陳謝していない

 東京・練馬の公立中学校の副校長が覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕された。中学校では生徒に対する禁煙教育が一つの大きな課題となっているのではないかと思うが、その教育を担当すべき教師が煙草どころか覚せい剤に手を染めていたとは、以ての外である。

 さて今日の「お題」は、その事件を報じる親愛なる神奈川新聞の記事である。同紙によれば「同校(郷秋<Gauche>注:容疑者の勤務する中学校)の坂井晃校長は『高橋副校長は今春、他の学校から異動してきた。平常通りに勤務しており、言動などにおかしなところはなかった。教育的立場にいる者が、このような事態を起こして残念です』と陳謝した。」されている。

 容疑者の勤務校校長の「今春、他の学校から異動してきた」というコメントは、3年前から覚せい剤を使用していたとする容疑者の供述を踏まえ、「最近転勤してきたばかりであり、自分の責任ではない」と言わんばかりのコメントである。また、「教育的立場にいる者」とコメントしているが、教師は「教育者」そのものであり「教育的立場にいる者」などという生易しいものではないはずである。

 この校長のコメントはいかにも無責任にも聞こえるが、容疑者は53歳。「不惑」を過ぎ「天命を知る」歳である。考えてもみれば、勤務校内で覚せい剤を使用していたのならばいざ知らず、容疑者が勤務時間外、私生活の中で覚せい剤を使用したからと云ってどうして勤務先の校長が陳謝しなければならないのか、不思議である。まっ、一般的、道義責任は感じて当然だろうが、校長には管理上何の責任もないと郷秋<Gauche>は断言する。

 さて、問題は神奈川新聞の記事、「このような事態を起こして残念です』と陳謝した。」である。件の校長は「残念です」と、自分の想いを語ったのである。「残念です」はあくまでも自分の想いであり、陳謝の言葉ではない。にも関わらず神奈川新聞川崎総局は「校長が陳謝した」と書いた。これは、新聞としてはあってはならない明らかな事実誤認である。校長は「陳謝するに違いない」という思い込みがあったのだろうな。


 例によって記事本文とは何の関係のない今日の一枚は、我が家の菜園で今夕採れたシシトウ、茗荷、トマト。大豊作だった今年のきゅうりはそろそろ終わり、これからはこの三種が毎日食卓に上ることになりそうだ。
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