福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

生えかわりがイレギュラーな1例

2023-12-18 | 口の中の問題

下の乳歯奥歯(第2乳臼歯)が早く抜けてしまったとのことで、心配して来院されました。
8歳なので、通常は永久歯は上下前歯4本ずつと奥歯(第1大臼歯)です。
なので通常は11歳ころ生え変わる第2乳臼歯がこの時期ぬけたら、ドキッとするのは当たり前ですね。
第2乳臼歯が早めに抜けるのは、後ろに出て来る第1大臼歯が前傾してひっかかった場合に起こるのが典型です。
異所萌出と呼ばれ、上の第2乳臼歯と第1大臼歯が大部分です。



この時期にはパノラマX線写真を撮影して、永久歯の数や形成度、そして方向などを総合的に評価するのが良いとされています。
向かって左下の、左から3番目の部位です。上にあった乳歯は抜けて、下の永久歯が正常に出て来る少し前ということが分かります。
下の第2小臼歯の根の形成度が、手前の犬歯や第1小臼歯よりも早いので、早く生え変わるのは当たり前ということになります。
ただし、反対側や上の同名歯をみても、3,4,5番目の乳歯が一気にどんどん生え変わることが予測されます。
噛み合わせの問題があって、いずれ介入が望ましそうですが、全体的にも生え変わりが早いのに加えて順番がイレギュラーですが、その他全く問題なしです。
異所萌出であれば、早めに抜けた歯のスペースを保つ装置(保隙装置)や部分矯正も必要になりますが、この患者さんはそのような対処は全く不要です。



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永久歯欠如例をどうマネージするか?

2023-10-27 | 口の中の問題

過去のブログでも永久歯欠如例は度々紹介しています。
どの部位に、また何本欠如しているかによって、対応は様々です。
最近では2010年の小児歯科学会の疫学調査があって、10人に1人ほどが1本以上の永久歯欠如を有しています。



この患者さんは現在12歳ですが、数年前のパノラマX線写真では、向かって左上の第2小臼歯の形成が認められません。
欠如ではなく形成開始が遅れることがあるので、最近再度部分的にチェックしました。



このように12歳で全く形成されていなければ、欠如は決定的です。
対応する第2乳臼歯欠如はまずありませんので、発見が遅れることもあります。
乳歯は将来的には抜けることが予測されますが、正直、どの程度もつかは不明です。
歯並びかみ合わせに問題なければ、経過観察のみで、抜けたらブリッジやインプラントが望ましいということになります。
矯正治療ご希望で抜歯矯正適応であれば、通常の第1小臼歯ではなく、変則的ですが第2小臼歯部位の乳歯抜歯でOKです。
ちなみに疫学調査では、下の第2小臼歯欠如が最も頻度が高く、次いで下の側切歯、上の第2小臼歯、上の側切歯の順でした。




こちらの患者さんは、まだ永久歯前歯が出て来る年齢ですが、以前のX線で、向かって左上の中切歯の形態が小さい(?)と疑われました。
生えかわりが近くなって、パノラマX線で全体的スクリーニングをしました。
その結果、他にも6本の欠如が見つかって、レアな例です。



グラグラの乳歯を抜歯した後の経過です。
中切歯欠如と思われ、過剰歯様の形態の歯が出て来ました。



反対咬合でもあり、近未来的に前歯の噛み合わせの改善が必要と考えます。
過剰歯の根の形成は遅めなので、前歯矯正はしばらく待つことになりますが、もちろん抜歯せずに中切歯代わりに形態をつくって、機能させることになります。
その後しばらくは永久歯欠如部位の乳歯がどの程度サバイバルするか経過を観ることになります。
多数歯欠如で、まだまだ将来が見えませんので、長期管理と、ある時期には上下全体を考慮した矯正&補綴のコラボが必要になるでしょう。
成人の欠如例と比較して、時間軸の考慮が必要になりますので、むしろタイミングや治療方針は難しいと考えます。



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青少年期の虫歯&歯周病リスク

2023-10-17 | 口の中の問題

小児歯科を中心に患者さんを診ている当院ですが、ライフサイクルを考えると、親の手が離れる中高生の時期が歯科疾患の予防には重要と考えています。
この時期はセルフコンシャスになって矯正治療ご希望の患者さんも増えます。







10代半ばの女子の患者さんで、久しぶりに再来で、矯正治療をご希望です。
これはPMTC後の写真ですが、歯磨き状態が非常に不良です。
全ての部位に歯垢がいっぱいで、歯の生え際の初期虫歯が多発し、歯肉炎が明らかです。
幸いなことに、歯垢いっぱいの割には、まだ大丈夫なレベルではあります。
もちろん歯並びは気になるでしょうが、口腔清掃状態が不良ではセルフコンシャスはどこへやら? という感じです。
矯正装置装着で歯磨きしにくくなりますので、正直、定期健診をリスタートして、歯磨きレベルが上がってから矯正治療を考えたいところです。
この時期は成人になってからの口腔状態を左右しますので、私たちも、気合を入れて予防指導や処置を行っています。



