A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

「Underground Blossom」プレイしてます。

2023-09-29 23:49:23 | ゲームな話
 紅楼夢原稿最終締め切りまで指折り数える段階になってきましたが、「Rusty Lake」シリーズ最新作「Underground Blossom」が発売されてしまったものは仕方がないのでプレイしてます。すでに1周目クリアしました。原稿はやってます。俺を信じて。では感想を。
 
 本作は、すっかり「執拗におっさんの乳首をいじくるギミックを仕込むポイントクリック型AVG」として認知されている「Rusty Lake」シリーズ最新作。
 今回は謎の電車に乗って、ローラ・ヴァンダーブームの過去と未来を紐解いていくというストーリー。
 相変わらずの謎めいた雰囲気、良質なパズル、そして染み渡るようなシブいBGMと非常に完成度の高い作品となっています。1周2~3時間ほどでクリアできるコンパクトなボリュームながら、これまでのシリーズと同様にそこからが本番。シリーズ経験者にはおなじみのアレを集めたり実績を埋めたりといったやりこみ要素があるので価格以上のボリュームを楽しめるでしょう。
 個人的にはこれまでのシリーズに比べて文字がかなり小さいのが気になりましたがまあ些細な点でしょう。
 謎解きの難易度も簡単すぎず難しすぎずといった塩梅でやりがいがあります。割と突飛な世界観ではありますが、謎解きは理論的なので不満はなし。一連のシリーズの最新作ではあるものの、どこから手を着けても大丈夫でしょう。多くをはっきりとは語らないタイプのシリーズですが、全作プレイすればなにかしら浮かび上がるものがあるはず。そしておっさんの乳首をいじりまくれ!
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steam「SHMUPフェス」にて「たわし」購入!

2023-09-28 21:13:34 | STG
 わたくし人形使いは命知らずなので、紅楼夢原稿締め切りまで1週間切ってても平気でゲームを購入してしまいます。だって安かったんだもの。みつお。
 というわけで現在steamにて大好評開催中の「SHMUPフェス」、STG作品が軒並み割引で配信中というシューター垂涎のイベントが開催されてるんですが、わたくし鋼の自制心で1作だけ購入しました。
 今回購入したのは「たわし」。
 非常にシンプルな弾幕系縦シューです。
 どのくらいシンプルかと言えば、ボムなし、複雑なスコアシステムなし、使うボタンはショット、低速移動、十字キー入れても最大3つという極限まで要素を削ぎ落としたシンプルさ。
 すなわちプレイヤーがやることは、撃て! 避けろ! そして……稼げ!(パクリ)
 STGに限らずゲームというものはシステムが複雑化してるとそれだけで敬遠してしまう人もいるでしょう。STGにあってはそれが特に顕著。
 しかし本作は前述の通り非常にシンプル、基本的にやることは撃って避けるだけなのでSTG初心者にもとっつきやすい作品となっています。
 シンプルさはときに「底の浅さ」になってしまうこともありますが本作はさにあらず。本作のステージ中には無数の「おたから」が埋まっており、ショットを当てて掘り起こすことでスコアとアイテムが稼げます。「おたから」は数多くの種類があり、コレクション欲を満たしてくれます。
 さらに本作ではこの「おたから」を規定数集めるごとにゲームスタート時の残機が増えていくという仕様となっています。本作にはスコアやアイテムによるエクステンドはないので、この「おたから」集めが残機を増やす唯一の方法。
 個人的にはこのシステム、地味に革命的だと思います。ゲームプレイによってコンティニュー回数を増やすSTGはけっこうありますが、本作は直接的に初期残機を増やすことで、STGの当面の目標となるであろうノーコンティニュークリアへのモチベーションを上げ、同時にハードルを下げてくれているわけですね。
 また本作の自機は初期化力がけっこう高いので、STGあるある「ミス後の火力不足で敵の集団に対応できず物量に押し潰されて連続ミス」が起こりにくくなっています。これもノーコンティニュークリアへのハードルを下げてくれている要素ですね。
 さらに自機はライフ性+残機制で、さらにステージクリアでライフが回復するのでけっこうな回数の被弾が許されます。弾幕系ですがライフに余裕があれば強引に抜けることも可能なので、これまたハードルが低くなる。
 このように本作は、システム的な側面をシンプルに、なおかつプレイヤーにかなり有利にすることでSTGをプレイする心理的ハードルを大幅に下げた作品であると言えるでしょう。
 ではヌルゲーかというとそうでもなく、難易度は「やさしめ」から「じごく」まであるのでマゾシューターでも安心。
 不満点と言えば追加武装の種類が見た目で分かりづらいくらいかな。楽しく避けて楽しく稼げる良作STGです。
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塚口サンサン劇場「ボディガード牙」「AKIRA」見てきました!

