『逆転の構図』 ☆☆☆★
コロンボ旧シリーズ中期の佳作で、一番脂の乗り切った頃の作品といっていいだろう。コロンボ・シリーズの中でも派手なエピソードだ。
派手な理由はまずプロット。かなり凝っていて、しかもスリリング。キビキビと無駄なく展開する。写真家ガレスコが妻を殺し、殺した後に誘拐を偽装する。そして前科者のダシュレーに罪をなすりつけ、ダシュレーも射殺する。ダシュレーを共犯に使っておいて裏切 . . . 本文を読む
『白夜行』 東野圭吾 ☆☆☆☆☆
再読。休日に一気読みするには最適の傑作ミステリである。東野圭吾のミステリは、社会派的な重いテーマを持ったものでもどこか軽い。一気に読み切れて、重いなりにも愉しめ、棘やしこりを残すことがない。だから物足りないと思う時もあるし、だからエンターテインメントとして高品質という考え方もできる。しかしそんな東野作品の中で、本書『白夜行』は独特の重量感とダークさを持つ作 . . . 本文を読む
『Songs For You』 Ron Carter ☆☆☆☆
ウッド・ベースの巨匠、ロン・カーターのアルバム。この人は昔マイルスのバンドにいて、エレクトリックに傾倒したマイルスにエレクトリック・ベースを弾けと言われてバンドを辞めたというので有名だ。
私は以前ニューヨークの確かビレッジ・ヴァンガードだったと思うが、たまたまこの人のバンドの演奏を観て大感動した経験がある。六人ぐらいの大所 . . . 本文を読む
『西鶴一代女』 溝口健二監督 ☆☆☆☆
『人情紙風船』を観て衝撃を受け、古い日本映画で名作と言われているものをむしょうに観たくなり、いくつかDVDで入手した。まずは名匠溝口の『西鶴一代女』。これは溝口監督の代表作の一つで、ヴェネツィアで賞をもらっている。主演は田中絹代。パッケージはこんなだがもちろんモノクロ映画。
溝口健二はずいぶん昔にビデオで『雨月物語』を観たが、他は観たことなかった . . . 本文を読む