glimi

生きること:過去と未来とエスペラントと

ベトナムの兵士の肖像

2005-05-03 08:03:11 | Weblog
 先日、ya_saiと言う方にコメントを頂き彼女のブログを訪問しました。そこには美しい絵がありました。私は芸術音痴なのでどこが良いとか云々言えませんが、色調からでしょうかハノイの美術館で見た一枚の絵を思い起こしていました。


(ya_saiさんのアドレス  http://blog.goo.ne.jp/ya_sai/  )

 1999年、第2回アジアエスペラント大会がベトナムのハノイで開かれました。ハノイは喧騒の街でした。激流のようにバイクが黒い煙と白いホコリを舞い上げて右往左往している。出勤時には自転車が渋滞を起している。そして力車がその中で行き来している。大通りをわたる時はゆっくりとスピードを変えずに渡る。そうすれば車もそれにスピードを合わせて衝突しないように前か後ろを通り過ぎてくれるという不思議な町でした。
 会議のある日も遠足はあったのですが会議に出たいので参加していませんでした。せめて美術館には行ってこようとその合間を縫って出かけました。古い仏像も沢山ありました。しかし、彫刻にしても絵画にしても戦いをイメージするものはありません。
 日本で昭和初期の作家の個展などを訪れると、時には戦争色の濃いものと出会います。この激しい戦いをした国にはそれがどんな形で残っているのか興味がありました。

 戦争を描いた二つの絵を見つけました。一つは兵士たちが、小さな少女と火を囲んで休息している夜の絵です。もう一つは月に照らされなが砂丘を銃を担いで歩いてゆく3人の若い女性兵士の絵でした。
 若い頃、私はベトナム戦争のニュースを真剣に見ていました。ベトコンが首を切り落とされる場面も流されました。そこからその戦いは壮絶なものであると想像していたのです。それらの絵は彼らがいかに厳しい戦いを淡々と闘い続けていたかを私に印象づけました。
 私はその絵の前から離れられませんでした。優しい淡い色使いはもの悲しく私の心を捉えました。美術館で写真を取るというのは非常識です。エスペラントでは通じないと思い番している女性に日本語でお願いしました。あの絵を写真に撮らせてくださいと。私の日本語が分かったかどうか分かりませんが彼女はニッコリとうなずきました。その写真は今私のアルバムの中にあります。

 帰りに売店で水中人形劇に出てくる人形の模型を見つけました。紐を引っ張ると両手と首きます。その素朴な笑顔が気に入り買おうと思いましたが、数10ドン足りません。米ドルで売って欲しいと言うとダメだと言います。アヒルなら買えると勧めてくれます。私はこの笑顔が気に入ったのだと顔を指差し諦めて帰りかけました。売店の女性は私を呼び止め財布を開けろと言います。有り金全部出すと彼女は人形を丁寧に包み、手渡してくれました。彼女の笑顔も穏やかで美しかったです。



コメント (4)
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