2023-09-27 21:14:28 | 映画感想
 紅楼夢原稿締め切りまで1週間を切ってますが、腹が減っては戦はできぬということで心の食事をするべくサンサン劇場へ。
 1週間限定の上映作品は放置してるとすぐに過ぎ去ってしまうので、見られるときに見ておかねばならないので今日は2本見てきました。
 1本目はこちら!
 
 
 かのアクションスター千葉真一氏が主演を務める往年のアクション映画。もちろん36mmフィルム上映だったので、フィルム上映でしか見られないノイズや傷を見ただけで熱いしずくが頬を濡らします。
 空手道連盟「徹心会」の門下生であり、アメリカでの武者修行から帰国したばかりの牙直人は、徹心会のPRのために私設用心棒「ゴッドハンド機関」なるボディガード会社を開設。そこへ最初の依頼人となる謎の美女が、4日間のボディガードを依頼してくるのですが……。
 感想なんですが画面の雄度が高い雄度が。もうギットギトに濃い。
 原作が梶原一騎だけあって画面が全体的に劇画。千葉真一ってこんな濃かったっけ……。
 まあそういう層向けのそういう作品だから当たり前といえば当たり前なんですが、最近このテの作品を見てなかったので、なんかいきなり二郎系ラーメン食ったみたいな気分で胃もたれしてしまうほどの濃密な千葉アクションを堪能できました。
 やはりアクションのキレが凄まじい。冒頭のコーラ瓶斬りに始まり、マフィアや悪党との格闘戦はどれも大迫力。若干人間の範疇をはみ出ている気もしますが……。
 そしてこうした古い映画を見るときに楽しいのが当時の風俗や生活。今ではもう見られなくなった黒電話やダイヤル式テレビといった古代のアイテムを見るだけで熱いしずくが頬を濡らします。ダイヤル式テレビとかどえらく久しぶりに見たぞ……。
 あと敵役の三兄弟が全体的に北斗の拳から出てきた感じで笑ってしまいました。
 というか今この日記を書いてて気がついたんですが、この作品を上映したのってあれか、ジョン・ウィック最新作に備えてか?
 そして2本目はこれ! ラッセーラ!
 
 
 日本でオタクを自認するなら見ておかないと法に触れるレベルの作品であるこの作品。スクリーンで見られる貴重な機会なのでなんとかタイミングを見計らって見なければいけなかったので見てきました。
 「童夢」にインスパイアされて作成された「イノセンツ」に合わせてこの作品を上映するあたりが実に塚口。
 この作品ももう何回も見て原作も読んでますが、やはり面白い。面白いだけでなく「いつ見ても新しい」のがこの作品のすごいところですよ。
 萩原恭次郎言うところの「固まりもつれた電線の脳髄」と化したメトロポリス・ネオ東京、テールランプの光が尾を引くバイクチェイス、数えきれない作品がオマージュしてきたこの作品の代名詞とも言えるスライドブレーキシーンなどなど、この作品から生まれたものは数しれず。もはや35年前の作品であるにも関わらず「最新」の印象があります。
 個人的には序盤のビルの看板が窓ガラスを割りながら落下するシーンが非常に印象深いです。あのシーン見るだけで変な多幸感に満たされる。
 そして大友克洋作品といえばものがぶっ壊れるシーンなんですが、本作でもそれはもう胸焼けするほど楽しめます。というか本作の崩壊シーンって、迫力を通り越してある種の荘厳さすら感じるんですよね。
 そういや本作の実写化のニュースは泡沫のごとく浮かび上がっては消えていってますが、結局どうなるんでしょうかね。個人的にはミヤコ様は柴田理恵にやってほしい。
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締切が迫ってくるよ……

