A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

第10回博麗神社秋季例大祭戦利品レビュー&第16回東方紅楼夢戦利品レビューファイナルスパーク!

2023-12-29 10:27:28 | 同人誌感想
 長かった……実に長かった……合同誌や総集編のレビューは一度後回しにしてしまうとどんどん後回しになり続けてしまうという学びを得たので今後は早々にレビューしていきたい。
 さておき、これが今年最後の、そして溜まってた同人誌最後のレビューとなります。
 まずは秋季例大祭戦利品レビューから。
 
・よんだそのひがクリスマス(Teaminazuma)
 魔法少女プリティヴァンパイアペガサスサンタ馬フラン爆誕!
 このサークルさんの作品の特徴のひとつがきぐるみなわけですが、今回はその中でも特に有名かつキュートな馬フランが久々に登場! そういや3Dモデルにもなってたよな馬フラン。
 どのコマもフランちゃんが破滅的にかわいい。フォーオブアカインドで4倍かわいい。
 そしておぜう様となかよしでさらにかわいい。
 「ペガサスみたいで素敵」は以前の作品でのパッチェさんのコメントでしたが、ラストページのおぜう様の寝姿も以前の作品で出てた王者の寝姿万歳ポーズですね。あと魔女組はこういうときでもほっかむりなんだな……定着してるのか……。
 
・Twilight Flowers. 今宵は思慮するアルトゥリスト(折葉坂三番地)
 本作は厳密には秋季例大祭後にpixivで全文公開されたものを読みましたがここで紹介。
 女苑と紫苑のお話。このサークルさん描かれるところの依神姉妹のお話はなんというか、独特の生活感と生活臭、もっと言うと昭和臭があって好き。なんでこんなに貧乏ぐらしが似合うんだろうなこの二人……。
 今回は依神姉妹がドラム缶風呂に入るお話。紫苑おねえちゃんがダメッ子でいい。基本的に女苑が世話を焼く羽目になるのがお約束ですが、そういうのがこの姉妹のコミュニケーションなんだろうなと感じます。
 そうしたコミュニケーションをドラム缶風呂というごく狭いパーソナルスペースで行っているのが、このふたりの心理的距離の近さを感じました。
 
 以上、第10回博麗神社秋季例大祭戦利品レビューはこれで完了。
 間髪入れず第16回東方紅楼夢戦利品レビューファイナルスパーク!
 
・宇佐「美」蓮子の落とし物(すずだんご)
 このアイテムはイベントで手に入れたものではなく、twitterにて受注が行われていたところ興味を持って注文してみたものです。入手したのは第16回東方紅楼夢と同じくらいの時期だったのでここで紹介。
 同人誌ではなく「アイテム」と言ったのは、これがUSBメモリであるから。しかも、宇佐見蓮子が学内で落とした彼女の私物であるという設定なのです。
 これまでもこのサークルさんはソノシートやテレホンカードといったアイテムを作品としてきました。これらはすべてガワだけではなく、実際にその道具として使えるもの。したがってこれらのアイテムは、手に取ったものがそれを使うことも含めてひとつの作品として成立していると言えるでしょう。
 そも創作作品というものは空想、想像、妄想といった現実世界では形を持たないものが形を得ることで生まれます。この世界にないはずのものに触れるというのはやはり禁忌であり、同時に好奇心を最高にくすぐる対象でもあるわけです。
 しかも、今回ご紹介する相手は落とし物。つまり他人のもの。そして他人のプライペートが大量に詰め込まれているもの。客観的に見ればこのアイテムは「データが入ったUSBメモリ」でしかないんですが、そこに「他人の落とし物」という属性が付随するだけでこのアイテムの現実世界における現実性が急激に増加するんですよね。
 「現実と虚構の境界」というのは東方世界に限らず創作世界全体において大きなテーマのひとつなわけですが、本サークルさんのこうしたアイテムはその境界線を曖昧にしてしまうだけの力を持っていると感じます。
 もうこれを手に入れた人がUSBメモリをPCに挿してファイルを開くという一連の行為が、すでにこの現実世界から幻想世界へと半歩踏み出すためのシークエンスとして成立しているのがさすが。
 さて御開帳。そこにはレポート記録や写真など、さらには寝言の音声ファイルといった雑多な記録が。それらのデータはプロパティまで「データ更新日時が2118年」とかになってるなどしっかり作り込まれているので、それを覗き見ることには興奮と同時に罪悪感や背徳感を覚えます。中にはフォルダの表示方法を変えると見えてくるものなどもあるので、このアイテムに手を触れたものは好奇心と罪悪感を天秤にかけながら中を見ていくことになるでしょう。……こういう手に取ったものの罪悪感や好奇心も、広い意味ではこの作品の一部としているわけですね。
 さらにはお約束と言うべきか、パスワードロックのかかったフォルダもあります。そのフォルダの中にはどこかで見たような名前とデータが……。
 「他人のプライペートを覗き見る」という背徳感、「架空のキャラクターの私物を現実に存在させる」という幻惑感、そしてちょっとした謎解き要素も兼ね備えた非常に面白いアイテムでした。次はメリーが私物を落としてくれないだろうか……。
 
