A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその12

2024-07-17 22:26:52 | 同人誌感想
 「夢現理論の臨界点」のレビュー完了には時間がかかりそうなので、というかかかるので、その11を飛ばしてその12を先に書いてしまいましょう。
 
・ヨイヤミビスケット体験版(以絵会友、tripper_room)
 全国415874854人のルーミアスキー待望のヨイヤミシリーズ第3弾「ヨイヤミビスケット」、体験版がついに登場!
 画面固定ACT、リズムゲー+アクションと来て次は何が来たかというと、今回はいわゆるヴァンサバライクなツインスティックシューター。
 主人公はもちろんルーミア。そして今回はさまざまなお菓子を武器としてステージをクリアしていく方式となっています。
 まず言及しておきたいのがコンフィグ周りの丁寧さ。
 コンシューマーゲームとPCゲーム・同人ゲームの違いはたくさんありますが、その中の大きな違いの一つが「プレイする人によって異なるコントローラーを使う」でしょう。
 今やさまざまなコンシューマーのコントローラーがPCで使えるようになってますが、それだけに特定のコントローラーがうまく動かなかったりコンフィグに不具合が出たりするもの。
 その点本作は、起動直後のコンフィグ画面にて使用しているコントローラーごとにわかりやすく動作確認ができるようになっています。
 個人的にキーコンフィグですごくいいなと思ったのがコンフィグ画面でゲーム中ののボタン・キー表記が選べるという点。
 前述の通りPCゲームや同人ゲームではそれぞれが異なるコントローラーを使用していることが多いので、ゲーム画面ではABXYだけとコントローラーは◯×△□といったようにゲームでのボタン・キー表記と使用しているコントローラーのボタン・キーが食い違うということがしばしばあるんですよね。
 これがあるとコントローラー自体は問題なく動いててもゲームプレイがスムーズにいかないことが多いんですよね。しかるに本作ではゲーム中のアイコン表記がPS系、360系、switch系の3種類用意されているのでネジコンとかよっぽど特殊なコントローラーを使ってない限りキーコンフィグで不便を感じることはないでしょう。体験版の段階でここの完成度が高いというところから期待が持てます。
 ゲーム内容については、画面写真を見たときは上記の通りヴァンサバライクだったのでゲーム内容もそれに準拠したものだと思っていましたがさにあらず。
 ベース部分は確かにヴァンサバなんですが、そのフォロワーにとどまることなくショップやステージ分岐といったさまざまな要素を盛り込んでて、きちんとフォロー元をリスペクトしつつ差別化しているのが分かります。
 特にステージが分岐するだけでなく、その間にさまざまなイベントが挟まっているのが好き。さらにイベントが発生するだけでなくそのイベントでの選択肢によってステータスが上下したり特殊なショップが出現したりするのが楽しいです。プレイしてて往年のゲームブックを読んでる気分になりました。
 ゲームシステムも最初の体験版とは思えないくらい複雑かつ重層的に組み込んであります。特に武器であるお菓子を「食べる」ことによってステータスを向上させる+デメリットとして「ねむけ」が増えるというのは斬新なシステムだと思いました。
 これだけたくさんの要素を盛り込むと重量オーバーになったり混乱したりしてゲームが破綻してしまいそうなものですが、これらのシステムがしっかりまとまっているのはさすがと言ったところ。
 そして一番すごいのが、これらのシステムはすべて「ルーミアが主人公だから」というところにしっかり根ざしているという点。ただ単にルーミアを主人公にしたというだけでなく、ルーミアだからこそこのシステムがある!というのがはっきりしているのがいい。
 また本作、ヴァンサバライクではあるもののエイムとショットの概念がある、緊急回避のドッジロールがあるといったように、ヴァンサバに比べて「積極的に動いて攻めるアクションゲーム」としての比重をかなり大きくしているのが感じられました。
 この時点でこれだけ完成度が高いなら、あとは実質細かいバランス調整だけなんじゃないの?と思ってしまうくらい遊べる体験版でした。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその11-1

