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漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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海堂尊「ジーン・ワルツ」覚書・産婦人科は崩壊寸前

2011-03-09 | 
映画やってますが、読んでみました。

海堂尊さんの小説は初めてで、不妊治療にまつわる人情ものかと
思ったら相当違ってました。
まさに現代の産婦人科医療の問題点をぐいっとえぐってあらわにしたストリー。

統計ばかりとって、結果、的外れな決まりごとをつくてしまうお役人仕事のおかげで、
現場の産婦人科医療はまさに崩壊寸前となっている。
確かにここ数年、特に産科を閉院するところが増え、
妊婦は早い時期から予約を入れておかないと「お産難民」になりかねないのが現実。
急なお産はたらいまわしにされてしまう恐れさえある。

そしてどこまで不妊治療を高度医療で踏み込むか、
それによって生じる遺伝子的な問題を法律的にどう整えていくか、
今の日本はまさに困惑している状況でしょう。
しかし、迷っていても現場は待ってはくれない。
あきらめる医師、自滅するのが目に見えていても突き進む医師・・・

とにかく、現場の行き詰った状況を知っておくべきだと思いました。
そうでなければ、生活のすべてを医療にささげているような医師には、
容赦ない訴訟問題しか待っていないことになるから。


海堂尊(かいどうたける)千葉県出身、千葉大医学部、外科医を経て病理専門医へ
『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラルルージュの凱旋』などで有名。