漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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酒を飲んだら・医心方より

2019-12-19 | 暦・季節ごとの養生法

「酒を飲み大いに酔わば、臥して上す可からず。当に数揺り動かして転側せしむべし」

大酔したときは、じっと寝たままではいけない。時々揺り動かすようにして寝返りをうたせてやるのがよい。 
(酒で火照った体はやさしく揺り動かして、その熱を緩やかに発散させる。じっとしていると胃や腸が炎症を起こしやすい)

「酒に酔いて、熱未だ解せざるに、冷水を以って面を洗う勿れ。瘡を発し、軽き者はサホウす、と」

酒に酔って体内の熱が冷めないうちに、冷たい水で顔を洗ってはならない。皮膚に化膿性の炎症を起こす。軽い場合でもニキビができる。 
(酒を飲みすぎるとニキビができるという方、せめてぬるま湯で顔を洗うようにしてみましょう)

「酒なる者は五穀の華味(かみ)の至りなり。故に能く人を益し、また能く人を損なう。その分剤を節して之れを飲めば、宜しく百脈を和し、邪を消し、冷を却くるべきなり。・・・物の効験酒に過ぐるものなきなり。宜しく慎みて、節度を失うことなかれ、と」

酒は五穀の精でつくったものであるから、人に有益なことが多いが、人を損傷することも多い。適量をわきまえて飲めば、脈を和らげ、邪毒を消し、体の冷えを除くことができる。・・・酒ほど効験あらたかなものはないのだから、謹んで、度を失わないようにしなけらばならない