平安夢柔話

いらっしゃいませ(^^)
管理人えりかの趣味のページ。歴史・平安文学・旅行記・音楽、日常などについて書いています。

私本・源氏物語

2008-05-07 20:11:51 | 図書室3
 今回は、「源氏物語」をもとにした連作小説を紹介します。

☆私本・源氏物語
 著者・田辺聖子 発行・文芸春秋

本の内容紹介
 父は帝、舅は左大臣という恵まれた一族の星「ウチの大将」こと光源氏を、従者の目で描いた長篇。古典がこれほどまでに面白く解釈され、物語化された小説も少ない

*この小説は、昭和55年に実業之日本社より単行本として刊行され、その後文庫化されましたが、現在では絶版のようです。興味を持たれた方、図書館か古書店を当たってみて下さい。

 画像は、私が所持している文春文庫版です。


 この小説は「源氏物語」の現代語訳ではなく、著者の田辺聖子さんが創作した光源氏の従者、伴男という中年のヒゲ男から見た光源氏の恋愛遍歴や日常を描いたものです。つまりキャッチフレーズは、「従者は見た!光源氏の実態と女君たちの真相」といったところでしょうか。

 この小説で取り上げられているのは、原点で言うと明石の巻まで、登場するヒロインは夕顔、紫の上、末摘花、源典侍、朧月夜、花散里、六条御息所、明石の上の8人です。他に、空蝉と葵上もちょこっと登場します。あらすじは「源氏物語」の原典にだいたい沿っていますが、ヒロインたちの性格や行動はだいぶ違っています。ちょっとネタ晴れになってしまいますが、一例を紹介しますね。

 まず紫の上、彼女は雀取りの大好きな乱暴でおてんばな女の子、おまけにすごくませていて、光源氏をたじたじにしてしまいます。そして花散里は色気より食い気の当時としては変わった姫様、光源氏はおいしい物が食べたくなると彼女のもとを訪ねる…といった具合です。源典侍の邸に使えているのはみんなおばあさん、さすがの光源氏も参ってしまいます。そのおばあさん達に比べると源典侍は色気があって若々しく、原点で描かれているよりも魅力的に感じました。
 しかし、一番びっくりしたのは末摘花と明石の上の設定でした。この二人のことを書くとものすごいネタ晴れになりますのでここには書きませんが、「こんな解釈もあるんだ~」と驚かされますよ~。

 それからこの小説は伴男の語りというスタイルで話が進んでいくのですが、伴男は光源氏のことを「ウチの大将」と呼んでいます。つまり、「親分」という意味のようです。この伴男がなかなかいい味出しているのですよね。何か、「中年の希望の星」という感じがします。伴男から見た光源氏は、とにかく言い出したら聞かないわがまま坊ちゃん、世間知らずで大飯食らい、みやびとはほど遠く、そこがまた愉快です。
 それと、男性陣の会話はすべて関西弁、このあたりもユーモラスで、特に源典侍の章などは上方落語を読んでいるような感覚でした。ちゃんと落ちもありましたし。

 このようにとにかく面白い小説です。「源氏物語」を現代的なパロディのように仕立てているので違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はとても楽しく読むことができました。

 なお、この「私本・源氏物語」には続編と番外編も出ています。こちらも読み終わりましたら紹介したいと思っています。

☆トップページに戻る
 
 
ジャンル:
モブログ
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ちりとてちん 総集編 | トップ | 春のめざめは紫の巻 »
最近の画像もっと見る

図書室3」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事