心に刺さって抜けない言葉


画像は https://www.asahi.com/event/kotoba/ のスクリーンショット

 朝日新聞社が主催する「私の折々のことばコンテスト2022」募集のためのタイトル画像に「心に刺さって離れないことば、あなたにありますか?」と云うキャッチコピー。
 そしてその下には「あなたの人生の折々で、心に響いた『ことば』と、そのエピソードをお寄せください。」とある(下線ママ)。

 私が思う「心に刺さった言葉」とは、本人の意に反し、不当に投げつけられた非難、中傷、罵倒、叱責の言葉、鋭い棘のよう突き刺さり心を苦しめ煩わす言葉だ。でも、朝日新聞社が求めている「ことば」はそれとは正反対(「真逆」とは書かない)の、共感し、深く納得し、あるいは励まされ、慰められた優しいい言葉のはずだ。

 「刺さる」は三省堂の辞書編集者が毎年発表している「今年の新語」ランキングの2015年版で9位となるなど7、8年ほど前から流行りだした、今も一定の年齢層の人たちに「刺さり」、そして使われている言葉だ。

 この「刺さる」の「三省堂現代新国語辞典」的意味は、
ささ・る【刺さる】〈自動五段〉 ①先のとがったものが、ほかのものの中にくいこむ。「とげが―」②強い刺激(しげき)をあたえる。「その一言が胸に刺さった」③深く納得したり、共感したりできる。「━キャッチコピー」「なんも刺さらない答辞」[用法]①②が、傷つけるものであるのに対して、③は、感動したり、自分にとってよいと思えるものについて言う。
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2019/archive/2015/best10.html
だそうだ。私だってそのくらいのことは知っている。使わないが。

 朝日新聞は、「ことばコンテスト」の対象が中学生・高校生であることから、彼らに「刺さる」ように、コピーには「心に刺さって離れないことば」と書いた。でも、本来の「刺さる」意味の作文が送られてきたら、あるいは郷秋<Gauche>のような小煩い大人から「言葉の使い方がおかしい!」と云う苦情がきたら困るから、「心に刺さったことば」のすぐ下に「心に響いたことば」とも書いたのだろう。

 言葉は時代と共に変わるもの。しかし、正反対の意味を持つに至った言葉を、同じ意味で理解して欲しいと云う意図を持って同一画像(ページ)の中で二つ並べるのはいかがなものだろうか。新聞社と云えば言葉の専門家集団、ましてや朝日新聞社である。もうひと工夫が欲しかった、「心に刺さったことばコンテスト」である。

 横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは6月18日に撮影した写真を7点掲載しております。梅雨の間、曇り空の下の森の様子をご覧いただけたら嬉しいです。
https://blog.goo.ne.jp/ondanomori/e/6fbbbe8084f84b7e3f7692cd7ce16bae

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