2023-09-26 23:03:03 | 小説の書き方
 はい、紅楼夢原稿最終締め切りまで1週間を切っている事実に体内温度が4度ほど下がってしまう昨今、いかがお過ごしでしょうか。
 原稿の方ですが、表紙をお願いしていたなまねこさんから超スゲェイカス表紙が上がってきたので、表紙に負けない本文を上げなくてはいけないハードルがド上昇してしまって脳が破壊されそうです。
 真面目な話追い込みなのでいつものごとく悲鳴を上げながら書いていますが、今回は初書きのキャラが居るのでそこも心配。
 東方Projectのキャラには登場から早々に二次創作的キャラ付けが行われるのでそれにイメージが引きずられてしまいがちですが、自分で二次創作を書くときにはあくまで自分のイメージを大切にして書いていきたいもの。
 あとはまあ……主役であるはずのルーミアがなんだか影が薄くなってしまい始めたんですが残り1週間でどうにかできるんだろうかこれ……。
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久しぶりにラーメンを食うなどした。

2023-09-25 23:49:28 | それさえも平穏な日々
 今日は用事で梅田に行ったんですが、そのついでにたまにゃー外食してもバチは当たるめえということで久しぶりにラーメンを食べてきました。
 最近は支出を限界までケチるために外食はなるべくしないようにしてたんですが、まあたまにはいいでしょう。
 わたくし人形使いは基本的に自炊生活をしてるんですが、メニューがド貧相なのでこうしてたまに外食をするとマトモな食事のありがたさに泣けてきます。
 今日はラーメン+唐揚げ+半チャーハンの唐揚げ定食セットを食べましたが、なんかそのあと異様な眠気に襲われました。おそらく血糖値のせいだと思われます。調べてみると、食事をたくさん摂ることによって血糖値が上昇→インスリンが過剰分泌→血糖値が急降下→脳に供給されるブドウ糖が不足して眠気やだるさが出るという仕組みなんだそうですね。
 たまにいいもん食うとこれだよ……。
 というわけで帰宅してから延々寝てしまってたので原稿のほうが大ピンチ。この日記を書き終わったら即刻進めますので命だけは勘弁してください。
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僕にはもう君のことがわからないよ……

2023-09-24 20:36:54 | それさえも平穏な日々
 何の話かというと令和ちゃんですよ。
 ついこないだまで真夏と変わらない猛暑だったのに、昨日くらいになって「はい! 今から秋!」と言わんばかりにいきなり気温が下がってきたと思ったら今度はまた気温が上がるというなんかもう半分壊れたコントローラーみたいな状態になっててわたくし完全に令和ちゃんに自律神経を振り回されております。勘弁して令和ちゃん……。
 令和ちゃんの気温スイッチはなんか「さむい」「あつい」しかない気がしてきた。
 いやもう実際のところこれだけ極端に気温が上がったり下がったりするとまーた体調崩しそうでこわい。もう来週が紅楼夢原稿の締切だしなあ……。
 そういや夏場は毛布1枚で寝てることが多いんですが、今年は9月24日現在まで夜がやたら寒いことが多いので年始からずーっと掛け布団を使ってます。
 以前に調子を崩したときは薄着と毛布1枚で寝てて一気に体調崩したからなあ。万が一の事を考えて枕元に硯箱を用意しておかねば。
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塚口サンサン劇場「ヴァチカンのエクソシスト《すべての言語OK》発声可能応援上映」行ってきました!

2023-09-23 23:55:54 | 映画感想
 2023年9月。極東の島国、日本。
 以下に記されるのは、まごうことなき真実の記録である。
 
 
 というわけで先週に引き続き行ってきました悪魔祓い。「ヴァチカンのエクソシスト《すべての言語OK》発声可能応援上映」行ってきました!
 今回は前回に比べて入場者数はひかえめでしたが、まさに少数精鋭といった感じで楽しめました。
 恒例の待合室ではさっそく塚口のホスピタリティが炸裂だ!
 