 ……はい、というわけで冬コミ出発当日ですが、今年中になんとしても終わらせたかったずーっと溜まってた同人誌レビュー、なんとか終わらせました! 俺を褒め称えろ!!
 いやーもう秋季例大祭戦利品レビューはともかくとして第16回東方紅楼夢の戦利品レビューはほんとにずーっと放置してたからなあ……2020年……。
 2024年は戦利品レビューを放置することなくやっていきたいと思いますマジで。
 というわけで本記事を持って2023年の同人誌レビューはこれで完了!
 冬コミは1日目にサークル参加、2日目は一般参加となります。それではみなさん、戦場で会おうぜ!
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第16回東方紅楼夢戦利品レビューその13-2

2023-12-28 23:09:00 | 同人誌感想
 はい、いよいよ明日が冬コミへ出発日となってしまいましたが未レビューの作品がまだ残ってます。昨日の日記ではあと2作品と書きましたが、これはあくまで第16回東方紅楼夢の作品の未レビュー数であって、実は秋季例大祭新刊の未レビュー作品があと2作品残っています。なのでもう出発ギリギリまで残りをまとめてレビューすればなんとかなるんじゃないでしょうかねしらんけど。
 
・From Dusk Till Dawn 東方夜伽合同Ⅱ(天竺煙草)
 後半戦です。未レビューどころか手をつけてもいなかったので、収録作品をひとつ読んだら感想をひとつ書くというやり方で書いてるんですがこれいいな。ページ数が多い合同誌、小説作品が多い合同誌はやはり感想を書くハードルも高くなりがちなのでなかなか手を着けられないでいることが多い……というか実際本作は2020年の紅楼夢で入手したのにずーっと手つかずのまま放置してたしな……。
 なので今後は分厚い合同誌や総集編は、読みながら感想書いたり数回に分けて書いたりという形でやっていきましょうかね。
 
・ゴーストバスターズ幽々子様(稜乃氏)
 妖夢がいつの間にかやたら攻め攻めに! 妖夢のキャラがブレるのはもはや伝統芸の趣すらあります。あわやヘタレ受けに転じてしまいそうなゆゆ様でしたがそこはカリスマ。しっかり異変を見抜いていたのはさすが。というかゆゆ様最初からノリノリじゃねーか。
・琺瑯質の目をもつ魔女(文:シンリ氏/絵:空屑RED氏)
 体を重ねつつも、どこか、そして確実にすれ違っているマリアリ。人間としての魔理沙がアリスに向ける想いと、被造物としてのアリスが魔理沙に向ける想いとのすれ違いがしっかりと作品を構築していると感じます。
・イ・ピイリク・リカビナ・イ(文:NEO氏/絵:八代京氏)
 この不思議なタイトルどういう意味かと思ってたんですが、作品解説を読んでなるほど!と思いました。淫蕩極まる被虐描写の裏にある衣玖の天子に対する想いと呼ぶにはあまりに強い執着とラストシーンはもはやホラーの域。
・サブタレイニアン・フェミニズム(ぱ氏)
 さとりおねえちゃんパーエフェクト勝利の巻。考えてみればこの対戦カードなら出来レースかと思うほどに勝敗が明白ですよね。ただ単に男性器を生やすだけではなく、男性性をも植え付けるという発想が上手い。
・我が子を食らう(文:水之江めがね氏/絵:吉岡よしこ氏)
 タイトルとテーマと表紙のすべてから結末は察せられ、正しくその通りの結末となった一作。ただひとつ思うのは、本作は「食った」のではなく「食わせた」んだなあと。山姥としての人食いの本能に抗うネムノと、人としての愛欲に従う娘との対照関係も感じます。
・good night,baby(野崎氏)
 情事を重ねる幽々子と紫との間に入るどころか一切の干渉ができない立場であるいち幽霊からの視点の作品。幽々子への想いを抱えながらもただ見ていることしかできなかった魂が最後に行き着いた先は、やはりある種の救いのような、そうでないような。ある意味輪廻転生というよりは食物連鎖に近い話なのかなあと思いました。
 
 今日はここまで。
 残り3作品、冬コミ出発までに書き上げるぞ!
 