2024-07-16 23:04:59 | 同人誌感想
 ここ最近マサラ上映の感想が忙しくて止まってましたが、実はまだ例大祭戦利品レビューは終わってなかったり。来月は夏コミなので一気に終わらせたいですね。
 
・東方SFアンソロジー 夢現理論の臨界点(東方SFアンソロジー製作委員会)
 シリアス、ギャグ、学パロ、特殊性癖などなどさまざまなジャンルで出ている東方二次創作ですが、本作は東方×SFに焦点を当てた32作品を収録したアンソロジー本。
 東方でSFといえばやはり秘封倶楽部のイメージが強く、実際表紙を飾っているのは秘封の二人ですが、本作には秘封に限らずさまざまな東方キャラクターによるさまざまなシチュエーション、さまざまな解釈のSFが楽しめます。
 なお、収録作品が多いので感想は数回に分けて書いていこうと思います。しかし本作、各作品の後に解説が付いてるので感想と考察の難易度はこれまで書いてきたレビューの中で随一になる気がします。泣きそう。
 
・さようなら、私の夢見た未来たち(海景優樹氏)
 個人的に見出した本作のSFテーマは「現実の不安定性」。
 こと東方の世界観では「幻想入り」という形で外の世界の影響を色濃く受けるわけですが、本作はそんな東方世界による「現実の不安定さ」を「かつて人々が想像していた『懐かしい未来世界像』」でもって表現しています。
 そう、SFはノスタルジーの側面も色濃く持っているんですよね。あり得たかも知れない、かつて空想されていた未来世界がほんの少しの間だけ現実に混入して儚く消えていくというラストには爽やかな読後感がありました。
 
・幻覚の羊(楷ノ木かえで氏)
 個人的に見出した本作のSFテーマは「自我の所在」。
 認知論的SFならこいしちゃんの出番です。本作はある銀行員と彼だけに見える幻覚の少女としてのこいしちゃんのお話。
 挿絵含めてもたった7ページの掌編にこれだけの話を収められるのか!とその技量に驚きました。こういう最後まで読んで初めて冒頭の仕掛けがわかるタイプの作品はこのくらいの短さがいちばん斬れ味が発揮できるのかも。
 人工知能という仮初の自我を使用している人間に見えた銀行員の正体が実は……というからくりを「無意識の非存在」という角度から切り込む手腕が見事。
 
・万華鏡の日(站揚巻氏)
 個人的に見出した本作のSFテーマは「超能力の見え方」。
 超能力自体はSFのテーマやガジェットとしては過去のものという感じですが、「実際にそうした超能力を持っている人物の認識」は意外にブルーオーシャンなのでは。
 本作はそんな超能力の中でも、特に「認識」に直結するさとりの読心能力にフィーチャーしたもの。さらに読心能力を「何を考えている」かではなく「相手の思考がどう見えるか」に注目して描写するのは難しかった/楽しかったと思います。これ、ビジュアル主体の媒体であるマンガではなくテキスト主体の媒体である小説だからこそ成立した作品と言えるんじゃないでしょうか。
 
・ニャア(アン・シャーリー氏)
 個人的に見出した本作のSFテーマは「認識世界の違い」。
 ある日蓮子の部屋に迷い込んできた猫。その猫はどうやら別の人物のところにも通っているようで……。
 お互いに直接顔を合わせることなく、猫を介した手紙のやり取りをする蓮子ともう一人の人物。もうひとりの人物の正体は明白ですが、だからこそ二人の手紙の多少他人行儀なやり取りが微笑ましかったです。
 そして読んでて、「この作品、どういう方向性でSF要素を盛り込んでくるんだ?」と思ってたんですが、言われてみれば「猫でSF」と来たらそりゃあ当然このネタが来るよなあ。
 この不思議な猫がきっかけで蓮子とメリーは出会うものの、この猫の不思議は解明されずというラスト、とても好き。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその10

2024-06-25 21:49:11 | 同人誌感想
 夜行バス、ホテル、印刷所、入場チケットと順調に準備が進んでいる中、肝心の原稿だけがまったく進みません。助けて百太郎。
 