 
 左のイラスト入りマシュマロは、先週のラテン語縛り上映でカンペ交換をした方からいただきました。dostiを感じる。
 右のはメダイのプリント付きクッキーでした。
 そして今回はいつもはあんまり撮らないコスプレの方の写真を撮らせていただきました。
 
 
 
 先週もそうでしたが、上映時間が近づいてくると待合室がだんだん黒くなっていくのが笑えます。
 さて開場時間になったのでシアター4へ。
 今回の上映前画像はこんな感じ。
 
 
 今回は日本語表記です。
 席の埋まり具合は前回に比べると半分くらいですが、スクリーンに充満する熱気は前回に勝るとも劣りません。
 そして、最大の熱気をまとった漢(おとこ)がその姿を現す!
 
 
 映画の悪魔に憑かれた男、シネマスター☆トムの登場だ!!
 わたくしプロレスに関する知識はキン肉マンしかないんですが、公式twitterによれば、
・武藤敬司
・橋本真也
・蝶野正洋
・中邑真輔
・アントニオ猪木
・ジャイアント馬場
・長州力
・スタン・ハンセン
・内藤哲也
・ラッシャー木村
 ……以上10名のレスラーの決めポーズで登場したそうな。スタン・ハンセンだけわかった。
 といった明らかに趣味に偏った戸村支配人の登場に、館内からは割れんばかりの拍手が。
 恒例の前説には拍手とともに鈴の音が響き渡り、なんだか今回は厳かな雰囲気に。
 そして満を持して上映開始!
 今回も前回に引き続きジェフ・カッツプロデューサーからの特別映像からスタート!
 わたくし人形使いは前回にも参加したのでこの映像を見るのは2回目なんですが、そう考えると今後はどうなるかわかりませんが今のところこの映像を見られるのは最大2回ってことでかなりのレア映像ということになるでしょう。というかこの映像、世界でここでしか見られない映像なのでは。
 今回はどちらかというと発声よりも鈴の音と拍手が多かった感じですかね。
 というかホラーシーンでじわじわ鈴の音が大きくなっていくのが観客も芸達者。サンサン劇場は公式がプロなら客もプロ!
 特にBGMの盛り上がりに合わせた強弱の付け方が技巧(うま)い。
 サンサン劇場の前説では、毎回戸村支配人は「応援上映・マサラ上映はあくまで映画鑑賞+αです」ということを強調していますが、その呼びかけにしっかり答えた応援上映だったと思います。これぞ日本文化の誇る奥ゆかしさであり侘び寂びですよ。
 特に中盤から後半にかけての怒涛のホラーシーンでは鈴を必死に鳴らしすぎて右手首がスッポ抜けそうになってました。
 そしてラストバトルはそこらじゅうから鈴の音が聞こえてきてまさに最後の悪魔祓いといった感じで気分はミラクルライトを振ってプリキュアを応援する女児ですよ。
 事前に今回はラテン語縛りの時よりもかなり人数が少ないということ聞いていたので、かなり控えめな応援上映になるかなーと思っていましたがさにあらず。いつもどおりの盛り上がりで楽しめました。
 しかし、まだ討ち滅すべき悪魔は198体残っているので、応援上映もあと189回やってこの世にスゲェイカス神の王国を実現しましょうアーメン。
 
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いよいよ締切が迫ってきた……

2023-09-22 23:59:59 | 小説の書き方
 さていよいよ胃の腑が冷えてくるころですよ。紅楼夢原稿の最終締切が迫ってきました。
 原稿の方は……まあ……なんとかなるはず……たぶん……なるといいいな……と言った感じ。
 ストーリーラインについては原作があるので安心なんですが、こちら独自のギミックの載せ方はしっかり考えて、なおかつストーリーに沿って機能するようにせねば。
 今のところ今回のギミックを少しずつ開示するというのはできてると思うので、後はクライマックスに向けて進めていけばまあ作品としては成立するでしょう。
 書いてる途中ではまあいろいろなマイナス思考が襲ってくるわけですが、その大半はただの幻覚かマーラの仕業なので無視無視。最終締め切りまで駆け抜けます。
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TOHOシネマズ梅田「バービー」見てきました!