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第16回東方紅楼夢戦利品レビューその13-1

2023-12-27 23:30:38 | 同人誌感想
 ずーっとレビューが終わらずにいた第16回紅楼夢戦利品レビューもようやく残り2作品となりました。まあ未レビューの同人誌は秋季例大祭のものが2点残ってるんですが……。
 さておき、残っている中ではこれはいちばん分厚い同人誌、しかも小説系なので、いっそのこと1作品読むごとに感想をひとつずつ書いていくという形式でやっていこうと思います。分厚い合同誌や総集編はこういうやり方で書いていったほうがスムーズに書けるかもしれない……。
 
・From Dusk Till Dawn 東方夜伽合同Ⅱ(天竺煙草)
 2020年12月31日をもって、残念ながら閉鎖されてしまった東方R-18小説専用投稿サイト「東方夜伽話」。本作は、東方夜伽話に投稿していた作家さん総勢23名による合同誌となります。
 では収録作品ごとに感想を。
 
・バケモノどもよ永遠なれ(文:SYSTEMA氏/絵:木綿豆腐氏)
 幻想郷を訪れる前のレミリアとパチュリーの出会いの話。強大な力を持っているはずのレミリアやパチュリーが、外の世界の時代のうねりの中で翻弄される姿が印象的。お互いに性愛的にはウブなのが微笑ましくて好き。
・妖怪的幸福論(アサトモ氏)
 「濡れ場」という言葉自体が船幽霊である村紗に合致しているのが上手い。かつて自らも水難事故で死んだ過去を持つキャラクターである村紗が、ぬえと口づけを交わすシーンで「息ができなくなる状況」に歓びと陶酔を覚えているという逆転がまた上手いです。
・十六夜、猶予う(鮭缶氏)
 本作における咲マリは一見咲夜さんのほうが攻めに見せかけて実はパーソナルスペースが狭いはずの魔理沙が咲夜さんを受け入れる側であり咲夜さんはそれを十二分に承知の上で魔理沙に甘えているという構図がとても理想の咲マリでとても好き。(無呼吸)
・ロード・オブ・ザ・淫具(文・絵:喚く狂人氏)
 なんだこのタイトルはたまげたなあ。「前世の自分が使ってたそういう道具を友人に見られる」っていったいどんな気分なんだ……。たっぷりとページを割いて描写される行為の濃密さはめまいを覚えるほど。
・SPLITMIND CHRONOGRAPH(文・絵:みこう悠長氏)
 強烈な淫語まみれの本文、そして輝夜と妹紅がお互いに向ける倒錯しきった情念とは裏腹に、本作の底にはひたひたと冷えた諦観を感じます。これだけ淫蕩な行為にふけっていても二人は頭のどこかで冷めている気がする
・A Twilight Tale(文:Cabernet氏/絵:山桃氏)
 4畳半の狭い安アパートの情感が好き。女苑と紫苑のふたりの落ちぶれ方が、そのまま外の世界の時代の移り変わりを反映しているようで寂寥感がありました。
・My_Fair_Darkness(つわ氏)
 ルミフラ。明らかにフラン→ルーミアの感情が込められているタイトルですが、本文を読み進めていくとルーミア→フランの感情も込められているのが上手いです。
・十九年目の密室異変(望月七星氏)
 例の部屋です。行為のシーンはもちろんのこと、行為に至るまでのシーンにもたっぷり尺を取っているのでふたりの高まりを感じられました。あと小町がしれっと映姫様を呼び捨てにしてるのがポイント高い。
・祝う二人(ひととせ氏)
 キエエエエッ!!(猿叫) 行為前、そして行為中のむらいちイチャイチャ具合が読んでるだけで糖尿病になって病院に担ぎ込まれそう。あだ名で呼び合ってるのいいなあ。
・溺れて沈んで(tukai@ゆかてん氏)
 船幽霊である村紗に「底が抜けていない柄杓を渡す」という行為でもって愛情と恭順の意を示すのが上手い。
・虎仙人譚(又は、邪仙天罰覿面のこと)(ぽんぬ氏)
 青娥娘々大敗北の巻。普段が普段だけに余裕ぶっこいてたら見事に負けるのほんとに似合うよなこの人。そして文字通り獣の本性全開の星ちゃんがなかなか新鮮。
 
 途中ですが今日はここまで。コミケ出発までに終わるかな……。
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第16回東方紅楼夢戦利品レビューその12

2023-12-26 23:48:13 | 同人誌感想
 さあいよいよ終りが見えてきました同人誌レビューコンプリート。
 残るは本作を合わせて3作品! 駆け抜けるぜ!
 
