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漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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米も生薬・粳米(こうべい)大事な薬効をもっている

2021-08-26 | 薬草・生薬

米も生薬のひとつ。

意外な気がするかもしれませんが、素晴らしい薬効をもっているがゆえに「主食」なのです。

生薬名を「粳米(こうべい)」

火を通したものを食す

・脾胃と肺、つまりエネルギーを取り込む臓器(食べて呼吸する)を元気にする

・元気を増し、心を落ち着け、渇きを潤し、下痢を止める

・食欲減退、気持ちが落ち着かない、口が渇く、下痢しやすい、胎動不安、咳や喘息などによく

・長く食べれば、血を養い、骨髄が充実し、肌も張りが出る

おおよそ世界の主食になっている食べ物は、同じような働きをもっている。

人類は経験から理にかなった食物を主食として選んでいるのはすごいですね。

ちゃんとごはん食べなきゃね。

近所の田んぼも稲穂がたわわになり、今週末ごろから稲刈りが始まりそうです

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秋の七草、葛湯の葛(クズ)

2021-08-07 | 薬草・生薬

あらゆる緑を覆いつくすほど強い生命力がある葛。花は秋の七草のひとつ。

この根の周皮を取り除いたものが生薬の葛根(かっこん)

そして葛粉(くずこ)はこれを精製して粉にしたもの

子供のころ風邪をひくと祖母が温かい葛湯をつくって飲ませてくれ、飲むと、ほーっと体が和らいだ記憶があります。

風邪をひいたらすぐ熱さましだ咳止めだと症状を押さえつける薬ばかりでなく、食養生も忘れてほしくないですね

葛根は辛涼解表薬、つまり辛味で体表を開いて熱を去る

(性味)甘、辛、涼 (帰経)脾、胃  解肌退熱、透発斑疹、生津止渇、昇陽止瀉

汗がまだ出ず頭痛や首背中などがこわばっているときに飲むと体がほぐれ、のどの渇きを癒し、炎症性の下痢などに役立つ。

ちなみに秋の七草は見て楽しむのだが、葛花も一応生薬。

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クララ(苦参)清熱燥湿・殺虫止痒、皮膚トラブルに役立つ生薬

2021-06-09 | 薬草・生薬

今年も小学校の土手にクララが咲きました。

これが生薬だと小学校は認識しているのかいないのか、草刈りのシーズンになるとザックリ切られてしまいますが、めげずに毎年生えてきます。根こそぎ抜かれないから、ま、いいか。

この根が、生薬「苦参(くじん)」とても苦い生薬。

「清熱燥湿・殺虫止痒」

つまりジュクジュクした湿疹やかゆい症状などを回復させるのに役立ち、漢方薬では三物黄ゴン湯などに配合されている。

外用にも使えて、おなじみ「爽肌精」や「瑞花露」と、スキンケアには欠かせない生薬です。

漢方処方として作られた爽肌精や瑞花露はリピーターが多い。

いずれも3千円台だが中身を知ると、本当に充実していて、手前味噌だが使う価値が高いと思う。

容器があまりおしゃれじゃないけどね。

瑞花露

爽肌精

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瑞花露のご購入につていはお問い合わせください

 


キカラスウリ(栝楼、根は天花粉)、あせもを知らない人が増えたこの頃

2021-06-05 | 薬草・生薬

キカラスウリの花。毎日通る道なのに、はたと気が付いたらたくさん咲いていました。

キカラスウリやトウカラスウリ、オオカラスウリなどの果実全体、果皮、種子は漢方生薬として用いられ清熱化痰作用があり、肺熱の咳や胸のつまり、とれにくい痰などに用いる、便秘にもよい

(生薬名は、栝楼、栝楼仁、栝楼皮など)

雌雄異株。これはどうやら雄花。

そして、

この太い根の外皮を除いたものが生薬「天花粉、栝楼根(かろこん)」

そう、あせもの時に使う天花粉。(内服にも用いる)

今どきは、あせもを知らない世代も増え、たまにできると、あせもとわからずに皮膚科を受診してステロイドを塗ったりする。

冷房生活がふつうになったせいでしょう。

天花粉もシッカロールもベビーパウダーも死語になりつつある。

 