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永久歯欠如や位置異常

2023-10-06 | 口の中の問題

永久歯が欠如している患者さんの割合は1割ほどで、全く珍しくありません。
前歯の欠如は乳歯欠如や癒合歯で、ある程度予測がつくため、適時にX線写真で確認すればOKで、将来の予測も立ちます。
犬歯より後ろの、側方歯の欠如、形成の遅れ、方向の異常も珍しくありませんが、乳歯は普通にあるため、発見が遅れがちです、
一見問題なしと思っても、小学校中ごろに全体的X線撮影(パノラマ)を行うことが適切と考えます。
生えかわりの後半が問題なく進みそうなのか否かが予測できます。



この患者さんは向かって左下と右上の側切歯が欠如と判断していましたが、上の犬歯の生え変わり状態が異なるのではと思い、撮影しました。
本来上の側切歯があるべき位置には、異なる形態の永久歯様の像があり、その影響か隣の犬歯の位置と出具合が不良です。
この患者さんは出っ歯系の噛みあわせで、将来的に抜歯矯正の可能性もあります。
CT撮影でこの部位の実態ををクリアにして、トータルに処置や管理を考える必要があります。



この患者さんは、上の前歯生え変わり時期の問題でパノラマ撮影しました。
向かって左上中切歯の形態異常がありそうで、さらには永久歯6本の先天欠如を認めます。
永久歯が無い乳歯はどこまでサバイバルするか不確定です。
ただしこの患者さんは、まだ年齢的に、より予測がたちません。
まずは私たち小児歯科が。かかりつけ医として定期管理を行うことで、経過の中で必要な処置やタイミングが収束してきます。
その後、矯正や補綴の専門家とコラボしていくことになると考えます。
そういう意味では、小児歯科医は処置はしなくても、他の専門分野の治療選択をある程度勉強して情報交換ができるような環境を整えることです。



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中心結節によるトラブル

2023-10-04 | 口の中の問題

中心結節とは、小臼歯部噛み合わせ部分が突起状の形態になっているものです。
歯の形態の変異の一つですが、細く尖っている場合、出たばかりの時期に対向する歯と噛んで折れる場合があります。
それが原因で神経まで傷んで、処置が必要になる例があります。
当院では小児患者さんがメインで、定期健診時に気づくことも多く、折れないように周囲を歯科用セメントでサポートして経過を観ます。
尖っていても、ゆっくりすり減っていけば、年齢とともに象牙質も厚くなっていくので、問題は起こりません。



この患者さんは3か月ちょっと前、左下の小臼歯(写真右から3番目)付近の痛みで来院しましたので、X線検査をしました。
当院で定期健診を受けていて、出始めの時期(数年前)明らかな中心結節はありませんでした。
通常破折は出始めの時期で、10歳ころで、破折してまもなく症状が出ます。なので、根が完成していない時期の神経処置になって、厄介です。
この患者さんは、形態的にも出てから時間がたっていて、折れたような形態には見えません。また根もほぼ完成しています。



最近症状が再発し、再度X線検査をしたところ、根の周囲がダークになっていて、神経が感染して炎症像が出ています。
やはり中心結節破折が原因と特定でき、根の治療をスタートしました。
最初のX線では特定できず、神経の処置に踏み込みませんでしたが、破折してから症状が出るまで数年という経過が特殊だったと考えます。
しかしながら根がほとんど完成しているのは、今後の処置や経過に関してはプラス要因になります。



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歯の黄ばみをとる

2023-08-25 | 口の中の問題

市販のホワイトニングを謳った歯磨き剤は、基本ホワイトニング効果はありません。
研磨剤で着色や黄ばみを除去して、歯本来の白さを取り戻すという効果です。
ホワイトニングは元の歯を漂泊して白さアップする効果なので、ホワイトニングジェルが必要になります。
歯科医院でPMTCを受ければ黄ばみが取れて白さが戻りますが、自宅でもそれなりのクリーニングはできます。



歯科医院のクリーニングで重宝している、クリーニングジェルがありますが、これは販売対象外です。
ソフトバージョンのクリーニングジェルがあって、これは歯科医院専売で購入できます。
歯へのダメージ少なく、ステインや黄ばみを除去できます。
週1回くらいのペースで、ソニッケアなどの音波歯ブラシの使用が効果的です。
サンプルが送付されて来ましたので、着色が付きやすい患者さんにはおススメです。
ただし、乳歯や幼若永久歯は歯質が柔らかいので、いわゆる小児患者さんはおススメ対象外です。