・Ugly Lovely 岡山県が来る!(ニセキノコモドキ)
 デフォルメの効いた絵柄でシリアスもギャグもこなせるサークルさん、今回は非常に両極端な作品のレビューとなりました。
 「Ugly Lovely」、正確には例大祭ではなく東方名華祭の新刊なんですがタイミング的にここで紹介。
 本作ではちょうどひとつ前の作品「ご高配痛み入ります」で少しだけ出てきた残無がメインキャラ。地獄の行政の腐敗を残無の過去を絡めて描く社会派作品。
 本サークルさんはこれまでにも社会派なシリアス作品を出してきましたが、獣王園で一気に地獄周りの設定が広がったのでサークルさん的にはネタが大量に溢れてウハウハなんじゃないでしょうか。
 さて感想なんですが、本作でもこれまでの作品と同じように地獄の社会や政治の裏側の謀略を描く手腕が遺憾なく発揮されています。特に映姫も絡めた権謀術数の数々はさすがと言ったところ。二次創作の楽しみのひとつに「原作キャラの魅力や設定を深堀りする」がありますが、本作では改めて残無の東方キャラの中でも異例と言える徹底して裏工作と駆け引きで戦うキャラクター、直接的な戦闘ではなく舞台を整えることで戦うキャラクターであることを感じさせられました。
 そしてラストでのお約束の宴会での酔っぱらいどもの大騒ぎときてからの、獣王園の靈夢のテーマ曲「世界は可愛くできている」での締めの流れが見事。
 でも結局日狭美さんのインパクトが全部持っていったんですけどね。今後の作品でもひたすらいらんことをしてほしい。
 「岡山県が来る!」、いったいどういうことなんだこのタイトルは、と思いながら読んでいきましたが間違いなく本サークルさんの作品の中で最高濃度のカオスでした。
 感想なんですがなんというか要するに「翔んで岡山」でした。
 いきなり岡山県に到着するレイマリ。明かされる夢オチ。全高800mの桃太郎像。バッファロー。牛。猿。
 完全に理解を拒む超展開に次ぐ超展開に読んでて脳がスポンジ状になっていくのを感じました。 
 そして現れる今回の異変の元凶、岡山理沙! 岡山理沙ってなんだよ……。
 そんな恐るべき異変を倒すための秘策が「例のアレ」だったわけですがそっち系のネタはやめろ! それはマジでやばい!
 いやー脊椎がへし折れるほど笑わせていただきました。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその⑨

2024-06-23 15:51:03 | 同人誌感想
 実はまだ終わっていない例大祭新刊レビュー。さらには待望の秘封新作もまだ聞いてないという。
 もう6月も終わってしまうので、今月中には例大祭新刊レビューは完了しておきたい。
 
・ムガムビル9(薬味さらい)
 いよいよ次は2桁の大台というところまで来たゾウノセさんの総集編。今回は5作品+描き下ろしが収録されています。今回は全体的にけっこう珍しいキャラの絡みが多かった印象。
 それでは収録作品ごとに感想を。
 
