福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

シーラントにはグラスアイオノマーの訳

2017-10-04 | むし歯予防の話

シーラントという、奥歯の溝部分の虫歯予防の処置があります。最近ではご存知の方も多いのではないでしょうか。
歯は出て来て間もなくは未成熟で虫歯になりやすい状況です。特に奥歯の溝部分は形態的にも位置的にも磨き残しをしやすいため、虫歯になりやすい代表的な部位ですね。
乳歯で言えば一番奥の第2乳臼歯、永久歯ですと第1、第2大臼歯がまさに虫歯になりやすい歯と言えます。
ただし出て来て3、4年間ほどが噛み合わせ部分が虫歯になりやすく、それ以上経つとこの部分の虫歯リスクは下がって来ます。
言い換えるとこの期間虫歯ができないようにすればその後は比較的安心ということになります。 
この役割を果たすのが、この時期溝部分を封鎖するというかシールしてしまうシーラントです。レジンというある種のプラスチック系樹脂を使うのが基本で、過去の多くの研究で虫歯予防率は7、8割という結果が得られている方法です。
虫歯予防の強い味方ですね。
ところがこのレジンシーラント、レジンが水分や唾液に対して敏感なため、奥歯に対して酸で歯面処理してレジン材を流して固めるという処置を確実に行うのが小児では難しい場合が多々あります。
唾液が付くと、折角の処置後すぐに外れてしまうということが起こりがちです。術者も患者さんも苦労の甲斐がないということです。
唾液が混入しないようにラバーダムという装置を使うのが確実ですが、乳歯のシーラント適齢期の3、4歳児ではこの処置は結構負担になるでしょう。
最近ではグラスアイオノマー系のシーラントも結構認知されて来ていて、この材料は歯面処理不要で多少の水分があっても歯との接着があまり損なわれず、材料自体から微量のフッ素が出るため、シールした部分の歯質も強化されるという利点があります。
さらにフッ素の効果で、初期虫歯であればストップしたり元に戻りますので、レジンシーラントよりも適応範囲が広いと言えます。





私は歯科材料の研究をしていたこともあって、グラスアイオノマーの利点が多いことを認識して、早期からシーラントにはグラスアイオノマーを好んで使用しています。
何しろ患者さん術者ともに楽で簡単。非常に簡単な割に予防効果あり。
レジンシーラントをわたくし的にはクラシックシーラントと呼んでいますが、予防に頑張っている歯科医、歯科衛生士の皆様、グラスアイオノマーシーラントもトライされたらどうでしょうか、提案です。
シーラントは行うのが目的ではなく、虫歯予防が目的だという基本に戻りましょう。材料的には耐久性とフッ素のリリース量からフジ9がオススメです。 





 ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam 

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