2023-09-21 23:07:31 | 映画感想
 見よう見ようと思ってたらいつのまにか終映が迫ってて慌てて見に行くことが最近増えてきたので、もう少し余裕をもって見に行きたいと切に思います。
 というわけで、今日が終映だったので慌てて見てきたのがこれ!
 
 
 公開当時の「2001年宇宙の旅」をパロったOPにSFマインドを掴まれて、さらに予告でなんとなーくシニカル系SFもしくはメタフィクション系SFのかほりを感じたので見てみることにしましたこの作品。
 わたくし人形使いは清く正しいおとこのこなのでバービーやリカちゃん人形などに代表される女の子向け人形というジャンルには造詣がないんですが、アメリカ本国では相当なセールスを記録しており、それまでお人形遊びの人形は赤ちゃんだったのを一気に覆した程度のことしか知りません。まあこの辺の知識も聞きっかじりレベルではありますが……。
 バービーたちが幸せに暮らす理想の世界・バービーランド。そこに住むバービーのひとりに異変が起こります。ステキなパーティの最中に突然「死」の概念を口にしたり、太ももにセルライトができたり、昨日までは階段を使わずに浮遊できていたはずが突然落下してしまったり……。
 そうしたバービーの異常の中でも特にエラいこととして描写されているのが「常にハイヒールを履いていてかかとが上がっていたのにベタ足」というのが笑えます。
 バービーは、それらの異常を治すために人間界へ向かう……というのが本作の筋書き。
 ケンが勝手に着いてきた以外は現実世界へはわりと簡単に到着するものの、自分が住んでいたバービーランドの理想的な世界とのギャップに翻弄されるバービー。今までバービーランドの世界しか知らなかった彼女とケンは次第に自分の存在に疑問を持つようになり……。
 ってこれ要するにエクソダスじゃねーか!! エデンのリンゴを口にしたアダムとイヴじゃねーか!!
 作中ではあくまでコミカルさが失われないように大げさに描写されてはいるものの、バービーランドと現実世界での女性の扱われ方のギャップに翻弄されるバービー、一方で今まで知らなかった男社会の心地よさに染まっていくケンの姿は、まるで見えない病原菌に徐々に侵されているようでかなりのホラーを感じました。
 バービーランドでは理想的な暮らしをしてきたバービーは現実世界での女性の社会的地位の低さにすっかり落胆してしまいます。その反面、ケンは現実世界における男性の優位性にすっかり染まってしまい、そのままバービーランドに帰還。
 思想的に無防備なバービーランドに現実世界の家父長制を浸透させて、バービーランドを男性優位の「ケンダムランド」に変えてしまいます。
 それまで大統領をはじめ高い社会的地位に着いていたバービーたちはメイドやガールフレンドといったケンたちに奉仕し従う立場に一転。
 このケンダムランド、言うまでもなく「家父長制に支配された社会」のカリカチュアなんですが、じゃあケンダムランドが「異常な状態」であるなら、冒頭のバービーランドは「正常な状態」なのか?という疑問を感じられずにはいられませんでした。観客がこの違和感を覚えることは完全に計算されているでしょう。
 話の流れ的にはバービーランドは正常、ケンダムランドは異常となるところですが、両者は結局のところ男女が入れ替わっただけに過ぎないんですよね。実際、ケンが現実世界の男性優位社会に魅力を感じて染まっていく原因は、バービーランドにてケンをはじめとする男性が軽んじられてきたからですし。
 本作はフェミニズム的な観点からも注目を集めていたようですが、個人的には本作はフェミニズム的な観点の数歩外側からそうしたごちゃごちゃを冷笑的に捉えた視点を持った作品なんじゃなかろうかと感じました。
 本作では、少なくとも表面的には女性=善、男性=悪として描写されています。しかしそれはあくまで表面的なものであって、それを反転させたところで男女が入れ替わっただけで同じことになるに過ぎない、というのが本作のキモなんじゃないですかね。
 また本作は、「架空の存在が自意識を獲得するSF作品」として見ることもできると思います。本作におけるケンとバービーは、そもそもが「女性の理想像のカリカチュア」であり「それに付随・従属する男性像のカリカチュア」です。しかし彼女ら、彼らは終盤にて現実世界のバービーの持ち主であって現在はバービーの制作元であるマテル社の秘書をやっているグロリアとその娘であるサーシャとの交流を経て、いわゆる社会的役割に縛られない自分を獲得します。ここでバービーたち、ケンたちははじめて各々の独立した個性を意識するようになるわけですが、これは数々のバリエーションが発売されてきたバービー人形とも符合するようにも思えました。
 本作の主人公であるバービーは最終的に、バービー人形の生みの親であるルース・ハンドラーの魂との交流を経て人間として生まれ変わる道を選びます。そして人間として生まれ変わった彼女が選んだ道は、「母親になること」でした。
 このラスト、本作に垣間見えるシニカルさを考えると手放しのハッピーエンドとも言えない気がするんだよな……考えすぎかな……。でも、ルースの魂との交流や現実世界のグロリアとサーシャ親子の様子を通して「現実世界での親子関係は『ごっこ遊び』では済まされない」ということを知ってなおこの道を選んだってことなんだよな……そもそも現実世界で何らかの「役割」を負わずに生きていくことなんて不可能だからな……。
 などなど、今回の感想はかなりとりとめのないものになってしまいました。事実、本作に込められたメッセージは作品の表面上に見えるものよりもずっと深い部分にある気がしますし、キラキラした外面からは想像できないようなシニカルな視点が込められている気がします。これ塚口あたりでもう1回くらい上映しないかな……。
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大阪ステーションシティシネマ「アステロイド・シティ」見てきました!