・花椒娘
 タイトルは「ホアジャオニャン」と読みます。
 これまでこのサークルさんの作品を読んできた人ならこのタイトルだけで色々察することでしょう。薬味さらいさんはもはや自分の中では半分くらいグルメ漫画サークルさんという認識になりつつあります。
 のっけから「炙り照り焼き人間サンドイッチ」とかいう衝撃的なメニューが登場する本作ですが、要するに咲夜さん渾身のデレ「わたしを食べて♡」が炸裂する濃厚なめーさくでした。やっぱこのサークルさんの咲夜さんてサイコだよ……怖いよこの人……。
・さよならビースト
 少し前くらいから東方でいちばん好きなキャラであるところのルーミアの出番が増えてて俺によし。というわけで本作はなかなか珍しいルーミアと星をメインに据えたお話。
 じゃあこの二人でどういう話が展開されるのか?ということなんですが、テーマは「狩って食う」ということ。
 東方Project的妖怪観は非常に独特ですが、幻想郷における妖怪ってそもそも「特定のルールに従っていることで成立している存在」なんですよね。そのルールの中でも代表的なものが「妖怪は人を襲う」ということ。じゃあ東方に登場する全ての妖怪がこのルールに従っているかと言われればそうでもない。
 本作のルーミアと星という一見関連がないに見える二人は、かたやめんどくさがって自分から人を襲わない、かたや毘沙門天の使いでお寺の御本尊としての立場があるというそれぞれの理由で積極的に人を襲いません。そういった意味ではこの二人は例外的な存在なんですね。
 本作ではこの二人にカメラを合わせて他の生き物を狩って食う「獣性」とそれに対する「人間性」の対置構造を描いていると感じました。
 ラストでルーミアは迷いなく人間の喉笛に食らいつき、星は結局人間を襲えなかった。この分かれ目を二人の決定的な違いとして提示しておいて、さらにダメ押しとばかりにルーミアから勧められた人肉を「戒律を理由に断る描写」を入れることで、星は決定的に獣としての自分に別れを告げたということを描写しているのがさすが。
 二次創作の楽しみのひとつに「意外なカップリングによるキャラの掘り下げ」があると思ってるんですが、本作はまさにルーミアと星という意外なカップリングを使った、星の持つ「獣性と人間性の対立」という掘り下げを行った作品だと言えるでしょう。
・スワコカエル
 メタスラで見たぞこれ。
 薬味さらいさんの作品の中ではおぜう様に次いで扱いが酷い印象のある諏訪子ですが、今回はどんぐりになるという斜め上の虐待を受けています。もっと諏訪子さまに優しい扱いがあろうもん……。
 タイトルは「帰る」「孵る」「蛙」のトリプルミーニングでしょうか。
 ふとしたことから土に還ってしまった諏訪子がどんぐりとなって、器を得て再誕するという本作の一連の流れは実に神話的、寓話的で好き。なんとなく大長編ドラえもんみも感じます。
 ハイテンションけーき様が大量生産する諏訪子再生体のバラエティ豊かな姿になんだかGガンダム終盤を思い出しました。
 そして諏訪子を復活させるために作った「核」が縄文土器というので「だからどんぐりなのか!」と気づくこの快感よ。すっかり妖怪カエル女のイメージが定着してますが、いわゆる「旧き神」なんだよなこの人。
 ギャグなのかシリアスなのかよくわからん話でしたがそれがいい。というかこれって諏訪子の体を張った一発芸的なものだったのでは……。
・刃傷!惨状!!いざ陳情!!!
 このタイトルのリズム感よ。日本語って美しい。
 「犯人はお前! 被害者は私!?」このリズム感よ。日本語って美しい。
 新作が出る事にキャラがブレブレで有名な妖夢ですが、久しぶりに辻斬りキャラを見た気がします。
 シリアスな作品のイメージが強い本サークルさんですが、本作は思いっきりギャグ方向にアクセルを踏んだ作品。妖夢の半霊がシャッフルされたところで崩壊しました。でも妖夢って原作とか公式書籍でもこのくらいすっとんきょーな子なんだよな。
 そして死体の隠滅方法として紅魔館があまりにも便利すぎる。
・神神神
 衝撃的なシーンから始まる本作、読む前の段階でタイトルからいろいろな想像ができます。
 東方Projectの世界にはたくさんの神々が存在しますが、その在り方はさまざま。しかしひとつ共通しているのが、彼女らは決して万能不惑の完全存在ではないということ。
 作中の言葉を借りれば、彼女らは神そのものとしての権能を持ちながら、人間以上に「慕い、妬み、絆され、猛る」存在なのです。そして本作の事件の発端であるてゐの傷もまた、八十神の呪いによるものという。
 神々の姿がたくさんの信仰や言い伝えが習合されて出来上がったものであるように、諏訪子や神奈子、永琳といった人物もまたさまざまな縁に繋がれ、さまざまな業を抱えた人間以上に情け深い存在として描かれていると感じました。
 そしてエイトフレンズってなんだよ……。
・描き下ろし「EATER」
 さて恒例の総集編の本番とも言える描き下ろしですよ。
 毎回収録された作品の内容を非常にうまくまとめた内容になっているのがすごく好きな描き下ろしなんですが、今回の収録作はどれもかなり異色なものだったので、これをどうやってひとつの話にまとめ上げるのかと楽しみに読み始めました。いやーまとまるもんだなあ……。
 八十神の一件が人里に知れ渡ってしまったことから、「因幡の白兎」のエピソードで知られる和邇(ワニ)への畏れが広がってしまいます。その畏れはほどなく実体を得て各地で暴れ始め……。
 なんでこの収録作をまとめて「けものフレンズwith川のぬし釣り」が始まるのか。
 そして咲夜さんはなんでこんなノリノリでエサ役に立候補してるのか。なんか今回の咲夜さん全体的にはっちゃけてるよな。
 収録作の内容を「捕食者vs被食者」の構図に落とし込んで、うまくキャラや収録作のネタをはめ込んでいるのは流石の一言。本作の……というか本サークルさんの作品における「戦い」は、どれもただの殴り合いではなく「事態解決のためのパズル」なんですよね。メタ的な意味でも本サークルさんの作品の作り方、特に総集編における描き下ろしパートの作り方はパズル&ロジックだと思っています。
 群れで襲ってくる和邇の分霊に対しては同じく集団である八十神をぶつけ、そして本来爪も牙も持たない被食者であるはずの「人間」でありながら同族を日常的に食料として処理している例外存在である十六夜咲夜のもとに追い立てる。このロジックの通り方が実に気持ちいい。
 そして最後は勝利のBBQというのが実にこのサークルらしい。なんかもう薬味さらいさんは小豆粥さんと並んで東方界隈における2大飯テロサークルになってきた気がします。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその8

