A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

塚口サンサン劇場「RRR」浴びてきました!!

2022-10-29 23:26:09 | 映画感想
 世の中には、たいへんな情熱を持って作られた作品がたくさんあるもの。そして、そうした作品の中には、しばしば観客からそれと同等の熱量を奪い去り、また同時に与える作品というものが存在するのです。
 というわけで見てきました今年どころか映画史上最大級の話題作「RRR」!!
 
 
 かの神話的大作「バーフバリ」2部作で全地球人のハートをゴッドハンドスマッシュしたS・S・ラージャマウリ監督最新作である本作、まずは塚口の音響で見ておきたいということで本日行ってきました。
 そして恒例の待合室はこんな感じ。
 
 
 秋山殿は相変わらず芸達者だなあ。そして彼女が本来のパンツァージャケットを身につける日が待ち遠しいものです。
 さて、なんかもうTwitterで流れてくる話が軒並み「膀胱が破裂する」だったので調べてみたところ、なんと上映時間は約3時間という。
 まあでもラージャマウリ作品だからな、といった感じで「SEGAだから」「デコだから」「刃牙だから」と同じ感じで納得しつつ、いざ尋常に鑑賞!
 
 ……で、まあ結論から言うとですね、なんで上映終了後に膝が笑ってて指先がしびれてて息が上がってるの? 病気なの?
 といったように、どう考えても映画を見た後には起こらない体調の異常が発生し、わたくしおののいております。
 さてじゃあ感想なんですが、なんというか一言でいうと「すべてが過剰」と言った感じでしょうか。
 熱量が過剰、上映時間が過剰、アクションが過剰、爆発が過剰、友情が過剰、クライマックスが過剰、筋肉が過剰、動物が過剰、バトルが過剰、情熱が過剰、雄度が過剰と、少なくともこの映画に満ち足りているものはあっても足りないものは何一つありません。
 そしてこの映画を構成している要素の一つひとつがいちいちギットギトに濃い。ファミレスで例えると最初の水が肉。そして上映開始からスタッフロール終了まで肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉。
 およそ人類が摂取可能な濃さを軽々と超過しているあまりにも濃厚な3時間でした。この映画は普通のホモサピエンスが鑑賞することを想定してない。主に膀胱的な意味で。
 ストーリーの構成ももう「起承転結」とかではなく「クライマックスクライマックスクライマックスクライマックス」。
 冒頭から暴徒1万人(推定)vs主人公の一人であるラーマの大バトルに始まり、もうひとりの主人公であるビームによる雄度アピールには欠かせない虎バトル、街なかでの逃走劇、そこから本作のキービジュアルにもなっている主人公二人による炎上する列車事故からの救出劇と、一般的な映画のクライマックスに相当する熱量のシーンが釣瓶打ちされるので、観客は見てる間ずーっと顔面に全盛期のマイク・タイソンのストレートパンチをブチ込まれ続けるわけですね。
 特にラーマとビームが初めて顔を合わせるシーンからの救出劇は最高にアガりました。しかもこの時点で二人は言葉をかわさずアイコンタクトのみで事故に巻き込まれた少年を助けるというあーーーーー全人類が好きなやつーーーーーーー!!! 無言の男の詩(うた)ーーーーー!!!!といった感じの常人なら泡ァ吹いてブッ倒れた挙げ句肉体が塩の柱に変換された上にアセンションしてスターチャイルドになってしまうレベルの激燃え展開が観客を襲う! しかもこれがまだ序盤という。ドラゴンボールで言ったらフリーザ様がまだ変身してない段階、桃太郎で言ったらきびだんごもらった段階ですよ?
 いやー主人公二人が出会う段階でこれだけの盛り上がりなので、これ最終的にどうなってしまうんだよ無事に劇場から帰れるのか?とか思うまもなく次のクライマックスにして、ある意味本作の最大の見せ場、最大のバトルシーンとも言える、見たものの頭に焼き付いて一生忘れられなくなる「ナートゥ・ナートゥ」のシーン!
 そもそも本作の時代設定は1920年、インドがイギリスの植民地となっている時代。イギリスの支配下に置かれたインド人たちは圧政のもとで苦しんでいます。
 当然社会的地位も低く、インド人に対しても別け隔てなく接してくれるイギリス人の女性・ジェニー直々にパーティに誘われたビームと英語がわからない彼に着いていくことになったラーマも、パーティに集まった貴族や守衛などから酷い扱いを受け嘲笑されます。
 ここで印象的だったのが、嘲笑や暴力といったわかりやすく明白な差別だけでなく、「文化レベルによる見下し」が描写されていたこと。
 パーティにつきもののダンスにおいて、イギリス人男性の一人が「インド人はダンスもろくに知らないのか」とばかりに自分のダンスの腕前をこれ見よがしに見せつけるんですが、これに対しラーマとビームが披露したのが「ナートゥ・ナートゥ」。