2023-09-20 19:56:35 | 映画感想
 今日は珍しく早い時間に映画を見てきました、というか早い時間に見に行かざるを得なかった。上映から時間が空くと上映回数が少なくなっていくので時間帯の選択肢も少なくなっていくんだよな。
 というわけで今日見てきたのはこれ!
 
 
 例によって例のごとく予告で惹かれるものがあったので、前情報無しで見に行くことに。
 舞台は1850年代のアメリカにある人口わずか87人の砂漠の街アステロイド・シティ。
 科学技術や宇宙開発への夢華やかなりし時代に行われたジュニア宇宙科学賞の祭典に、本物の宇宙人がやってきた!?
 まず特徴的だったのが画面の色調と画角。
 常にオレンジがかったような独特の色調は本作の看板とも言えるものでしょう。常に砂漠の砂塵にさらされているような、不思議な印象を見るものに与えます。
 そして画角も、通常の映画のような凝ったカメラアングルはほとんど使わず、真正面や真横などのシンプルなカメラアングルを多用していたのが印象的。さらに、電話をかけるシーンで画面を2分割してふたりの人物を画面内に等しく収めているという場面もありました。
 また本作は、冒頭で白黒画面のスクエアサイズの画角で始まり、本作はテレビドラマであることが説明されます。この白黒画面による舞台裏は、本編開始後もしばしば挿入されます。
 本編の映像の方も前述のシンプルな画角と相まって、背景や建物がなんだか安っぽい書割に見えてきて、本作全体が一種のメタフィクションのように感じられました。
 全体的な感想としては、うーん、よくわからん。と言った感じ。
 宇宙人が出現したことで閉鎖状態になったアステロイド・シティ内での人間関係のこじれやなにやらとその解消がひとつのテーマであろうことは読み取れたんですが、なんか全体的に話の流れが平坦で中盤で退屈して寝てしまいました。
 どちらかと言えばストーリーよりもビジュアルで見せるタイプの映画だったのかな。実際ストーリーライン自体全面に出てくる感じでもなかったし。こういう作品はパンフとかで情報を補完するとまた違う側面が見えてきたりもするものですが、現在ちょっとお財布の紐を封印してるので我慢の子。
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