2024-06-03 23:59:24 | 同人誌感想
 先日、遠野紅楼夢も無事終了したので、また未レビューの作品が溜まってしまう前に残りの例大祭新刊のレビューを済ませてしまいましょう。
 
・すおーずこーひー総集編13モノクロ(すおーずこーひー)
 メルヘンでのんびりした作風が魅力のサークルさん、早くも13冊目の総集編です。ハイペースだなー。
 今回はタイトル通りモノクロ漫画作品を描き下ろし含めて20作品収録しています。
 それでは収録作品ごとに感想を。
・レミリアと妖精会議
 東方二次創作においてしばしばノンカリスマとして描かれるおぜう様ですが、本作では妖精の面々に紅魔館の主としてすら認識されてなくておいたわしすぎて笑いが止まりません。あとアリスのすべてを察した「……ん」がたまらなく好き。
・ぬえは彼氏を欲す
 思春期ぬえちゃんとむらいちお姉さんズの恋愛談義。ぬえちゃんのあまりの純真さに読んでて目ェブッ潰れそうになりました。清すぎる……。無知シチュが捗るわぁ……。
・ミスティアは求愛中
 こちらもまた違った面々の恋愛模様。みすちーに狙われている疑惑のリグル。実に濃厚なみすりぐを楽しめます。リグルはテンパってるのが本当に似合うなあ……。
・お燐はシュレディンガーの猫にならない
 オタクはみんな大好きシュレディンガー実験。このサークルさん描かれるところの地霊殿の面々ほんと好き。さとりお姉ちゃんの一言で落ち込むお燐となーんも考えてなさそうなお空の顔よ。
・もっちりピンク
 うどてゐ。この二人は日常的にこういうやり取りしてそう。二次創作の楽しみのひとつが「原作では描かれていない部分を描く」なのでこういうの実に楽しいです。おまけページのやりとりも好き。
・地震は藍さまのおなら
 これぜったい確実に紫さまが吹き込んだだろ……。「台風は実在しない」発言で橙がだんだん陰謀論に取り込まれているようで怖い……。
・針妙丸は男の子じゃない
 針妙丸まさかの男の娘疑惑。正邪の発言で彼女の倫理観というか貞操観念が垣間見えるの好き。
・今日の紫はかなしばり
 紫さまモテモテの巻。本サークルさんの作品で時々あるこのモノローグで進行する短編ギャグ好き。そして遠回しにゆからんなのも好き。
・さきやちは居酒屋で
 八千慧の酔いの進行がリアルで好き。そして早鬼が下戸なのも解釈一致で好き。
・美鈴の食べ方
 このサークルさん描かれるところのめーさくにおける咲夜さんの愛情表現はいちいち遠回しかつ分かりづらくて好き。
・カッパッター
 SNSパスワード設定めんどくさい問題。うっかり魔理霖してしまう魔理沙が実に魔理霖。
・三毛猫ひふー
 確かに蓮子は街なかで男性器の呼称を平気で連呼しそう。そしてうっかり猫耳コスプレして目撃されるのも実に蓮子。
・映姫さまのサボり
 映姫さまの隠された罪。こまえーきはこの微妙な距離感が良いですよね。お互いモロバレしてるのも好き。
・小鈴が愛しい
 本サークルさんにおけるカップリングの中にはしばしば愛情表現が独特(婉曲表現)なキャラがいますが、阿求もなんだか独特の距離感で小鈴を愛でていて好き。ラストとおまけのおまけも余韻があって好き。
・八雲家で偉いのは
 禁断の最強論争。猫が最強なのは現実世界でも定説です。全ては猫に支配されている。そしてヒットしたという動物系動画をぜひとも見せていただきたい。
・脅迫状だにゃん
 犬猫の新聞というメディアを通した高度な情報戦。犬側が基本的にのんきなのが実にそれっぽい。
・チルノとうさぎのひめ様
 チルノと輝夜という異色の組み合わせ。ムヒを借りに行くような間柄だったのか……。そして最終的にイナバ扱いされてるのが笑えます。けっきょく見てたてゐも混じってしまうのが微笑ましい。
・雲家もふもふパニック
 おぜうさまとえーりんのネーミングセンスは明らかになっていますが、じゃあほかはどうなのか。結果として紫様のネーミングセンスが壊滅していることが分かりました。悲しい……。 
・橙色の巫女さん
 橙が修行のために博麗神社にやってきた。完全にただのネコやんけ。橙は相変わらずかわいいなあ。
・霊夢の家賃徴収(描き下ろし)
 霊夢がついに家賃の概念に目覚める! それにしては基本的に物々交換なんですけど……。ラストの霊夢の「みんな配給よー!」が実にわびしい。なんだかんだで博麗神社って大所帯になってるよな。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその7