・東方顔合わせない合同 舞台袖の貴女(よつのふね)
 東方の合同誌にはユニークなコンセプトの作品が多数ありますが、本作はタイトルの通り、収録作品のすべてが前半と後半の2作品に分けた形式になっているというもの。そしてすべての作品は全部本誌の前半部分の第一幕と後半部分の第二幕に分かれているので、読者は本誌の前半部分と後半部分を行ったり来たりしながら読んでいくことになります。
 必然的に本作に収録されている作品は、「作品をふたつに分ける」「メインキャラクターは直接顔を合わせない」という制約のもとに書かれています。各々の作品はこの制約をさまざまな形で活かしており非常に読み応えのある一冊でした。また、あとがきによれば本作のコンセプトはコロナ禍によるソーシャルディスタンスを反映してもいるそうで、そこには「タダじゃあソーシャルディスタンスしてやるものかよ!」という心意気を感じます。
 それでは収録作品ごとに感想を。
 
・疫病神は味噌が好き/貧乏神は味噌が好き(全立氏)
 清蘭の団子屋をそれぞれ訪れる女苑と紫苑のお話。別に申し合わせたわけでもないのに同じことをしてしまうという姉妹あるあるが微笑ましい。帰った後にふたりして大量の団子を前に呆れてるんだろうなあ。
・紅と地の闇(天地ハル氏)
 地霊殿のおねえちゃん古明地さとりと紅魔館のおねえちゃんレミリア・スカーレットの対決! 本作の「メインキャラは直接顔を合わせない」というコンセプトを「後方で組織に指示を出す大将」という形で実現しているのが非常に上手い。
・柞のをひとつ/黄楊のをひとつ(ウオheieきん肉2氏)
 本誌では「木乍」と表記されていましたが、おそらくこの漢字だと思うので修正しています。「柞」は「ははそ」、「黄楊」は「つげ」と読むそうですね。「贈り物を選ぶ」というシチュエーションで屠自古と布都ちゃんがそれぞれ同じように櫛を選んでいるのに加えて、それぞれお互いをどう見ているかが垣間見えているのが好き。
・それぞれの余暇(ホオズキ氏)
 春の妖精リリーホワイトと冬の妖怪レティという対象的なふたりのお話。この二人だからこその「直接会わない」というシチュエーションが、季節感も相まってすっきりした読後感。
・魔法使いは待ち人の元へ向かう/古道具屋は待ち焦がれる(與七氏)
 「今頃なにやってるんだろうな、香霖……」「今頃なにやってるんだろう、魔理沙……」という出だしだけでとても魔理霖。直接顔を合わせないふたりの間に霊夢がいるというこのポジショニングが好き。
・歌/返歌(タニシドリ氏)
 ミスリグ。温かみのある絵柄とひらがなオンリーのテキストに、童謡のような素朴さを感じます。「そんなのかんけいないとばぐ!」は今後使っていきたい。
・聞けない独り/見えない独り(らや氏)
 ヘカーティアと純狐さんによるおのろけ劇場。とんでもない圧でのろけるヘカッさんと、クラウンピースを通して表現される純狐さんののろけが好対照。
・その瞳は世界を観る/その瞳は世界から観る(石川スペアリブ氏)
 原作の時点で対象的なふたりですが、その対象性と「直接会わない」というコンセプトを、「世界を俯瞰するもの」と「俯瞰される世界に住むもの」という形で再配置するというポジショニングがお見事。
・人形従者のユウウツ(AquaBooks氏)
 二次創作においては意外なカップリングを発見することが大きな楽しみのひとつですが、言われてみれば確かに芳香と磨弓はこうして見てみると対照的なキャラかも。そしてお互いの主人が狂人呼ばわりされてて笑った。
・my girl(liv氏)
 「顔を直接合わせない」というコンセプト、言われてみれば月と地球という遠く隔たった地にいるこのふたりにこそふさわしい。
・たがいのみち(逆村氏)
