100円ビール

 ジャスコなどを展開するイオングループが、PB(プライベートブランド)のビール風味アルコール飲料(第三のビールと云われているヤツのことだ)「トップバリュー 麦の香り」を売りだしたが、この「麦の香り」、350ml缶が1本100円という凄まじい低価格なのである。どのくらい凄まじいかは書くまでもないだろう。同じ量の緑茶やコーラよりも安いのである。

 この「麦の香り」を作っているのは、実はサントリーである。そのサントリーは、イオングループが「麦の香り」として売りだしている「ビールもどき」をセブン&アイグループにも供給しようとしていると云われている。もしそれが実現すると、サントリー製の「ビールもどき」はイオングループ3,700店舗とセブン&アイグループの12,000店舗、合わせて15,700店舗で販売されると云う事だ。

 何故サントリーがこれほどまでにPBビールの供給に熱を入れるのかと云えば、それはコストダウンとシェアアップのためである。郷秋<Gauche>は今月16日にトヨタが自社のハイブリッドシステムのマツダへの供給を検討していることを書いたが、それと今日話題にしたサントリーのPBビール供給はまったく同じ発想である。量産によるコストダウンだ。

 それともう一つ、サントリーの場合にはシェアアップというメリットもある。郷秋<Gauche>も詳しくは判らないが、公表されるビールのシェアは、ブランドではなく生産したメーカーで課税される時点、つまりメーカーから出荷される時点でももののようだ。つまり、サントリーが作れば、それがイオンのPBであろうとセブン&アイのPBであろうと、出荷された分だけサントリーのシェアが上がるという寸法だ。

 しかしだ、サントリーとの経営統合が囁かれるキリンはPBへの供給は否定的。そんな中でのサントリーのPB戦略加速は、経営統合後の主導権争いまでもを見据えた戦略だとする見方は、果たして奇を衒い過ぎだろうか。


 例によって記事本文とは何の関係のない今日の一枚は、なるせの森のサトイモ畑。
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