2024-05-22 23:17:31 | 同人誌感想
 イベント新刊の通販分を受け取った後って毎回なんか見落としてる気になってくる……。
 
・あたいとげんそーきょー~うたげのあと~(北国もやし製造所)
 レイマリ。それは真実。
 レイマリ、それは正義。
 というわけで「あたいとげんそーきょー」シリーズ最新刊は濃厚なレイマリです。
 本サークルさん描かれるところの霊夢はわりとクールキャラなんですが、魔理沙に対してだけは要所要所で甘えてるのが実にレイマリ。
 そして魔理沙は魔理沙でまんざらでもないのがこれまた実にレイマリ。
 「あたいとげんそーきょー」シリーズは基本的にほのぼのマンガなんですが、レイマリ周りは妙に湿気を感じられる描写があるのが俺によし。
 特に魔理沙に関してはしばしばその過去について触れる展開がありましたが、今回は魔理沙のトレードマークでもある金髪が実は……という解釈が好き。
 今回のタイトルは「うたげのあと」となっていますが、これがまた「表」のパートである賑やかな博麗神社の日常と「裏」のパートである宴会が終わった後の霊夢と魔理沙の対比が実に巧いんだよな。
 あと酔っぱらい妖夢やらおぜう虐待咲夜さんやらもしっかり楽しい一冊でした。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその6

2024-05-20 23:31:56 | 同人誌感想
 そういや秘封の新作ってまだ発売されてないんだよな。ゲームの方はすっかりイベント当日にsteamで配信されるのが当たり前になってるので、「神主の新作を待つ」というシチュエーションはずいぶん久しぶりのような気がする。
 