 阿求と小鈴といういずれ別れることが確定しているふたりをこのコンセプトに配置するのは簡単ですが、そこにマミゾウさんという第三者を噛ませることで「直接顔を合わせられなくなったあとも繋がっているふたり」になっているのがお見事。
・Re:日記/日記(双葉使用氏)
 影狼と幽香という珍しい組み合わせの一作。本誌のコンセプトで「入れ替わり」という方向性を持ってきたのがこれまた予想外。
・Distance to the Light/Light in the Distance(土露団子氏)
 こまえーき。作品の本文だけでなく、「背景色と文字色を白黒にする」というところが実に芸コマ。閻魔・死神というお互いの立場をうまく絡めつつお互いを想うふたりがとてもいい。
・こどものしくみ/フィッシングナイト(星野正一氏)
 大チルというカップリング自体は珍しくありませんが、このカップリング、ひいては大妖精にこういう角度で切り込んでこういう方向性で解釈しているのは非常に意外でした。
・九代目御阿礼の子、幻想郷縁起を書き終える事/あらゆる文字を追いかけて(ホプレス氏)
 「直接顔を合わせない」というルールであるなら、必然的にそこには「直接顔を合わせない二人を結びつけるもの」が必ずあるという。そしてこのカップリングの強固さを改めて感じられました。
・冬のおわり/春の始まり(奈矢氏)
 なんというか、かぐもこという王道カップリングには必然的にというか宿命的に慧音が文字通り絡んでくるんだなあ……と感じました。それこそ直接顔を合わせなくなっても。
・虚構/アイドル・アイドル(はるすみ氏)
 畜生界における重鎮、埴安神桂姫と吉兆八千慧のバチバチ。その焦点となるのは埴輪の戦士、杖刀偶磨弓。「忠誠心」、そして「橘の華」を中間地点としての構成がうまいです。
・その一発(もりっしー氏)
 直接顔を合わせなくても、その一発は届く。訓練生時代の清蘭と鈴瑚のお話。小道具のディティールが非常に凝っててとても好き。また、2作品ともに構図も合わせるようにしているのが芸コマ。
・疑い/得たもの(ケー平)
 それぞれ別のタイミングでお団子を買いに来る屠自古と神子の話。本作はむしろ直接顔を合わせなかった屠自古と神子でもって団子屋の老婆を深掘りしてそこからさらに屠自古と神子を深掘りするかのような、相互関係性な構造を感じました。
・The Gift of the Magus/泊鎖は月を繋げない(銅折葉氏)
 濃厚な咲マリ。瀟洒なメイドであるはずの咲夜さんの裏側とけっこうめんどくさい性格とそれに振り回されつつもいじましい魔理沙が実に咲マリでした。
・一番弟子(柳太氏)
 華扇ちゃんはともかく青蛾がまともな言動をしてるのに違和感を覚えてしまう……。神霊廟の面々がこういう穏やかな会話をしているという姿が新鮮な一作でした。
・魔法少女はミステリがお好き/我らが愛しき狂人によせて(かねうお丁氏)
 前半はなんだかんだでパチュリーにも懐いてるふうのフランちゃんに、後半ではレミリアの霊夢に対する甘え方に微笑ましくなれた一作。「顔を合わせない二人」であるフランちゃんとレミリアの思考の違いが面白かったです。
・瞳を開けて/瞳を閉じて(tog.氏)
 タイトルからさとこいと思わせといて実態はメディアリ。人形たちに流れ星に願い事をさせようと瞳を開けようとするメディスン、故障したミルク飲み人形の瞳を閉じさせようとするアリス。その「顔を合わせない」両者をペルセウス流星群で結びつけるのが美しい。
・おひらきは私が決めること/アンコールは鳴り止まない(満田鍬)
 本誌の最後を飾る一作。つまり第一幕と第二幕の終わりを告げるポジションに配置された作品なんですが、しっかり第一幕を終わらせて第二幕へ導く構成になっているのがさすが。ここで満を持して紫様が出てくるのもいいよな。そして第二幕終了からそのままアンコールかつエンドロールに入るこの流れ、思わず拍手してしまいました。
 