菖蒲湯の菖蒲は花菖蒲の葉ではなくて

2021-05-01 | 薬草・生薬

菖蒲湯に入れる葉菖蒲が売られていますが、これは花菖蒲の葉ではなく、

サトイモ科の「菖蒲」で「匂い菖蒲」とも呼ばれハナショウブのような花はつかない。

生薬では「水菖蒲(すいしょうぶ)」といい、開竅薬に分類される

(性味)苦・辛、温 (帰経)心・脾・胃

その香りで心をスッキリさせ、気持ちを落ち着ける働きがあります

5月5日は端午の節句で立夏に入る。

これは網目があるのでアヤメ。

そうそう4月29日は昭和の日で、5月3日は憲法記念日で、5月4日はみどりの日でした。ついでに今日5月1日は八十八夜。

ゴールデンウィークとまとめられると何の日か分からなくなりますね

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コブシ(辛夷)・鼻の通りをよくする解表薬

2021-03-13 | 薬草・生薬

コブシの花が満開

コブシやモクレンのつぼみが生薬名「辛夷(シンイ)」

解表薬で鼻の通りをよくする働きがあり、鼻炎丸、葛根湯加辛夷川芎、辛夷清肺湯などに配合されています。

コブシが咲くとレンギョウの花も目立つようになり、

この種子が生薬名もそのままに「連翹(レンギョウ)」

清熱解毒薬で熱っぽい風邪に使う銀翹散や、ニキビなど赤い吹き出物に用いる清上防風湯に配合されています。

レンギョウの種子の写真を撮りたいとうろうろするのですが、庭木や街路樹として植えられているものは、花が終わるとがっちり剪定されてしまうので、いまだに撮れません。

生薬や漢方の知識が机上の知恵にとどまらず、身近な場所で、人の暮らしに利用されてきた歴史を実感できるのはうれしいことです。

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ウドとヤドリギの独活寄生湯(独歩顆粒)腰痛などの痛みに

2021-02-15 | 薬草・生薬

ヤドリギ、樹木に寄生して生きる植物です。生薬名を桑寄生(そうきせい)

筋骨を強くする働きがあり、関節痛や神経痛、腰痛などに用いる「独活寄生湯」(商品名:独歩顆粒)という処方に使われています。

私も腰痛もちなのでしばしば服用します。

この漢方名の独活とはウドの地下茎。

こうして生薬を知ると漢方を身近に感じることができますね。

ヤドリギは雌雄異株。

実のどっさりついている株には、それを好むヒレンジャクという美しい鳥がきます。

その実は、5mmほどの柔らかいブドウのようですが、中身はとても粘り気があり、ヒレンジャクの糞も粘って糸をひきます。それが木の幹にくっつき、また芽吹くのです。

以下の写真はお食事中の人は見ないほうがいいかも。

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イヌホオズキ・生薬名「龍葵(リュウキ)」

2020-11-12 | 薬草・生薬

イヌホオズキがあちこちで花を咲かせています。

この全草を生薬「龍葵または竜葵(リュウキ)」と言います。

日本の漢方処方に利用されていないのですが、消炎作用があります

中医学の処方「五味消毒飲」の変方として「五涼華」というサプリメントに配合されています。

イヌホオズキと言っても何種類かあるそうで、上と下のイヌホオズキは、実についている萼の形が少々異なっているように見えますね。

この種類を探求しようとすると、さらに散歩の距離が伸びてしまいそうなので、ひかえておくことにします。

以前は1万歩で疲れていたのに、この頃は2万歩がふつうになってきました。気持ちの良い季節です。

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茶の花・生薬は茶葉(チャヨウ)

2020-11-11 | 薬草・生薬

お茶の花が良く咲いています。まあるくて愛らしくツバキの仲間です。

ここ佐倉市あたりは、かつて宇治に対抗してお茶栽培が盛んに行われた歴史があり、そのせいか垣根に茶を植えているところが多いのです。

若葉をお茶として飲むのですが、生薬としても使われます。

苦・微甘、微寒

帰経:心・肺・肝・腎・脾・胃

わずかに冷ます働きがあるので、飲むと頭や目がスッキリして、鼻づまりも改善します

漢方薬として「川キュウ調散」(商品名:頂調顆粒)に配合されており、頭部の不快感に即効性があります。この漢方薬は家庭の漢方薬として持っているととても便利。
(川キュウ茶調散:袪風止痛、特に頭風によい)

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破血剤とは不要の塊(古血)を少しずつほぐして掃除する生薬、たとえばヒル