・むっつりまめあず 藍取り!スクランブる(小豆粥)
 八雲一家メインのサークルさんの脳を軒並み爆発させた「東方獣王園」。
 特に藍さま周りの人間関係のあれそれは大きな波乱を招いたとともに、じゃあこれまで八雲一家メインで活動してきたサークルさんは今後の八雲一家をどういう方向性で書いていくかという点が個人的な注目ポイント。
 いまマジで八雲一家メインサークルさんにとっては、獣王園前/獣王園後という区分ができるくらいの大事件だったと改めて思います。
 小豆粥さんも八雲一家メインで活動されてる古参サークルさんなので、これからどういう感じになっていくのか楽しみです。
 「むっつりまめあず」、厳密には八雲幻想祭の新刊なんですが入手タイミングが重なったのでここでレビュー。
 本作は恒例となった「まめあず」シリーズの6本目。今回は「先割れスプーンおばさん」と「残業散歌」の2本立て。
 「先割れスプーンおばさん」獣王園八雲一家に対して饕餮がどういうポジションになるか?というのが八雲一家メインサークルさんの懸案事項だと思うんですが、本作はすっかり「親戚のおっちゃん」といったポジションになってます。あとがきにもある通り、小豆粥さんの東方作品におけるキャラ付けはいわゆるお約束的、王道的なキャラ付けとはちょっと違っててそこが面白い。というかそれで行くと饕餮のCVが堀内賢雄さんになってしまう。
 また小豆粥さんの作品の楽しみと言えばさまざまなうんちくですが、今回は先割れスプーンのお話が興味深かった。あれって中世ヨーロッパにまで遡れるものなんだ……。なお「先割れスプーン」で声優が先に出てきたことは君と僕だけの秘密。
 「残業散歌」、藍さま残業姿似合うなあ……。そしてもはや現物を見たことがない世代も多かろう懐かしきCRTモニターよ……。
 微笑ましい感じの「先割れスプーンおばさん」が子育て漫画なら、こっちは二昔前にアフ◯ヌーンとかで連載されてそうな雰囲気の残業ダベり話。
 こっちの方では八つ橋が出てきました。シナモン風味で好き嫌いが分かれる印象の八つ橋ですが、コーヒーと一緒に頂いたことはないので今度試してみようかな。そして藍さまの怒涛ののろけよ。……で、そこからのあとがきが実に効く。この紫さまの「わかってて甘えさせてあげてる」ってところが実にオトナのオンナといった感じです。
 「藍取り!スクランブる」、獣王園にて饕餮が藍さまの昔の女であることが判明してしまったわけですが、本作では今の女と昔の女が鉢合わせ! 気まずすぎる! もう11ページ1コマ目なんて読んでて胃がキリキリしてきました。すっかり幻想郷にいついているゴルシちゃんは楽しそうですが……。
 で、そんな気まずいふたりをどうにかするきっかけとなるのがやはりというか必然というか料理なんですね。このサークルさんの作品は絶対に深夜に読んではいけない同人誌ナンバーワン(脳内調べ)の呼び声高い飯テロサークルさんなんですが、ただ単に美味しそうな料理を出しているだけではなく、その料理がしっかり作品のための小道具として機能しているのが好きなところ。
 というわけで今回のメニューは、スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ・ジャポネーゼことニンニクオリーブオイル唐辛子和風アレンジ。いかん、もうこの料理名を書き写してるだけで腹が減ってきた。
 で、この料理を通して紫さまと饕餮の関係性がどう変化するかと言うと、料理を振る舞った紫さまに対して饕餮は自分の食器である先割れスプーンのスペアを貸すというこの返答。実にオトナ、実にアダルティ。このシンプルかつ奥深い関係性の変化の描写、和歌における贈り歌と返歌にすら通じるものを感じます。
 そして毎回空気読まずに登場する隠岐奈さんですがだんだんCVが神谷明氏に思えてきました。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその5

2024-05-18 22:24:51 | 同人誌感想
 なんかもう今が春なんだか夏なんだか冬なんだかわからない気温で自律神経がフルスイングされてますが皆さん如何お過ごしでしょうか。
 とか言ってる間にもう5月も終わってしまう。5月が終われば夏コミはもうすぐそこなので戦利品レビューをどんどん進めていきましょう。
 
