明らかになった。
反米主義の共産党は那覇米軍港の浦添移設に反対である。ところが枝野代表は移設に賛成したのだ。理由は地元の浦添市が移設に賛成したからである。全ての米軍基地撤去を目指す共産党は地元が賛成しても反対である。
県議会では共産党と立憲民主党は与党である。同じ与党でありながら那覇軍港の浦添移設では対立したことになる。

 民主主義革命を目指している共産党が立憲民主党と合流するのはあり得ない。共産党が国会の過半数の議席を確保するのも不可能である。
 共産党は二大政党実現の足を引っ張る存在である。議会制民主主義国家日本には必要のない政党である。
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