福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

異所萌出という問題

2021-09-15 | 歯並び、矯正の話

業界用語で異所萌出という病名があります。
歯が本来とは違うところから出てくるという意味です。
第1大臼歯が骨内で前方傾斜して出てきて、手前にある第2大臼歯の根の部分を吸収したり、さらに進んで手前の第2乳臼歯が早く抜けたりする現象を言うことが多いようです。
第2乳臼歯は乳歯の中では最も後で生え変わり、そのあとからは第2小臼歯が出てきます。
上の歯に発生することが殆どですが、まれに下の奥歯で発生します。
異所萌出すると第2小臼歯の出るスペースが無くなって、歯並びに影響が出ます。





この患者さんは下の両方とも第1大臼歯の異所萌出です。
今は前歯生え変わり中ですが、歯並びが小さめで、将来的にはデコボコの歯並びになりそうな例です。
この異所萌出は、デコボコの1パターンとして発生しているとも言えるのでは。
診断当初から程度が軽くはありませんでしたので、積極的な歯並び治療は行わず、経過観察していました。
乳歯がグラグラしてきたり、永久歯との間に物が詰まりやすくなり、歯肉炎での痛みも出てきました。
この患者さんは、この時点で乳歯抜歯することとしましたが、抜歯後は永久歯が早めに出てくる可能性もあり、そうなればある種の引き延ばし作戦は、結果オーライです。
すぐに出てこない場合、保隙装置という奥歯がこれ以上倒れないような装置を入れて、永久歯が出てくるのを待ちます。装置はこの部分には対処できますが、全体的歯並びまで改善するものではありません。
将来的には抜歯矯正と思われますが、その時点での嚙み合わせを考えると、現時点のかみ合わせが悪化しないような配慮が必要です。




ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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