 今日はここまで。
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コミティア146戦利品レビュー

2023-12-25 22:25:40 | 同人誌感想
 さてもうコミケまで日がないので、今年中に書くべきレビューは全て書いていきますよ。
 
・酔いどれエンジェル(泥舟海運)
 こうばさんの作品は東方二次創作だけでなくオリジナルも好き。というわけで今回のコミティア新刊は、天界から地上に降り立った天使様がお酒でやらかすお話です。フォーリンエンジェル。
 こうばさんのファンタジー系のオリジナル作品はなんとなーくゆるーく世界観が繋がっている感じで、本作にも以前の本でお肉にされてしまった肉屋のおじさんがいたりします。
 スラムで貧しいながらも懸命に暮らす少年、グリムの前に現れたのは天使のヨエル様。振る舞われたワインで完全にベロベロになってしまったそのあられもない姿にドン引きしつつも自宅に連れ帰るグリムくん。
 なんかこうばさんのマンガって酔っ払い展開が多い気がする。完全に神の使いとしての尊厳を失ってしまったヨエル様の痴態は酔っ払いとしての解像度が非常に高くて笑えます。
 あとラストの展開がどうしてもエロ同人の導入にしか見えないわたくしの汚れた魂を救い給え。
 そして朝チュン後のヨエル様のご尊顔のコマからは血の気が引く音が聞こえるよう。路地裏で堕天使となってしまったヨエル様に祝福あれ。もういっそそっち方面の需要を見出すとかどうですかね……。
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第16回東方紅楼夢戦利品レビューその11-4

2023-12-24 23:36:37 | 同人誌感想
 メリクリー。というわけで今年も惑星中心核に単騎突入して地球を破壊した。
 無事地球も割れたので残りのレビューを進めていきましょう。
 
・東方ええじゃないか合同(すずだんご)
 4回に渡ってお送りしてきた「東方ええじゃないか合同」の感想もいよいよ今回がラスト。張り切っていきましょう。
【サンライズ】
・『Afterwords』(電柱.氏)
 秘密結社「我が古明地さとりを敬うの団」の宴が今始まる。ギャグに見せかけてこいしちゃんの特性をうまく利用したトリックが秀逸。勇儀姐さんが主役なのもナイス配役。
・ヘリから降る一億のお札(perique氏)
 マミゾウさんの信用創造口座。こういう話はやはり人間を化かす妖怪たる化け狸に似合います。タイトルは「おさつ」とも「おふだ」とも読めるのが実にテクニカル。
・レミリアちゃんの羽(マヨネーズ氏)
 二次創作においてはぞんざいに扱われることに定評のあるレミリアちゃんですが、羽がすっぽ抜けて草。ここぞとばかりに親友を弄り倒してオチを付けるパッチェさんマジパッチェさん。
・化け傘と巫女(ぺろぽねそす氏)
 霊夢の言動が全体的に酷くて好き。さすがにまんじゅうを箱ごと食うのはどうかと思います。そして努力の末に要らない子であることを自ら証明してしまった小傘ちゃんが不憫可愛い。
・イラスト(久保氏)
 クッキンアイドルお燐ちゃん! 食材が何なのかは聞かないほうがいいんだろうな……。
・イラスト(龍咲零氏)
 小町とうどんげという珍しい組み合わせ。ドカーン!という勢いのあるイラストです。
・イラスト(うがつまつき氏)
 リグルとヤマメの蟲コンビ。食物連鎖で下部に置かれがちなリグルかわいいよ。
・霧雨も熔けるほどに(人比良氏)
 実にレイマリ。正統派レイマリ。この方の作品は何作か読んだことがありますが、独特の味というか澱を感じる情念の描写がとても好き。
・足りない音を埋めるもの(仮面の男氏)
 幻想郷の音楽シーンを司るプリズムリバー三姉妹と九十九姉妹のお話。バンドメンバーの脱退や交代はあるあるですよね。
 
【緑陽社】
・AM:TIGER(とらん氏)
 人里に活気を取り戻すべく、たくさんの人から原稿を募って本を出版するべく奔走する小鈴ちゃん。そんな人里の裏側で……。これは実質天空璋の魔理沙バッドエンドルートと言えるのでは。
・河童の幻灯機(海沢海綿氏)
 天狗からの依頼で幻灯機を作ることになったにとり。落語みたいな軽妙な語り口とオチが好き。どっとはらい。
・ノーズ・ノー!(白上めりと氏)
 本作のラストを飾る作品は鼻行類がテーマです。なぜだ……。「私たちはこれから、どこへ向かっていくのだろう」ってこっちが聞きたいわ!
 