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歯科用CTの有用性

2023-08-21 | 口の中の問題

歯科用に特化したCTX線は、最近は装置価格が下がっているため、新規開業の歯科では導入するところも多いと思います。
3次元的に画像構築もできるため、インプラントや親知らずの抜歯などで有用性が高いと思います。
インプラントはCTも含め自費ですが、親知らず抜歯は保険適用で、CTも保険適用が出来る場合が多いようです。
ただしCTの保険適用は限定されていて、埋伏歯の牽引などで位置特定の場合など、難しい例が多いようです。
大学病院等ではCT撮影が多く保険適用も多いようですが、開業医と異なり特例なんでしょうか?
当院では分野的に使用頻度が少ないこともあってCTは導入していませんので、近隣の医院に依頼しており自費になります。



この患者さんは乳児の時の上の前歯の外傷が原因で、永久歯位置不良が起きて自力で出て来ません。
通常のX線写真では、永久歯冠と根が曲がって、さらに歯冠形態自体も影響を受けているように見え、牽引時にどの程度制限があるか不明です。
受診後に、CDでデータを頂いてwindows PC で確認しました。
意外と根は曲がっておらず、前後的水平に埋まっているので、予測より処置が簡単と判明しました。



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犬歯をほぼ正常に誘導できた例

2023-08-01 | 口の中の問題

上の犬歯の位置不良例は度々述べていますが、その1例です。
以前から、向かって右上の永久犬歯が、側切歯と重なるように傾斜しているのは分かっていて、正常には出にくいだろうと予測されました。
反対側は間もなく正常に生え変わるだろうという像です。




ズレて出て来ればそれから矯正治療、出て来なければ外科的に開窓して、牽引矯正という計画です。
例外的ですが、その後犬歯の方向は自己改善して、反対側と比べて半年以上遅れましたが、乳犬歯の近くでズレて出て来ました。
その後乳歯を抜歯したら、ほぼ定位置に収まったのが、下の写真。





何事も無かったような歯並びですね。



元々、犬歯の位置改善に加え、前歯の歯並びかみ合わせも改善予定でした。
反対咬合系の噛み合わせなので、成長発育が落ち着いてから全体的矯正ですが、まずは上のみの矯正をスタートします。
犬歯位置がほぼOKなので、治療期間は結構短縮すると思います。



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過剰歯抜歯のタイミング

2023-07-26 | 口の中の問題

初診は6歳後半で、来院時にすでに上の前歯部分に過剰歯が出ていた例です。

  

尖っているのが過剰歯で通常の方向です。右隣が乳歯前歯で上に永久歯があります。
過剰歯は逆向き横向きもありますが、方向が通常ですと自然に出て来ることも多々あります。
なので、低年齢で過剰歯を発見して、すぐ乳歯も永久歯も抜歯、と判断するのは早急です。
このように出て来ている場合、その上の永久歯が出来るだけ自然に出れるようなタイミングで抜歯すればOKです。
このX線では、2次元ですが上の永久歯の高さの差はありません。また永久歯の捻れ等も認めません。
チェック来院を3か月後にお願いしていましたが、遅れて8か月後の7歳前半。



過剰歯の右隣の正常側は、永久歯との交換が近くなっています。
永久歯の高さは正常側と変わりませんが、過剰歯側の永久歯は内側外側的にズレている可能性はあります。
ただしこのタイミングでの過剰歯抜歯は、永久歯の出口をガイドする効果もあるので、実質ほぼ問題なしと判断しています。
数か月後にはビジュアルで歯の出具合を評価できます。
前歯間が平均的な患者さんより若干開いて出て来る可能性もありますが、側切歯の交換とともに改善することも多いので、いずれにしても経過観察です。
過剰歯は永久歯の部類に入りますので、乳歯のように溶けて行かず、部位によっては永久歯位置への影響が出ます。
これは、必ず抜歯の例となります。



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またまた、第2大臼歯が出にくい1例

2023-07-24 | 口の中の問題

年齢の割に乳歯奥歯(第2乳臼歯)が生え替わらないので、パノラマX線で全体像をチェックした1例です。



第2乳臼歯の後の永久歯すなわち第2小臼歯は、先天的に欠如したり、歯はあっても形成が遅いとか方向が良くないとか、何かとありがちです。
前から数えて5番目の歯で、X線でも上下に並んでいるのが分かりますね
この患者さんは14歳なので、大雑把に言えば、全体的に永久歯の形成や生え変わりが遅れていると言えます。
問題の乳歯は、永久歯の形成が遅いものの、いずれ生え変わるのでOKです。
このX線で、近未来的に気になるのが下の第2大臼歯の傾斜で、まだ口の中には出てきていません。
下の左右、奥から2番目の歯が前傾していて、普通には出て来ないでしょう。
その後ろの第3大臼歯、すなわち親知らずは近接していて、形成はむしろ早いくらいです。
これが問題になると予測されますが、当面は経過観察です。
親知らずを抜歯しても、第2大臼歯が自然に出てくる可能性は非常に低い状況です。
実際は、少しでも第2大臼歯が出てくれば、それから親知らず抜歯して、第2大臼歯を部分矯正で改善することになりそうです。



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