もう題名からして東山ワールドを感じます。
4つの短編それぞれが、どこまで行っても混沌としている「愛」に関連する作品です。
宗教のような破滅的な愛、人をダメにする愛より、勘違いでも依存に過ぎなくても偽善でも、それを愛と思ってとりあえず生きるのでもいいんじゃない?って感じでしょうか。
すごく悲劇的で、どうにもならない場面にいくつも遭遇する人生でも結局、人はなんとかなっていく。
東山さんは、文章が軽快で濃厚でますますうま味が増し、読みだすと止まらなかった。
悲劇のヒローみたいに物語にうずもれない、ちょっと達観した感じが好きだなあ。