 これが周囲を巻き込み、その場にいたイギリス人女性たちも輪に加わり、彼らを見下していたイギリス人男性たちもダンスバトルで張り合い、踊り疲れるまでみんなで踊る。
 シヴィライゼーションで言うところの文化的勝利ですよ。文化をバカにするやつには文化で殴り返す。非常に象徴的なシーンだったと思います。
 とまあこの時点でここがまだ序盤にすぎないなんてことが完全に頭からフッ飛んでまして、バーフバリで言うと「伝説誕生」のラストくらいの盛り上がりのところで「INTERRRVAL」の表示が出たときには、わたくしフリーザ様の変身があと2回残ってることを知った悟空の気持ちを完全に理解しました。
 中盤からはストーリーも急展開していきます、というか基本的に急展開ばっかなんだよこの映画。
 友人として親しくなったラーマとビーム。しかし、ラーマはインド独立のためにイギリス警察に潜入していた一方で、ビームは村からさらわれた少女マッリを奪還するためにデリーの街に潜入していたゴーンド族のリーダーだった。
 マッリ奪還の計画を実行に移すビーム。イギリス総督の開催したパーティに虎や豹などの凶暴な野生動物を放って会場をパニックに陥れた隙に、ビームは総督の屋敷に囚われたマッリを探します。そのビームの前に立ちはだかるラーマ。真の友と思っていた相手との宿命の対決! はい全人類が好きなやつ!!
 もうこのシーン、敵味方入り乱れる、そして人間と動物入り乱れる狂瀾怒濤の大バトルでわかる人だけにわかる例えで言うと「ルナーク」と「ダイナマイト刑事」を足して足しっぱなしといった感じでしょうか。
 そしてラーマVSビームの対決はもう完全に聖闘士星矢でしたね。炎を背にするラーマ、水を背にするビームの絵面のかっこよさは少年漫画の見開きカラーページの文脈でした。
 「バーフバリ」でも思った……というか思い知らされたんですが、ラージャマウリ監督描くところのバトルシーンはバリエーションが豊富すぎ。これが人間の頭の中から出てきたっていうのが信じられないバトルシーンばっかりで、なんか見てる内に宇宙猫になってきましたよ?
 そしてこれだけ大バトルやらかしてまだ話はもう少しだけ続くんじゃ。
 任務よりビームの命を優先したラーマは逆に投獄され、ビームはマッリを救出するものの逃亡生活を強いられています。そんなおり、ビームは偶然ラーマの許嫁であるシータと知り合い、彼女の口からラーマがインド独立のために警察官になったことを知ります。
 真実を知ったビームはシータにラーマ救出を誓い、単身総督の屋敷に。
 ここでビームとラーマは地面を叩く音でお互いの位置を確認するんですがここ序盤で無言の列車爆発事故のシーンでの無言のやり取りのリフレインになっててあーーーー全生命体が好きなやつーーーーーー!!!
 とかビクンビクンしてる間もなく、今度は序盤のキャッキャウフフパートでの肩車のリフレインとしての肩車コンビネーションバトルであーーーーーー人類史上はじめて見たわこんなかっこいい肩車!!!
 ただ単にかっこいいだけではありません。拷問によって足を折られていたラーマを連れて戦わなくてはいけない、ではどうするかという作劇上の合理性、そしてなによりラーマとビームの二人でなくては成立しない、二人の絆を言葉ではなくバトルでもって観客に見せつけるというこのシーン。
 ほとんどセリフがないにも関わらず、あまりにも雄弁なバトルシーンでした。そう、バトルでもってコミュニケーションを行うというのがまさに少年漫画的文法なわけですよ。
 とか言ってたらまだ終わってないです。あとどんだけ見せ場あるんだよこの映画……。二郎系ラーメンわんこそばかよ……。
 さらにそこからふたりで総督の屋敷に襲撃をかけるラストバトル!! まあさっきからラストバトル級のバトルばっかりなんですけどね。物事にゃー限度ってものがあるんですけど。
 もうね、正直このラストバトルの感想を十全に表現することは一介の一般人であるわたくしにはできません。みなさん劇場に行ってたしかみてみろ!!
 今までのバトルがアクション映画的なものだったのに対し、このラストバトルはいわば歌舞伎に近いものを感じました。
 敵がラーマを探すために点灯させたライトが、逆説的に彼を神々しく……というかラーマ神として映し出してしまうところとか、ここで再び無言のジェスチャーによるコンビネーションが発揮されるところとか、もうあと2万字書いても書ききれませんしそもそもこんな作品1回見ただけで十分に咀嚼できるわけねえだろいい加減にしろ!!!(逆ギレ)
 というわけでほかにもポリティカルな側面とか前半と後半の対照構造とか色々言いたいことはあるんですが、それは2回目以降の鑑賞でまた改めて書きたいと思います。
 最後に一言言うとすれば全世界全宇宙全生命体全員見ろただしイギリス人は除く。
 
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