・-巫女みこ翠香-春の陽気にあてられて…?(葉庭の出店)
 巫女みこ翠香が復活した葉庭さんの新刊は、タイトル通り春の陽気にあてられてなんかやばいのがたくさん出てくるお話です。
 葉庭ワールドでは博麗神社が何年も仮説のまま放置されてたり博麗神社ロボが爆誕したり並行世界から別の翠香が出てきたりといろんなことが起こってますが、今回はついに主人公たる博麗霊夢、闇堕ち! 表紙のデカくて黒いのって霊夢だったんかい!
 なんか博麗の巫女を暗殺しようとする頭にアルミホイル巻いた危ないおじさんももいますが、完全にもののけ姫のアレみたいになってしまった霊夢の前にはインパクトで負けてます。
 博麗の巫女闇堕ちという未曾有の危機を迎える幻想郷ですが金の力で解決しました。金の力すげー……。
 ところであとがきによれば今回三月精ではなくオリジナルの妖精三人組が登場している理由について「うちの神社は色々あってさっぱりしてるから」とありますが、これもしかしてその「色々」に巻き込まれて三月精はすでに消滅している可能性があるのでは……。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその4

2024-05-17 21:59:12 | 同人誌感想
 今日は整骨院に行ってきました。骨折した左足の小指はあと1、2週間で治るとのことなので今月いっぱいは静養しておこうと思います。
 そしてもうそろそろ夏コミの準備をしておかなくては……。
 
・プリティポメラニアンの歌(TeamInazuma)
 楽しい言葉遊びとキュート&セクシーなキャラクターが魅力の本サークルさん、今回は最新作である獣王園のキャラが登場です。
 爆発したまりさハウス元通りになっててよかったよかった。そんなまりさハウスで、魔法の森の新しい仲間である慧ノ子が魔理沙と成美といっしょにイェーイ。
 本サークルさんの作品の魅力のひとつが「変なアイテム」だと思ってるんですが、今回の「装備すると目玉が濁点になるやつ」とても好き。今後も活用していただきたい。
 そして本サークルさんの作品における最重要アイテムだと勝手に思ってるきぐるみが登場したのでとても嬉しい。ポメきぐるみ魔理沙がとてもかわいい。
 同じく獣王園の新キャラである日狭美さんが予想通りセクシー枠なので今後の登場に期待です。あとくすぐりプレイの刑に処される早鬼ちゃんかわいそう。
 
 今日はここまで。
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第21回博麗神社例大祭戦利品レビューその3

2024-05-15 21:04:54 | 同人誌感想
 大熱波記念日も無事終わったので、例大祭新刊レビューを再開していきますよ。
 
・いれかわ従者 メイドさんの日々×2さよならちびメイド編(さばーい出版)
 今回も安定の新刊2冊ですごいなあと感嘆を禁じえない本サークルさん。
 「いれかわ従者」、お約束の入れ替わりもの。お約束とは言うものの、そういえばこのシリーズではやってませんでしたね。
 このシリーズのめーりんはあまりにもフリーダムなので入れ替わりもののお約束「バレないように普段通り行動する」が完全に無理で笑えます。
 今回はふたりとも頭身高めなんですが、めーりんは基本的にちびモードのときと変わらずやりたい放題。しかし咲夜さんの方もそれに引きずられてる感じです。そして今読み直してて気づいたんですが、咲夜さんinめーりんは額の「め」の字が「メ」になってるんですね。細かい。
 二人の騒動の裏でメンタルを病んでしまったおぜう様かわいそうでかわいい。さばーい出版幻想郷においておぜう様はじつはいちばんの常識人なのでは。
 「メイドちゃんの日々」と「メイドさんの日々」の世界が交わる「メイドさんの日々×2」は今回が最終回。
 こっちでもめーさくは絡みが多くて俺によし。そしてパチュリーがだんだん両さんみたいになってきたな……。
 そしてこっちでもおぜう様はメンタルダメージで昏倒。おいたわしや。
 最終回ということでちびメンツは「メイドちゃん」の世界に帰っていったはずなんですが、いちばんやっかいなのが残ってしまってるのがなんかSFホラーちっく。
 そしておまけの「並行世界のパチュリー」でSSRパチュリーが速攻で燃やされてて笑う。野蛮すぎる……。
 
 今日はここまで。
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