2020-10-29 | 薬草・生薬

体内に、不要の塊がこびりついていると、血流だけでなく様々な流れを阻害します。

不要の塊という頑固な瘀血にはどんなものがあるかというと、たとえば、

ゴリゴリに固まった肩こりとか、糖尿病で血がドロドロしてできやすい血栓とか、様々な腫瘍とか、筋腫とかで、普通の活血剤を使ってもなかなかスッキリ解消しません。

そこで、破血剤という分類のものを使います。

代表的なものは水蛭(スイテツ)。つまり血を吸うヒルですね。

チスイビルという大型のヒルを乾燥したもので、破血作用に優れる

破血」とは血を壊すのではなく、不要の塊(古血)を少しずつほぐして掃除するという意味。

面白い生薬です。

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ノダケ・生薬名「前胡(ぜんこ)」

2020-10-16 | 薬草・生薬

なんだろこれ、シックな色~、しゅーっと背が高い、セリ科には違いない。

その後、生薬の本を見ていたとき、これに似ている図が・・・「前胡(ぜんこ)」、ノダケです。

あちゃ、もっとしっかり写真撮っておくんだった。もう20日も前のことだ。ノダケは11月頃まで花をつけているようなので、またあの散歩道を通ったら探してみよう。

「前胡」ノダケの根:化痰止咳平喘薬で、降気消痰、宣散風熱

昔の人が、この根っこも効きそうだなと食してみたら、おお!咳にいいぞと喜んだ、そんなことを想像すると、身近に生薬の植物を見つけるとうれしい。

前胡は「平喘顆粒」の構成成分のひとつです

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韮(ニラ)の花が咲いている

2020-09-30 | 薬草・生薬

田んぼのあぜ道などに韮の花が咲いています。

たまに草刈り機が入ると、そこら中にあのニラの匂いが充満するわがフィールドです

花が咲くと次々と実を結ぶのですが、この成熟種子も生薬で、

「韮子(きゅうし)」といい、助陽薬です

辛・甘、温 肝・腎 温腎壮陽・固精

普段食べるのは葉で、ほぼ一年中出回っています。
寒さを感じるようになったので今日はレバニラ炒めで温まることにしましょうか。

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再び蔓荊子(ハマゴウ)

2020-09-07 | 薬草・生薬

先日のハマゴウは、実の写真を撮らなかったので、再挑戦。

まあるい実が、生薬名「蔓荊子」

実のことを子、種のことを仁と言ったりします。

枸杞子、蔓荊子、五味子、五倍子、蓮子、胡麻仁、杏仁とかね。ギンナンは銀杏だけど。

低木ですが、枝はまるで蔓のようにずるずる伸びています

9月はシギの季節 ソリハシシギ

サギたちもにぎやか

一年中賑やかなのはシジュウカラ

 


スベリヒユ(馬歯けん(五行草))の花

2020-09-05 | 薬草・生薬

あぜ道の脇に群生しているスベリヒユが花をつけ始めました

もうご存じの人も多いと思いますが、これが五行草。

生薬名は、馬歯けん(けんは草冠に見)、馬の歯の様な形の葉ですものね。

五行草と名付けられたのは、

茎が赤、花が黄、根が白、種が黒、葉が青(緑)というわけで、五行学説の色を網羅しているから。

皮膚疾患には欠かせない生薬で、汗疹や湿疹のかゆみにファーストチョイス。

スベリヒユ・皮膚疾患に欠かせない

五行草茶・五行草配合スキンケア

先日、生のスベリヒユをお浸しにして食べたのだけど、すっぱい味です。干したもの(ひょう干し)を戻して佃煮にしたもののほうがほうじ茶のような香りで好みでした。

ちなみに、五行草茶は飲みやすい味です。

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胡麻の花、亜麻の花、ついでに綿の花

2020-08-24 | 薬草・生薬

ゴマの花、草丈は1mほどあります。花の下茎には次々と実が。この中にたくさんの胡麻が入っているのでしょうね

黒胡麻のほうが薬用 白胡麻のほうは麻油、香油として使用する(紫雲膏をつくる時もこれを使う)

生薬名、胡麻仁(ごまにん):滋養肝腎・補益精血、潤燥滑腸

つまり、肝腎を補って元気を支え、腸を潤しカサカサ便を解消する

秋から冬は、実や種のものが次々とできて、いわゆる旬。
これらを食べると季節の体づくりができるようになっています

こちらは亜麻の花 ご存じ亜麻仁油の正体がこれ。

この種は「大胡麻」または「亜麻子」といい袪風止痒作用をもつ。補益作用はないそう。

以前紹介したメハジキの種子は「ジュウ蔚子」(小胡麻、三角胡麻)といい肝腎不足の視力減退や肝熱による頭痛、目の充血などによいとのこと

綿の花も咲いていたので撮ってみた。上が白ワタ、下が青ワタ。いずれもアオイ科。

生活に身近なのに、意外とその正体を知らない植物たち

地元の植物園「くらしの植物苑」にて。