 ……というわけで長かったええじゃないか合同のレビューもようやく終わり。しかしまだ未レビューの作品が3点残っているので、なんとか今年中に終わらせたいと思います。
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第16回東方紅楼夢戦利品レビューその11-3

2023-12-23 23:28:24 | 同人誌感想
 いよいよ冬コミが来週に迫ってきてますので、どんどん進めていきたいと思います。
 
・東方ええじゃないか合同(すずだんご)
 というわけで前回の続きから。あと1回か2回くらいで終わる予定。
 
【株式会社栄光】
・水たまりの蒸発(ムラクモン氏)
 ドレサグ。サグメ様をさん付けで呼ぶドレミ―さんがなんだか新鮮。飄々としているイメージが強いドレミ―さんですが、こういう一面もあるのかなあ。
・物言わぬ米と雄弁な桃(保冷剤氏)
 てんこちゃんと針妙丸のお外でランチ。今このレビューを書くために読み返してるんですが深夜に読むもんじゃないな腹減って仕方がない。この合同における飯テロ大賞を差し上げたい。
・澄み渡る荒涼の中で(白幡氏)
 魚の姿が少なくなった湖を心配するわかさぎ姫。本文中の「水面という境界」の一文がなかなか印象的。そう考えると、メジャーな妖魅・人魚であるわかさぎ姫もある意味境界に棲む存在なのかも。
・上白沢慧音、去る(いってつ氏)
 「教育者という立場を持つ人物としての上白沢慧音」を、教え子の一人を絡めて描く作品。こういう方向性で慧音を描写した作品は初めて見た気がする。明言されてませんが小鈴ちゃんの親だよな。
・銅貨の龍はアールグレイに沈む(赤城のく氏)
 小説は必ずしも人物の視点で描かれるとは限らない。一枚の銅貨が語るこの物語は、レミリアとの恋路と言っていいでしょう。ラストの一文がとても美しい。
 
【太陽出版(株)】
・幻想パンデミック・レポート~ケースファイル・5116~(タナバン・ダルサラーム氏)
 全文レポート形式で書かれた、幻想郷で発生したパンデミックの記録。なんだよTewiウイルスって。トンチキの中に輝くかぐもこの光を見た。
・21世紀の20世紀延長型テレワーカー浅間伊佐美が会議に参加しました(鹿嶋しゃこー氏)
 東方キャラの中でもトップクラスにマイナーな「黄昏酒場」の浅間伊佐美を主人公とした一作。テレワーク会議とは言え会議中に飲酒はアウトでは。「業務(やること)はひとつ! 呑むぞ!」じゃないんだよ。
・プチ出張 東方どうでしょう(鴨南蛮氏)
 「水曜どうでしょう」のあの雰囲気とノリを小説媒体で表現しているなかなかの怪作。「お前もハニワにしてやろうか」はマイベスト脅し文句。この深夜テンション大好き。
 
 今日はここまで。
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「Call of the Sea」クリア&コンプしました!

2023-12-22 23:00:42 | ゲームな話
 もろもろのもろもろの息抜きに、あくまでも息抜きにゲームをプレイしてます。steamでは悪魔の宴ことウィンターセールが開催されていますが、新しいゲームがしたいならもはやEpic Gamesのライブラリを漁ったほうが早いという気がします……。
 というわけで今回プレイしたのは「Call of the Sea」。一人称視点のパズルメインのアドベンチャーゲームです。
 カンがいい人は「海からの呼び声」というタイトルの段階でなにもかもすべてがネタバレしてると思いますが、そういう作品です。海から呼ばれる確実にとろくなことにならないよな。
 ですがいわゆるホラー表現やゴア表現はないのでそういうのが苦手な人でも大丈夫。
 主人公・ノラは行方不明だった夫・ハリーからの手紙を手がかりに、彼の行方を探そうと謎の島を訪れます。誰もいない無人島に残されたハリーの探検隊の痕跡を手がかりに進んでいくノラ。やがて彼女は島の秘密と自分の出自を知ることになるのです……。
 いやー良いゲームだった。謎解きの難易度はほどほどで遊びやすく、やりこみ要素もあり。ホラー表現はないと書きましたが、ホラーにならない程度の不気味さや不穏さはちゃんとあって
 そしてストーリーがいいんだこれが……。
 超大作のような長大なストーリーではありませんが、ノラとハリーのお互いを思う気持ちがじんわりと伝わってくるような感動を味わえました。特にしっとりしたエンディングテーマが余韻があっていいんだ……。
 エンディングは最後に分岐するんですが、どちらのエンディングもいい。
 無料で配布されていた作品でしたが、普段はあまりプレイしないタイプの作品で面白かったです。
 Epic Gamesでは毎週、セールシーズンになると毎日無料でゲームが配布されるのでおすすめ。積みゲーを恐れぬ勇者はぜひ登録するがよかろうと思います。
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第16回東方紅楼夢戦利品レビューその11-2

