福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

こんなこともある

2012-10-15 | 口の中の問題

2年ほど前に来院した患者さん、下の一番奥の乳歯がなかなか生えかわらないのでX線で検査しました。




X線の左から3番目が残っていた乳歯。向かって左側が奥歯方向ですから、これは患者さんでは右下。乳歯の下にあるべき第2小臼歯が先天的に欠如しています。
先天的に欠如しやすいのが、この第2小臼歯、上の側切歯(これは遺伝要因が大きく家族性に出ます)、下の前歯(中切歯または側切歯)。テレビなどで、最近歯の数が減ってきているなどと報道されたりしていますが、これは比較研究に基づいたものではなく根拠はありません。




反対側は永久歯はあるものの、他の歯と比べて、そして年齢のわりに形成が遅れていて傾斜しています。欠如するのと形成が遅れるのは同じ原因だと考えられます。上の側切歯だと歯のサイズが小さい矮小歯で形成が遅れたり、さらに進んで欠如という表現型があります。下の前歯ですと、形成が遅れたり歯が小さくなることはなく、歯があるかないかにしっかり分かれます。なぜだか、部位によって特徴が違うわけです。
この第2小臼歯、外科処置と矯正治療でゆっくりと歯の傾斜を改善して出るように誘導することは可能ですが、自分の経験からも、この部位はあまり簡単ではないし、誘導したとしても時間がかかります。そのままも致し方ないかなと思いながら、とりあえず経過観察としました。
2年ぶりに、乳歯がぐらぐらするということで再来院。どういうこと?と思ってX線で経過をチェック。





良い意味で、予測を裏切ってくれました。その後第2小臼歯の根は形成され、方向も改善され、通常の生え変わりより4年遅れくらいで、自然に生え変わろうとしています。ここまで自力で改善したので、永久歯はまだ若干傾斜はありますが、乳歯を抜かずとも自然に生え変わるだろうと判断しました。
通常はこうはいかない珍しい例でした。
通常は最初の状態のみで判断せず、定期的に観ていく中で、そのまま経過観察か、積極的に処置を行うか判断すべきです。






ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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