漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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夕凪の街 桜の国(映画)知っていなければならないこと

2007-08-16 | 映画
セリフが、まっすぐで、
本音がドスンと、
観るものの心に打ち込まれる感じでした。

原爆が落とされた『夕凪の街』広島。
あれから13年目にして白血病を発症し
命が消えようとしているうら若き皆実(みなみ)のセリフ・・・
『原爆は落ちたんじゃない、落とされたんよ』
『13年たってまた死ぬ人がひとり増えて・・・原爆を落とした人は、ヤッター!ってよろこぶんかの・・・』

弱弱しく、弟の旭(あさひ)に語るシーンは
悲しくて悲しくて涙が溢れるけど、
このセリフは、驚愕するほど痛烈。


また、原爆による惨い家族の死を見送り、
自分だけ助かった、幸せになっては申し訳ない、と思う後ろめたさ
被害を受けた人々が、そんな思いで悩むなんて、戦争はなんと残酷なんだろう。

銭湯でのシーンの、
ほとんどの人が火傷あとのケロイドを肌にしょっている姿は衝撃でした。
もう13年もたっているのに・・・




そして時は過ぎ、平成の時代。
弟、旭の子供たちも20代となり年頃を迎えている。

日本は、桜がたわわに咲く美しい国によみがえった。

だがここにいたるまでに、母と祖母を失った
旭の娘、七波(ななみ)のセリフにドキッとします。

42歳で吐血して死んだお母さんのときも、
80歳以上生きて死んだおばあちゃんのときも、
だれも原爆のせいだなんて問われることもなかったのに・・・

原爆被害者だと認めてくれもしなかったということなのでしょう。

しかし現代に至って、親戚や家族に原爆被害者がいるということで、
結婚のこととなると偏見を持って迎えられる現実があったのです。

なんということでしょう。

戦争の事実、原爆の事実、真実をしっかり伝えなけらばならない。
どっちが勝ったとか、負けたとか、
謝った、謝らないの問題は、
おそらく泥沼になるだろう。
だけど、
戦争はしてはならない
核による残酷さはこうなんだということを
世界に知らせていく義務が『桜の国』日本にはある。

そして、無益な戦争によって死んでいった
「もっと生きたかった」人々のためにも
日本人は幸せに暮らして「長生きし」なければならない。


★★★★★忘れてはならない大切なことを表現した映画
この映画が是非、多くの機会を得て日本人だけでなく
世界中の人々に観てもらえるよう応援したい。

皆さん、この映画を観ましょう!

夕凪の街 桜の国 公式ページ

監督:佐々部清
(出口のない海 四日間の奇蹟 半落ち カーテンコール チルソクの夏 )

出演:中越典子 吉沢悠 堺正章 麻生久美子 藤村志保 田中麗奈