2023-12-21 16:01:51 | 同人誌感想
 2024年を悔いを残すことなく迎えるために、未レビューの作品の感想をどんどん書いていきますよ。
 
・東方ええじゃないか合同(すずだんご)
 というわけで前回の続きから。
 
【コーシン出版】
・或る夏のこと(祇園霊夢氏)
 妖怪の中でも特に人間との直接的な関わりが深い河童であるにとりと鬼である萃香が協力して温泉を掘り当てるお話。冒頭の情景描写が情感豊かで好き。
・少女帰葬曲(やこうせいの亀氏)
 幻想郷が海に覆われる異変が発生! しかし幻想郷の面々はのんきにその異変を楽しんでいます……と見せかけての、あえてすべてを明白に語らないラストが実にいい。
・乙女心と旧都の華(ユカノモクメ氏)
 地上の桜が散ってしまったので旧都へ石桜を見に行くことにした霊夢と魔理沙。背景までしっかり書き込まれてて風情を感じます。
・流れ星とありがとう(中島楓氏)
 メリーを強引に誘って流星群を見に行くことにした蓮子。強引なくせに涙もろいのが蓮子って感じで実にいい。そしていきなり空気ぶち壊しで「ラーメン食べたい」とかのたまうメリーがメリーって感じで実にいい。
 
【くりえい社】
・イラスト(らぱ☆氏)
 お祭りを楽しむ地霊殿の面々。どのキャラも表情が生き生きしてて好き。
・イラスト(加糖氏)
 むしゃこら神霊廟組。なんでパンばっかりなんだ?と思ったらあれか、ヤマザキ春のパンまつりか。
・イラスト(みどり氏)
 ゆかゆゆはいいぞ。互い違いのウインクがコンビ感があって好き。
・調査『ええじゃないか騒動』について(鉄骨屋氏)
 森見登美彦の小説のパロディという一風変わった作品。科学世紀まで語り継がれた「ええじゃないか騒動」の真相に秘封倶楽部が迫る! 叡山電鉄まわりの情景描写が豊かで旅情を感じました。
・蓮子とメリーのおしゃべり原稿タイム(千華種虎氏)
 秘封倶楽部の二人が深夜ラジオのノリと深夜テンションでくっちゃべるお話。ネットスラングに楽屋ネタまで突っ込んだ闇鍋感が好き。
・幻想航空相撲(そひか氏)
 なんだよこのタイトルは。弾幕ごっこに代わる決闘法「幻想航空相撲」が今始まる。始まるなよ。やたら迫力のある航空相撲描写に圧倒されます。
・葵草(Red Forest(RF)氏)
 式子内親王の句をもとにした秘封倶楽部のフィールドワークのお話。収穫はなかったものの清々しい気持ちになれたラストの清涼感が好き。
 
【みかんの樹】
・マイクロビキニ異変(やむっ氏)
 もはや切っても切れない関係となってしまった催眠とアリス。まあpixivでは日常茶飯事だからなあマイクロビキニ異変。あとやむっ氏の絵柄で小さいパチュリーを見るとやたら違和感があるのはなんでだろう。
・不謹慎な時事ネタでもええじゃないか(もず氏)
 もはや切っても切れない関係となってしまった火災と鈴奈庵。もはや不謹慎ネタがどうこうよりも当然のごとく鈴奈庵が焼却処理された上になんも解決してないのがひどすぎる。
・氷山やカモメが見える(アン・シャーリー氏)
 さとりとこいしの交換日記。こうした主観視点の作品は文体に視点保持者像をどれだけ反映させられるかがカギだと思ってるんですが、本作のこいしちゃんの「ズレた感じ」は見事。
・人生三万日(さとうとしお氏)
 いきなり喋るようになった道具たちと魔理沙のお話。なんだか寓話的で不思議なお話でした。30000÷365=約80。長いようで短い人生、そうあくせくせずにのんびり行こうという感じ。
 
 今日はここまで。
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虚脱している。

2023-12-20 23:03:46 | それさえも平穏な日々
 昨日は冬コミ原稿を終わらせた上にサンプル投稿とお品書き作成まで終わらせた反動で、今日はなんかエネルギーを使い果たして虚脱してました。
 しかしまだ年内に終わらせなくてはいけないことは山ほど残ってるので終わった気になるのはまだ早い。
 わたくし人形使いもコミケをはじめとするイベントに参加するようになってそれなりになりますが、入稿後の虚脱状態が長引くようになってきたので老いを感じます。ワシももうトシじゃからのうゲホゲホ。
 さておき、金曜日からまた上映スケジュールが更新されるので、また映画を見て気合を入れて残ったもろもろを終わらせていこうと思います。
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